見出し画像

何を見ていたのか、よくわからなくなった。

この記事は「みんなで連載小説 PART2 Advent Calendar 2018」5日目の記事です。 https://adventar.org/calendars/3686
ナターシャさんの本編、Miyuki Iidaさんのアナザーストーリーを受けて続きを書いていきたいと思います。

次の店はどこにしようか…
行くアテもなくトボトボと歩いていると、先程までドトールでキャッキャと騒いでいたカップルに追い越されていった。
手を繋ぐのを見て、思わず羨ましいと思ってしまった。

思わず、瑞希のその白い手を握ろうと触れてみたところ逃げられてしまった。仕方あるまい。
手をポケットに仕舞おうとしたところ、スマホが振動していることに気付いた。
(こんな時に誰から着信だよ…)
ポケットから拾い上げて見えた画面には、「非通知」の文字。
普段なら無視するのだが、今回ばかりは着信時間が長く、何故か気になった。

「あ、ちょっとごめん電話出るわ………
はい、もしもし?…はい、はい…」

通話をしながらどこを見るでもなく、ただなんとなく瑞希の方を見た時、ふと手首の傷が目に入った。
信じられなかった。あの口下手だけど一生懸命に喋って、自分の話には太陽のように笑ってくれた君が。
4年という時がどれだけ彼女を変えたのか。そこにはもう自分が知っている君はいなかったのだ。自分は4年の時を経て、また上っ面しか見えなくなったのだった。

「わかりました…それでは」

通話を終え、きちんと瑞希に向き合った。
電話の内容もさることながら、その事実も相まって目の前がグルグルするような感覚に苛まれた。急に予定が変わったことを詫びなければならなかった。

「ごめん、俺、これから行かなきゃならなくなった」

どこへ?と首をかしげる君に、そっと耳打ちした。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

1
アドベントカレンダーのためのメモ帳
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。