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精子提供の親を知る権利

少子化対策の一つとして、不妊治療があります。結婚して籍を入れたとしても、その後に妊娠するという保証がありません。だからと言って妊娠してから籍を入れるというのも、手続きや親戚への説明など苦労することになります。
結婚後に妊娠しない場合には不妊治療の他に、精子提供という選択肢もあります。実際にSNSでも精子提供しますというアカウントが存在します。

精子提供によって生まれた子供が、順調に育った後に、子供が本当の親を知る権利が問題になっています。精子を提供した側は将来的にプライバシーが守られる前提での提供をしています。かつては、慶應大学病院が結婚しているカップルへオフィシャルに精子提供を行っていましたが、今はプライバシーが守られないかもしれないというリスクから応募者はいません。
シングルで子供を育てることが欧米に比べてマイノリティである日本では父親が誰であるかということが重要視されます。また、子供にとっても、実の父親に会ってみたいという気持ちが捨てきれないのも事実です。

将来的に、制度として精子提供が確立するとしたら、バーチャルの世界で繋がった人に、リアルな世界で一時的に精子提供をして、子供もバーチャルな世界では実の父親と交流できるというやり方が考えられます。今もFacebookなどで繋がることはできますが、どうしてもリアルに会いたくなるという問題が解決できません。バーチャルの世界での交流が生活の半分以上という世界になれば、精子提供の父親とバーチャルな世界でだけ交流会するという形も実現しそうです。

精子提供はあくまで子供を作るところまでで、その後の責任は母親、または精子提供を受けたカップルに子育ての責任があるということは、親は理解しています。それでも子供には理解できないことです。自分のルーツは何なのかという問いは歴史を勉強したり、旅行したりすることで考えを深めることはできますが、自分のほんとうの父親は誰なのか、生きているのなら会いたいという気持ちは生物としての本能で止めることはできません。

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