なんそれの1日

1月5日
つくづく、自分は数奇な人生を歩んでいると思う。

今日も朝早くから羽田空港に赴き、9時過ぎ発の福岡行きの飛行機に乗り込んだ。お正月休みの最終日曜日ということもあり、機内に人はまばらである。もっと言えば、私の座った列には誰もいなかった。

ガラガラの飛行機で福岡にたどり着き、タクシーで現場に向かう。イベント会場は先週行ったことがあるし、内容も演者さんが変わるだけで大きな違いはない。
特にトラブルに巻き込まれることなく1回目のステージを終え、お昼は近くのうどん屋さんに行った。2日連続うどんだが、私は毎日茶漬けを食べる女なのでさほど気にしていない。それに、福岡のうどんも有名だというし、名物が食べられるのはありがたい限りだ。
ゴボ天とお肉の乗ったイチオシのうどんは、出汁まで美味しくプッシュされるのがよくわかる逸品だった。

15時過ぎに2回目のイベントも終え、本来ならばこれで東京に帰るのだが、あろうことか会社が航空チケットを取り損ねたので今夜は泊まりである。何でも、すっかり予約するのを忘れており、思い出したときにはもう予約で埋まっていたのだという。当たり前だ。先ほども言った通り、今日は正月休みの最終日曜日、明日から仕事や学校がある人たちがこぞって上りの飛行機に乗るのだから激混み必至である。
座席のキャンセル待ちをしようにも望みは薄いし、人も多いので演者さんの気も休まらない。仕方なく、かわりに取ってもらったホテルで一晩過ごすことになった。

さて、夕食をどうしようか。演者さんが優しい方だったので一緒に食べに行くことは決定したのだが、場所が決まらない。屋台に行こうか、どこに行こうかとうんうん悩んでいると、演者さんの知り合いの芸人さんが地元であるこちらにいることが判明。
「家族でごはん食べに行こうと思ってたから、2人もおいで、」
その方のご好意もあり、ご家族の集まりにお呼ばれすることになった。
そう、わかりやすく言うとつまり

初対面の家族の新年会に参加した。

どんな世界線だよ。
よくわからないまま流れに身を任せて会場に向かうと、おこちゃまの私でも名前を聞いたことのある老舗クラシックホテルの中に入っている日本料理店だった。
通された御座敷にはきれいに並べられたテーブルセット、床の間と掛け軸。その昔バイトで入り浸っていた料亭にそっくりの作りだ。

えらいところに来てしまった。

変な汗が出てきた。とにかく当時身につけた知識のもと大下座に身を置き、参加者であるご家族が入るたびに起立してご挨拶をした。
ご家族はというと私が何者かなどあまり気にしていないようで、とにかくごはんと飲み物を勧めてくれる驚異のホスピタリティを発揮。4歳の男の子も私を気に入ってくれたようで、ずっと自分の周りにちょこちょこやってきては遊んでくれる。「お姉さんに遊んでもらってよかったねー」と言っていただきながら、こちらはずっと目を回しつつ寿司と天ぷらを食べさせてもらっていた。

結局、お腹いっぱいになるまでご馳走になってしまった。
ご家族に最敬礼を送り、ホテルに戻る。目まぐるしい数時間を過ごしたことと、腹がパンパンであることが作用し、少し横になっていたら眠ってしまっており今に至る。ホテルについていた温泉に入りに行くつもりが、気がついたら営業時間が終わっていた。

本当に、とことん数奇な人生を歩んでいるようだ。

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