富士山の噴石

 災害大国の日本。

 南海トラフ地震も恐ろしいが、富士山が大噴火でもしようものなら日本経済が大混乱になるのは必至だ。

 有史以来ほぼ100年おきに噴火してきたという富士山。前回1707年の宝永噴火からもう300年が経過しているので、「いつ噴火してもおかしくない」とか。

 そういえば。

 静岡県御殿場市に曽祖父が建てた別荘の居間にはゴツゴツした真っ黒な岩が飾ってあった。あれは宝永噴火の噴石だったのだろう。

 曽祖父が生まれたのは1861年。私が1963年だから102年前、幕末だ。満7歳で明治維新になったので、おそらく簡単なちょんまげくらいは結ったことがあったのではないか。

 彼にとって宝永噴火は「生まれる150年前の出来事」。明治人の時代に対するスピード感とスケール感は想像もできないが、きっと御殿場あたりには噴石がまだゴロゴロ転がっていたのだろうな。

 明治維新の後も、東京は関東大震災と太平洋戦争によって灰燼と化した。その爪痕がほとんど忘れられているようないまの東京。奇跡の復興を成し遂げた先人たちの偉業には頭が下がる。

 21世紀。災害も人災も、やっぱり必ずやってくるのだろう。たまたまここまで平穏だった自分の半生に感謝。息子たち以降の世代はこの繁栄をどのように継承していくのだろう。

 我が家の御殿場の別荘はもう跡形もない。居間にあったあの噴石はどこへいってしまったのかな。
(22/11/27)

 


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