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浜松の弁護士望月彬史のノート

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よろしくお願いします。 県弁護士会浜松支部所属(渥美利之法律事務所) 電話053‐453-1034(電話での相談及び無料相談は行っておりません。ZOOMとスカイプでの有料相談対応)
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#法曹

ブラジル国際私法上の契約準拠法(当事者の合意に基づく準拠法選択に関する問題点)

1 はじめに 今般、所属する外国法制研究会でブラジル法の打合せをしていたところ、ブラジルの国際私法上、契約準拠法等につき、当事者の合意で準拠法を指定できないのではないか、という点が話題になりました。 2 日本の国際私法 契約に適用される準拠法がどのように決定されるかは、日本では法の適用に関する通則法7条により、原則として当事者の選択を認めています。同条は「法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。」と定めており、契約準拠法を当事者の合意

祖父母等の親以外の面会交流に関する準拠法について

昨今、親子ではなく親以外の親族と未成年者(子)との面会交流権について以下のような記事がありました。 現在、日本法では、最高裁令和3年3月29日決定(判時 2535号29頁)もあり、基本的には祖父母の未成年者(孫)への面会交流は権利としては認められていないと考えられています。とはいえ、祖父母と未成年者(孫)双方(もしくは孫の監護権者と祖父母)が合意すれば面会交流することは妨げられないことは言うまでもありません。 日本とは異なり、諸外国の法制では親以外、祖父母等につき、面会交

共著刊行のご案内

来年、準拠法がフィリピン法になる家事事件や、それにかかわらないフィリピンの方が問題となる日本での家事事件、在留資格、国籍等に関する実務書を共著で刊行するはこびとなりました。 基本的には法曹(裁判官検察官弁護士)及び法務局、市区町村の戸籍担当者向けですが、広く国際的な支援団体やフィリピンにかかわる方等にも読んでいただけたらと思います。 Q&A フィリピン家事事件の実務 ~婚姻・離婚・出生・認知・縁組・親権・養育費・死亡・相続・国籍・戸籍・在留資格~ 伊藤弘子=望月彬史=青木

ニュースから見る、台湾の方と台湾以外の方との(台湾での)同性婚について

昨今、このようなニュースがありました。台湾で婚姻届の受理を求めて提訴した台湾人と日本人の男性カップルが、記者会見した、というものです。 台湾では、法が改正され、同性婚が認められるようになりました(東アジアで初ではないでしょうか。)。しかしながら、これにより台湾で同性婚が認められるのは、主に台湾の方同士のカップルの場合です。この報道のケースのように、台湾の方と日本人の場合では、どうなるでしょうか。 台湾地域内での、国際的な婚姻について、どの地域や国の法を適用するか、という問

共著出版のお知らせ(外国人事件ビギナーズ)

所属するLNFから、弁護士用の実務書籍である外国人事件ビギナーズの改訂版が今月25日予定で出版されます。 当職は、第3編 民事・家事第1章 渉外民事・家事事件のうち、渉外家事総論、婚姻、離婚を担当しております。前版から85%ほど書き換え、この間外国人ローヤリングネットワークのメーリングリストによせられた質問への回答も反映させています。 弁護士の方、法科大学院生、司法試験受験生の方におすすめします。

取扱事件の掲載について

戸籍時報797号17頁以下の「渉外家事事件判例評釈84」(評釈者:高杉直先生(同志社大学))において、当職が訴訟代理人をしました、静岡家庭裁判所浜松支部令和元年12月24日判決が掲載されております。 異国籍の外国人夫婦の離婚の準拠法と親権者指定における子の本国法に関する案件になります。 よろしくお願いします。 戸籍時報についてはこちら。

新ネパール民法典中、国際私法規定の試訳

1 はじめに 2018年8月17日に施行された新しいネパールの民法典中,第6編(Part6)にある国際私法に関する規定について,試訳しました(原文は同国の法務・司法・制憲議会・国会省に係る英文に拠っています。また,「適用される」「決定される」やその他の日本語の表記揺れは基本的に原文に拠ります。)。  なお、6編を含む新しい民法典については、既にその概説が公開されています(石﨑明人「ネパール新民法の概要」(法務省法務総合研究所国際協力部報77号156-191頁))。  相続

御礼(令和2年3月24日修正)

(令和2年3月24日追加) 浜松まつりが中止になりましたので、寄附につきましては、社会福祉法人和光会(児童養護施設 和光寮)に送ることにしました(この施設の子が、祭絆会のイベントに来る予定でした。)。 1月にこのノートで案内させていただいた書籍が、無事発売されております。以下のサイトからも購入可能です(浜松及び浜松管内以外の県内の弁護士の先生方には、弁護士共同組合から4月に書面での購入案内がレターケースに行くと思います。)。 売上の印税の一部(ごく一部ですが)は、浜松ま

【書籍出版のお知らせ】

このたび、修習(司法試験合格後に、弁護士裁判官検察官になる前の研修)の同期の弁護士森山直樹先生と一緒に編集代表となり、弁護士向けの書籍を出すことになりました。 専ら、平素あまり外国人関係の事件を受けない、市井の弁護士の先生向けの本になります。「普通の事件と同じなのか?」というところにリーチできる内容になっていればと思います。 よろしくお願いいたします。 https://www.amazon.co.jp/dp/4474069595/ref=cm_sw_r_apan_gl

子の連れ去りに関するハーグ条約締約国の親権・監護権法制について(フィリピン)

外務省ハーグ条約室のサイトに、ハーグ条約締約国であるフィリピンの親権・監護権に関連する法令についての解説が掲載されました。 望月は概説中3頁から9頁、条文訳の反人身取引法と児童虐待防止法を担当しました。下記からご覧になれますので、よろしくお願いします。

戸籍時報784号渉外家事事件判例評釈(40-48頁)のご案内

当職が評釈しました、渉外家事事件判例評釈(77)「フィリピン人と婚姻中のフィリピン人女性から出生した子による日本人実父に対する認知請求(名古屋家審平成28年5月29日)」が戸籍時報784号に掲載されております。 宜しくお願いします。

近況報告&日本人とモロッコ人との日本の方式での婚姻についてのメモ

最近全く投稿していませんでした。本日と明日は国際私法学会です。また、来月号の戸籍時報に渉外家事事件(準拠法としてフィリピン家族法が問題となる事件)の評釈を掲載してもらいます(またノートでお知らせします。)。 日本人とモロッコ人の日本での婚姻についてのメモです。 日本において日本人とモロッコ人が婚姻する場合の方法 1  方式(何の手続をしなければならないか)について →日本国内での婚姻の方式は,日本法でよいので、市役所への届出でよいことになります(通則法24条Ⅱ) 1-

新旧ハンガリー国際私法における、ある抵触規則の改廃について

以前ツイッターで以下のつぶやきをしました。 国際私法(準拠法決定ルール)は、強行性(強行法規である)があると考えられています。日本において契約準拠法等の準拠法決定方法が当事者自治であるのも、強行法規である国際私法において、準拠法選択ルールとして定められているところを前提としています。 一方、上記の強行性と反する見解として、任意性を認める、つまり、当事者が求める場合にのみ、国際私法により準拠法の選択がなされ外国法の適用を受ける、というものもあります(ありました)。 その見

セーシェルの改正民法案中の国際私法規定(2018年7月24日時点)

セーシェルの民法典(1975年法)は、仏法(ナポレオン法典系)の影響を受けた民法で、2281条(経過規定等除く)と大部な民法典です(日本民法は、最後が遺留分ですが、同国では取得時効期間の定めです。)。 同法律につき、2017年に改正法の草案が作成され、今般国会で審議されているとのことです(注1、同サイトでは、改正部分は全体の10%だそうで、残部は同じ定めとされています。)。 仏法の影響ということでしょうか、(イギリスのあと、過去フランスが植民地化しています)、国際私法規定