アルマイト加工職人 桐島君のこと

アルマイト加工職人 桐島君のこと

電研さんの仕事 アルマイト加工

モノとしてのmofumofuをかたちづくる技術は3つの技術から構成されている。1.モフモフというその名の手触りを成す当社の静電植毛技術、2.土台となるアルミ製筐体をつくる吉持製作所のヘラ絞り、3.アルミ筐体にカラフルな色を付けるアルマイト加工、この3つだ。
アルマイト加工は、汎用性高い軽金属であるアルミの表面の質感を鏡面のように仕上げたり、手触り感のあるマット仕上げにしたり、調色した色でカラフルな色づけ自在にすることができる。重くて硬いイメージが先立つ金属に対して、こんなにファッショナブルに加工できる加飾方法は珍しく、当社で手がける他の企画でも、金属部品の加飾について相談させてもらう機会が多くなっている。硬くて無機質なはずの金属に、色や質感といった美粧性を加えられる点で、頼りになるパートナーと知り合えたことを喜んでいる。

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電研の中には風呂桶のような大きさのたくさんの水槽がならんでおり、揃いの作業着を着た男たちが全身を使ってジグに取り付けたアルミ製のワーク(加工対象物)を大きな水槽にザブンとつけたり、ザザーっと引き上げたりという大きな動作を順々に繰り返している。
そこにはいろいろな種類の水槽があって、大きな電極がついていたり、着色されていたり、湯気がたっていたりする。それらをそれぞれに順序立てて浸すことでアルミ表面を化学的反応させる加工方法だが、学生時代より化学的なことが苦手だった自分にはなかなか理解が根付かない。とにもかくにも化学反応を利用した表面処理技術です。詳しくは聞いてもらえれば、喜んで時間をかけて説明してもらえます。興味を持たれるかたはぜひ電研さんを訪ねていただきたい。

アルマイト加工は、色や光沢の微妙な差異をうまく制御しなければならない仕事で、繊細でファッション性に富んだものが多い。ただ、製品の繊細さとは裏腹に、電研の男たちは大きく身体を使って、これらの槽を行き来しを日々繰り返している。化学知識はこの仕事の肝ではあるが、作業そのものは肉体労働なので、男たちは全員身体ががっちりしていて大きく見える。そして、男たちの仕事を支えるように、椅子を並べてこまかな内職仕事を一つ一つ丁寧にこなす女性たちの姿がある。オートメーション化されたスマートな工場だけで我々が使うモノは作られているわけではない。ほとんどのものはこうした細かでコツコツとした手作業と肉体労働から産まれているが現実だ。総勢8名のこの会社は役割を分担して日々を過ごす一つの大きな家族のようにも見える。

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社名の”電研”はこの技術の原理である”電解研磨”の略名で、電解研磨とは電気化学的に金属の表面を研磨する加工方法を表している。化学薬品を用いるコスト重視の化学研磨が主流となるなか、電研ではより平滑で光沢ある仕上りを実現する電解研磨を選択することができる。さらには、長年研究の苦心を積み重ねた末に見出した技法で、土壌汚染や地下水の汚染の原因となる六価クロムを用いない電解研磨を、化学研磨と同レベルのコストで実現している点で、環境意識の強い大きな企業からも信頼を寄せられている。

mofumofuプロジェクトにおいては、尋常ではない色数の試作に進んで協力をしていただき、また着色だけでなく、さまざまな表面加工、完成度を上げるための治具の改良検討など、あらゆる面で協力してもらっている。他社なら後ずさりするような仕上りの要求に、踏みとどまって必死に答えてくれているのは、この会社のDNAそのものであり、ひたむきな向上心で努力を続ける若き跡取りの存在があるからだ。

若きアルマイト職人 桐島君のこと

大阪府下にはモノづくり中小企業が本当に多い。車でどこを走っても、そこいらじゅう小規模の町工場と倉庫だらけという街並みで、バブル期にはそれぞれが忙しく機械を動かしていたという話は、このような状況を見渡して仕事する日常にあってもなかなか想像しがたい。
現在においては、すべての商品の寿命は短く、多様化する嗜好に合わせ製造の小ロット化が極まっている。そもそも人口が激減していく過程が続き、需要の絶対量が減っているのだ。ただただ、夜遅くまで機械を動かして、効率よく多く商品を造ることが求められた時代はとうに過ぎ去り、派手さで楽しそうなイメージとは真逆のものづくり中小企業には、若い人が集まらないだけでなく、職人たちの引退とものづくり企業の廃業は日々積みあがってい日常であり、日本のモノづくりの空洞化はまさに現在進行中の出来事だ。

mofumofuの開発に協力していくれている桐島 誠くんは入社5年目、33歳の社長の息子、この会社の跡取りである。彼は高校時代はラガーマンで、そのハートの熱さ、素直で前向き、社交的で明るい性格は天性のものだろう。SNSでの情報発信、商品開発の実験とチャレンジ、行政や自治体との連携、補助金の積極的な活用など、学生時代に真剣に取組んだラグビーでより磨きがかかったのだろうか、素直で前向きにすぐ実行するチャレンジ精神にはいつも感心させられる。彼はその性格から誰からも好かれるので、一回り年下にもかかわらずとても顔が広い。近ごろは、彼から紹介してもらってモノづくりの人たちとのご縁が増えている。

ところで、電解研磨加工に必須とされてきた六価クロムをフリーにする手法は、時代の環境要求に応えようとした末に勝ち得た電研の独自技術で、これを実現できた同業者は存在しない。六価クロムフリーを実現することで、環境や人体に影響を与えない加工を実現しているのはもちろん、排水の科学中和処理などを省くことでコストの圧縮を両立できている。
そこに到達する過程には、社長と工場長お二人の壮絶ともいえる試行錯誤の日々と、信じてそれを支える奥さんの、想像を超えるご苦労があったという話の一端を彼から聞いたことがある。先代たちの背中を見て仕事をする彼には、その大きな苦労から望みをつないだ現在に対する感謝の念が根付いているのだろうと思う。

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大きな変化の波にさらされ、従事人口が減少を辿っている大阪のモノづくり中小企業の跡取りグループのなかでも桐島君は、その若さと積極性からも大阪のモノづくりの世界で目立つ存在となっている。積極的に活動する姿、誰に対しても自ら進んで貢献しようとする姿勢を見せられると、自分もまだまだ勉強して成長できるはずだと奮起させられる。桐島君との出会いは、mofumofuプロジェクトを通じて得た大きな財産の一つだと思っている。











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パッケージや什器をつくる会社を経営してます。 パッケージや什器にこだわらず、モノづくりする仲間たちと一緒に、 あたらしい価値やたのしさを追いかける日々です。 1972年生、48歳、大阪府在住、3子の父親 三栄ケース株式会社 代表取締役 www.san-ei-case.com