おわりに
人生には幾度となくターニングポイントとなる出来事や忘れがたい事件が起こり、私はそれらを『走馬灯候補』と呼んでいる。そして、2020年1月21日。これは現時点で私の走馬灯のグランドフィナーレを飾るにふさわしい出来事が起こった。
それは突然のことだった。ライターのバイトをしている会社で作業をし始めて数十分後、ヴーとスマホのバイブ音が鳴る。何かと通知欄を見て仰天した。
『永谷園公式さんがあなたのツイートをいいねしました』
ヲタクが一線を越えた瞬間である。
その前日にツイッターで呟いた御社のガチャガチャに関するツイートに、まさかまさかの公式アカウントさまがいいねをくださったのだ。永谷園さまが……あのお茶漬け一筋60年のビッグカンパニーが一介の茶漬け狂を認知してくれた……!
しかもこれだけでは止まらない。通知欄では御社からの「よかったですね!」という旨のリプライとフォローバックを受けたことが告げられている。
一回落ち着いて状況を整理しよう。まず私はただの茶漬けヲタクで、永谷園さまは私の永遠の推しで、その尊い存在からたった今完全にファンサを受けて……。
どういう世界線? 私の生きていい世界軸なのここは。だってこれ、推しから認知されてファンサもらって今楽屋呼ばれてるのも同然よ? どえらい事態すぎる。夢か? 夢なのか? いや現実であってくれ! もしも夢なら醒めないでくれ!!! 息を整えてから限界ヲタクリプライと、昇天秒読みヲタクのパトスツイートを投稿したあの胸の高鳴りを今でも鮮明に覚えている。
大好きな商品をつくってくださる御社さまにフォローされる日が来るなんて、ADの仕事で毎日泣きながら過ごしていた1年前には想像もしていなかった。あの頃、一時の気の迷いで線路に飛び込んだりしなくてよかった。仕事を辞めて文筆家になる決心をしてよかった。大好きな茶漬けでエッセイを書こうと筆を執ってよかった。ひとつでも足りなかったら掴めなかった幸せだと思うと、今までのひとつひとつのターニングポイントが特別であり、愛おしくすら感じる。
愛は叫び続ければ必ず届く。努力はいつか報われる。ネガティブな私を救ってくれる希望的存在は、今までもこれからも茶漬けなのだろう。
「フォローされています」の文字が
嬉しすぎるのでスクリーンショット。
この喜びを常に感じられるように、
現在、スマートフォンのロック画面に
設定している。
物書き志願者です! 貴方のサポートが自信と希望につながります!