【財務分析】メルカリが赤字な理由
「失敗しない事業計画のツボとコツ」を教える社外経営企画室長、濱口精ちいです(中小企業診断士)。
さて、本日のテーマはメルカリ。売上を倍々ゲームで増やしながらも利益は赤字の会社はどのような構造になっているのでしょうか?
2020年6月期の決算書
では、直近決算期である2020年6月期の決算書です。
増収ながらも▲70億の営業利益で減益となっています。粗利の1.5倍販管費を増やしており、販管費の増加の6割強は広告宣伝費の増加です。
ちなみに販管費の金額を見てみると、ほぼ売上と同額の販管費をかけています。プラットフォーマーとしてユーザーを獲得するための販管費に積極的に投資をしている「意思を持った営業赤字」ですね。
セグメント
セグメント別にみてみましょう。
開示上では「マーケットプレイス事業の単一セグメント」としていますが、事業としては、
・メルカリ事業(日本)
・メルカリ事業(アメリカ)
・メルペイ事業
の3つの事業があり、実質は3セグメントです。
その中でも主力である、メルカリ事業(日本)に注目してみました
メルカリ事業(日本)は黒字で、黒字幅も倍増しています。開示を素直に読み取ると、メルカリ事業(日本)は黒字だが、他の2事業の先行投資で赤字、と読めます。
ちなみに売上は、売上高←取扱高←MAU(月間利用ユーザー数)と分解でき、
MAU(月間利用ユーザー数)の増加
が、この事業にキーと言えます。プラットフォーム事業であり、MAUが伸びれば固定費の稼働率が上がり営業利益率も上がる、モデルです。実際、営業利益率も10%改善しており、このままいけばもっと営業利益率は上がっていくでしょう。
メルカリの成長戦略
国内事業は好調ですが、他の2つの事業がどうなるか、ですね。
成長ベクトルで示すときれいな事業ポートフォリオが浮かびあがります。
かつて、新規サービス×新規顧客としていた事業の大半は整理され、新規事業は大きく2つとなり、選択と集中が効くことがわかります。
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