はじめてVRをかぶり、VRChatに行くまで。

はじめに

この文章は、筆者がVRに出会ってからVRChatという空間に飛び込むまでを、当時の記憶やツイートをもとにまとめたものです。

前日談

わたしがVR機器を買ったのは、2018年の12月のことだった。

その年の初め頃、"バーチャルYouTuber"なる存在を知り、YouTubeで彼ら彼女らの動画を追いかけ始めた。また、フォロワーがVR機器を購入してカスタムオーダーメイドで美少女になったり、RTでVRゲームのアバタープレイ動画を見たりして、VRという世界への興味が徐々に湧いてきていた。

11月に立ち寄った秋葉原のツクモVRで、店員に勧められるままにHTC VIVE PROを頭にかぶり、初めてのVRを体験した。そのときの衝撃は計り知れない。体験したソフトは、海中散歩ができるものであったが、自分が移動すると本当に景色がそれに合わせて動き、水の音が聞こえる方角もまるでそこに音源が実在しているかのようであった。さらに、手元を見ると、店員が渡してくれたコントローラが、HMDを被っていないときと寸分違わない立体感で、手を握っている位置に見えていた。ほんの10分ほどの体験であったが、その場で購入を決断するには十分だった。

12月。仕事を終えると、自宅にHTC VIVE一式が届いていた。PCとお部屋をセットアップして、HMDを被ると、SteamVR HOMEの空間が広がっていた。何から始めようか考え、試しにちょっと気になったGoogle Earth VRを起動してみると、PC画面で見るのと全然違う臨場感で、本当に旅行しているかのような景色が見えた。次に動画で気になっていたBeat Saberというゲームを買ってみると、ゲームの世界に入り込んで向こうから飛んでくるブロックを切っていく快感と臨場感の虜になった(これは1年経った今でも変わらない)。VRを買って最初の3ヶ月は、ほぼこの2つのソフトだけで過ごした。

VRChatを始めるまで

Beat Saberをプレイしているうちに、以前タイムラインで見たようにアバターを使ったプレイ動画が撮りたくなってきた。そして、ニコニ立体ちゃん響狐リクちゃんといった3Dモデルを入手し、バーチャルモーションキャプチャーというツールを使って見よう見まねで動画を撮影してTwitterに上げてみると、思った以上の反応があった。反応してくれた人をフォローしていくと、自分の知らなかったVRゲームの動画とともに、VRChatの世界の写真や記録がTLに流れるようになった。

VRChatの存在自体は、とあるVTuberの動画経由で知ってはいたが、自分が行っても楽しめるかどうか不安で手を出すことはしていなかった。また、「自分はVTuberになりたいのか」「バーチャルの人格はリアルの人格と切り離すべきなのか」など悩んでいたことも、VRCを始める妨げとなっていた。

しかし、ある日TLで「バーチャルマーケット2」なるイベントが近く開催されるということを知る。調べると、アバターが展示され、実際にVR空間上で試着できるという。そのようなイベントが企画されているということが面白く、さらに自分がVR上でいろいろな姿になれたらどんな気分になるのか興味が湧いてきた。ところが、VRChatは、ある程度プレイしないとアバターを自由に変えられないというシステムがあるらしいということも知った。そして、バーチャルマーケット2開催が約1週間先に迫った2月28日、VRChatをインストールした。

2月28日

この日、私はVRChatに1,2時間ほどログインした。その時に受けた衝撃はすさまじく、記憶が新鮮なうちに文章に書き起こそうとした私はその一部始終をTwitterに連投していた。当時のテンションをありのままに伝えるべく、以下はそのツイートをそのまま引用する。

今日初めて #VRChat に飛び込んだんですがあまりに刺激の強い体験だった……
https://twitter.com/halpha656/status/1101144328578035712
まずチュートリアルで動き方を覚えたあとでPublicにあったユニティちゃんアバターにお着替え。やばい、一人称視点でユニティちゃんになってる。手が動くぞ。
そしてHubっていうワールドに行ったら、なんか通りすがりの人に英語でHelloって話しかけられる。こわ。なんだこれ

(注:この"チュートリアル"とは、初めてログインするときに出てくる、動き方を覚えるための空間である)

コミュ症発動して他の人に近づけずうろうろ。とにかく色んなワールド行ってみたい、まずは1人でいいから…って言って、「jp」でワールド検索していくつか探検する。神社とか、旅館とか歩き回ってみた。なるほど、いろんなワールドを一人称視点で歩いてるだけで散歩気分になれて楽しいな。

画像1

いくつか回って、あるワールドに行ってみたら、何やら他のワールドへ行くポータルが開いている。好奇心のまま飛び込んでみたら、隠れ家みたいな場所に出てきた。数分で太陽が空を一周して昼と夜が繰り返され、落ち着いた雰囲気の音楽が流れている。中央の暖炉?からは三角形の炎が出ていた。

画像2

あたりを見回していると、一人の少女が自分に近づいてきた。彼女は自分と比べると半分ほどの背丈で、私が見下ろす形となった。彼女は特に何か喋るわけでもなく、部屋にあったオブジェを自分に渡してきた。オブジェを受け取って、また返したりして、何となくコミュニケーションを取れた。

画像3

そうしているうちに、その子は部屋の中にいた別の人のもとへ歩いていったので自分はまた部屋を歩き回る。…と、何やらさっきから見慣れないマークが視界にあると気づく。メニューを見たら、あの子からフレンド申請が来てる!承認したら、彼女がこっちに走ってきて…

ハグされた。
やばい、うれしそうな笑顔でハグされた。しゃがんで目線を合わせたら、10cm先にその笑顔が待っている。これが世にいう「ガチ恋距離」か…やばい…と思ってたら、今度は頭を撫でられた。なんだこれ、なんだこれ。かわいい女の子に突然こんなことされて、おかしくなりそう。
こっちも撫で返そうとしたが、なかなか腕が思うように動かない。それでも、その子は自分からすり寄ってきて気持ちよさそうにしている。声は一切出してないのに何だか心が通じた気分。VRChatって楽しいってか全く新次元の体験だ。
その後お部屋に居た別の子と踊ったり写真撮ったりしたあと、その子が別のワールドへのポータルを開いてくれたので3人で遊んだりしてました。

まとめ
・声出さなくても案外楽しめるかも
・実世界にある景色やありえない景色が広がるワールドの探検たのしい
・ガ チ 恋 距 離 は 劇 薬

もうテンションが途中でおかしくなっていた。現実に無いような物体が並ぶワールドに自分がいて、そして私の目の前で人が動いて、自分の動きに反応する。それだけで楽しくて嬉しかった。全く新しい世界が、HMDの先に広がっているように感じた。しかも、VRChatは、こういったワールドを、自分たちで作ってしまえるという。自分で作ったワールドに飛び込み、人と遊べるというだけで楽しくないわけがない。

また明日も絶対VRChatに行こう、そしてもっと色んな人と遊ぼうと心に決め、この日は眠りについた。


翌日の話は、また別の機会に。


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