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(全文公開)待ったなしの気候危機

今年も九州を中心に日本各地に大雨豪雨、洪水といった水災が起こり、多くの死者をだし、生き延びたとしても居住地を失っていまう住民の方も数多くいた。SDGsの目標に「目標13 気候変動への緊急対策」があるが、この対応への日本の評価は決して高くない。(なお、The 2020 SDGs indexによるとSDGs達成度の世界ランキングで日本は17位となっている)

今回は、気候危機によって将来世代が被るリスクを改めて整理しておきたい。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2018年10月に発表した「1.5℃特別報告書」によると、1850~1900年の工業化以前に比べ、現在の世界の平均気温は、人間活動によって約1℃上昇しているとされている。

地域や季節によっても温暖化の影響は異なる。東京都の年間平均気温はこの100年で1℃どころか3℃も上昇した。2015年に採択されたパリ協定では気温の上昇を2100年までに2℃以内に抑えることを目標としているが、仮にこの目標が達成されたとしても、世界の生態系に及ぼす影響は存在する。

まずは水温上昇に伴うサンゴ礁の白化だ。過去3年間で、グレートバリアリーフなどの大規模なサンゴ礁の50%が失われている。今後気温が1.5℃上昇すると、70~90%のサンゴ礁が消滅する可能性があり、そこに生息する生物もダメージを受ける。

私たちが口にする食べ物にも影響が及ぶ。気温が1.5℃上昇するとトウモロコシや米、小麦などの主要な農作物の生産量が減少し、1.5℃上昇すると3,200万~3,600万人が飢餓に陥ると予測されており、これが2℃の場合では3億3,000万人~3億9,600万人である。また気温の上昇は、水不足、干ばつ、寄生虫や病原体による被害をもたらすなど、生命そのものにも大きく関わってくる。

気候変動の課題がSDGsの目標に組み込まれることになったのも、気候災害の及ぼす影響は気候災害の脆弱国である途上国を中心に及ぼされていることがある。SDGsの理念の一つにLeave no one behind(誰一人取り残さない」があるが、これを実現するためには気候変動を根本的に解決しなければならないというわけだ。

しかし、気候変動問題は、その歴史において簡単には解決できないような国家間での対立も存在する。気候変動の主要因となっている温室効果ガスの排出はこれまでの歴史においてそのほとんどが先進国において排出されたものであるためだ。これは「気候正義(クライメイトジャスティス)」の問題であるとされているが、経済成長著しい途上国がいかに気候変動対策を行っていくのか、資金面・技術面を含め先進国が継続的に支援をしていくことが求められている。

では具体的に市民一人一人がどう行動していくべきか、これは日々の消費行動に直結する部分があると思う。「環境負荷・エネルギー不可の小さい地元の食材を買う」「家の電力会社を再生可能エネルギー発電をしているところにしてみる」「貯金している銀行口座を環境配慮な事業に融資している口座に変えてみる」など。私は気候変動問題を追求するためにNGOで活動をしてきたが、上記のような「食、エネルギーそしてお金」この3つを私生活において少し変えてみることで、一人からでも気候変動対策に大きく貢献できることを学んだので、みなさんもぜひ実践してほしい。


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