マガジンのカバー画像

浜松の弁護士望月彬史のノート

36
よろしくお願いします。 県弁護士会浜松支部所属(渥美利之法律事務所) 電話053‐453-1034(電話での相談及び無料相談は行っておりません。ZOOMとスカイプでの有料相談対応)
運営しているクリエイター

#家族法

共著刊行のご案内

来年、準拠法がフィリピン法になる家事事件や、それにかかわらないフィリピンの方が問題となる日本での家事事件、在留資格、国籍等に関する実務書を共著で刊行するはこびとなりました。 基本的には法曹(裁判官検察官弁護士)及び法務局、市区町村の戸籍担当者向けですが、広く国際的な支援団体やフィリピンにかかわる方等にも読んでいただけたらと思います。 Q&A フィリピン家事事件の実務 ~婚姻・離婚・出生・認知・縁組・親権・養育費・死亡・相続・国籍・戸籍・在留資格~ 伊藤弘子=望月彬史=青木

スリランカ法の本国法の特定等に関する実務上のヒント

1 はじめに 最近、noteへの投稿が減っております。そこで、過去当職が所属している外国人ローヤリングネットワークに投稿した内容を踏まえて、タイトルの点について述べたいと思います。 今回、需要はないものの、有料記事としました。 近況ですが、 2023年に国際私法年報で論稿を発表します。これは2021年の国際私法学会報告にもとづくものです。また、特定の外国の外国法に関する渉外家事実務に関する共著を出版予定です。 2 スリランカが人際私法国&地域的不統一法国であること 弁護士実

有料
200

ニュースから見る、台湾の方と台湾以外の方との(台湾での)同性婚について

昨今、このようなニュースがありました。台湾で婚姻届の受理を求めて提訴した台湾人と日本人の男性カップルが、記者会見した、というものです。 台湾では、法が改正され、同性婚が認められるようになりました(東アジアで初ではないでしょうか。)。しかしながら、これにより台湾で同性婚が認められるのは、主に台湾の方同士のカップルの場合です。この報道のケースのように、台湾の方と日本人の場合では、どうなるでしょうか。 台湾地域内での、国際的な婚姻について、どの地域や国の法を適用するか、という問

英国司法省に係る報告書の一部和訳について

ご無沙汰しております。この時期は浜松まつりの準備でnoteどころではないのですが、コロナの影響もあり、今年の浜松まつりは、当職の町は不参加となりましたので、記事をあげます。しかしながら、浜松まつり参加町の皆様には、是非、コロナ下でも安全に行われ、各家の初子さんの凧が五月の空に天高く揚がり、成功裏に終わることをこの場で祈念させていただきます。 本題です。 昨年、イギリスの司法省が発表した報告書である 「Assessing Risk of Harm to Children a

ブラジル法を準拠法とする養子縁組に関する根拠法メモ

1 はじめに   ここでは、ブラジルの養子縁組に関する根拠法について簡単にメモをしたいと思います。日本の家裁や弁護士の実務において(注1)、通則法31条1項で準拠法がブラジル法になる場合(養親本国法や保護要件としての養子本国法)となる場合の整理とします。 2 旧法 (1)かつては、同国では(完全に一致するわけではありませんが)、①日本の普通養子縁組に相当する養子縁組と②日本の特別養子縁組に相当する養子縁組がありました。①を普通養子縁組、②を完全養子縁組とします(注2)。

国際養子縁組法制に関する国際比較(ウェブセミナー)の研究報告について

戸籍時報804号において、上記研究の報告がございます。 同セミナーは外国法制研究会が、南アフリカ、シンガポール、中国の研究者と行ったものです。当職は日本の国際養子縁組に係る準拠法ルールについて報告を行いました。 ご関心のある方はご覧いただけると幸いです。 https://www.kajo.co.jp/c/magazine/001/31001004011

戸籍時報784号渉外家事事件判例評釈(40-48頁)のご案内

当職が評釈しました、渉外家事事件判例評釈(77)「フィリピン人と婚姻中のフィリピン人女性から出生した子による日本人実父に対する認知請求(名古屋家審平成28年5月29日)」が戸籍時報784号に掲載されております。 宜しくお願いします。

近況報告&日本人とモロッコ人との日本の方式での婚姻についてのメモ

最近全く投稿していませんでした。本日と明日は国際私法学会です。また、来月号の戸籍時報に渉外家事事件(準拠法としてフィリピン家族法が問題となる事件)の評釈を掲載してもらいます(またノートでお知らせします。)。 日本人とモロッコ人の日本での婚姻についてのメモです。 日本において日本人とモロッコ人が婚姻する場合の方法 1  方式(何の手続をしなければならないか)について →日本国内での婚姻の方式は,日本法でよいので、市役所への届出でよいことになります(通則法24条Ⅱ) 1-

<イタリアの民事婚と教会婚について(法科大学院生向け)>

1 以前の投稿について 以前,イタリアの離婚(民事婚)要件の緩和について,投稿しました。 https://note.mu/hamamatsu/n/n183babe71a65 ところで,民事婚(民法に基づき婚姻する一般の婚姻)以外にイタリアでは何かあるのか?ということになります。 イタリアでは,ローマカトリックの総本山はローマ市内(ただし,イタリアではなくバチカン市国ですが)にあることもあり,ローマ教会の教会婚(宗教婚)も認められているのです。 2 教会婚の法源につい

トルクメニスタンには国際私法規定はない??(平成29年4月28日一部追加)

トルクメニスタンは(旧ソ連の国で、カスピ海に面しています。)なかなか面白い国で、大統領のほぼ独裁です。1代前の大統領は、口パクを「法律で」禁止したことでも有名です。 議会議員は大統領の承認を得る必要があり(wikipedia),事実上一党独裁ですのでそのような立法も簡単にできるわけです。 そんなトルクメニスタンの民法典は、その名も「サパルムラト=ト(ゥ)ルクメンバシュ=トルクメニスタン民法」です。1999年に制定され、2000年1月1日に施行されました。この長い民法