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リサイクルコットンの誤解。

前回の闇回にも少し関係ありますが、環境を守るための動きが活発になってきていて、繊維業界もこれを意識せざるを得ません。色々ありますよね、水だの、土壌汚染だの、そして廃棄など。
オーガニックコットンやフェアトレードコットンなどは、名前からもわかる通り、何を改善していくのか読み取りやすいです。オーガニックは農薬を使わないから土壌に良いとか(他に細々とありますが)、フェアトレードは栽培している生産者に適正価格を支払っているとか、とかとか。

日本国内でこれらの謳い文句で商品展開している様々なモノはありますが、少々綺麗に書かれすぎている部分(もしくは通常の商業向けコットン生産があまりにも悪いかのように書かれている節)があり、僕個人的にはツッコミどころ満載ではあります。が、まぁ商売は成立しているし、購買者もその環境保全のため少々ファッション的に"イケてなくても"その考え方を価値として対価を払っているので、基本的に僕からは何も言うことはありません。

でも、リサイクルコットンは、おそらく少々、いや結構な曲解があると思われるので、今回そのことについて触れておこうと思います。

巷のリサイクルコットンの誤解

これ、陰険な揚げ足とりをしてしまっていますが、このような一般親和性がある媒体がライトに間違いを拡めてしまうと、ものすごく環境意義があるように誤解されてしまいます。

まず、巷でリサイクルコットンと呼ばれている原糸は衣類を解体して再利用されている繊維ではありません。
紡績時にある銘柄の糸を作っている工程途中で商品規格に合わなかった繊維長の短いものが脱落した未使用の繊維を利用しているのがリサイクルコットンです。
綿花をほぐすと、その中には繊維の長さが長いものから短いものまで色々あります。それをある一定の細さの糸にしようとすると、ある程度長さが必要で、長さが足りない繊維は規格外として、紡績工程で脱落していきます。

その脱落した繊維も、糸の太さや条件を変えれば糸として復活することが可能です。それが色々と銘柄はありますが、通称リサイクルコットンと呼ばれる原糸です。

「どっちにしてもゴミにならないから環境に良いのでは?」と思われそうですが、昔からこの辺の規格外繊維は別途使用されています。布団のわたとか、産業資材用不織布とか。衣料用原糸として再利用されているからリサイクルコットンと言われているだけで、今まで別に環境負荷をかけていたわけではありませんし、コットンだけ捨てたとしてもちゃんと土に還りますから。
実は紡績各社自体も、このリサイクルコットンに関して特段『eco』を価値訴求していません。グレーな表現ではありますが、ただ落ち綿をリサイクルしているからリサイクルコットンとして糸を売っているので、僕にしてみると、使用者側が『一方的に付加した過大イメージ』という認識です。

こりゃもはや『eco』とは言えんよね。と、僕は思うわけで。

しかし、これもこの辺を付加価値として訴求しているメーカーがたくさんあり、リサイクルコットンに対して『eco』を謳いとした付加価値での商品に関しては、冒頭のように様々な利害関係の一致が市場を作っているので、これについて市場が悪だのなんだのと言うつもりは全くありません。

あくまで事実として、『リサイクルコットンが衣類を解体して再利用されているものではない』ということを取り急ぎ訂正しておきたいと思い書き記すのであります。

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