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ベンチャーの大人化により、UIデザイナーとコミュニケーションデザイナーの分業化が進んだと思う

ここ数年で一気に需要が顕在化した感のある「コミュニケーションデザイナー」ですが、個人的に余裕のあるベンチャー企業が増えたこと、企業内でデザインへの理解が進んだことなどが原因で増えたのかなと思っています。

そもそもコミュニケーションデザイナーという仕事自体、前はUIデザイナーが兼任でやっていることが多かったと思うのですが、「デザイン」という大きな括りの中であっても、結構やってること(専門性)が違うこと、仕事量も結構あって負担が大きかったことなどから、UIデザイナーの兼任から分担へとつながっていったのではないかと思っています。

今回はその辺を少し書いてみたいと思います。

1.余裕のあるベンチャーが増えた
5〜6年くらい前だと、ベンチャーというと結構人数も少なく資金調達したと言っても1,000万とか500万とか少額の調達で大学生(もしくは20〜25歳くらいの若者)の仲間3〜4人くらいで始めましたみたいな会社に結構会っていた気がするのですが、最近そんなベンチャーを聞くことが少なくなった気がします。

年齢自体も30代40代の人が代表で、大手企業から独立しましたみたいな感じで、CTOもよく聞く大手IT企業の出身の方が多かったり、全体的な構成が大人な、少し洗練されたベンチャー起業が増えたイメージです。そんな起業なので資金の方も少し余裕があり、割と起業から2〜3年でUIデザイナーとコミュニケーションデザイナーを分けれるようになってる気がします。まぁこの辺は日本がベンチャーでの起業に慣れてきたみたいな側面があるかもですね。

2.企業内でのデザインへの理解が進んだ
冒頭でも少し書きましたが、UIデザイナーとコミュニケーションデザイナーは割とやってることが違います。UIデザイナーは主にプロダクトのデザインを担当し、アプリだとかfreeeみたいなwebサービスのデザインを作っています。画面デザインが多いので、「この画面は見やすいか?」「この画面から次の画面にいくのに不自然なところはないか?」など、お客様が「どうやったら使いやすいか」を真剣に考えることの多い仕事です。また、そのアプリ・サービスがどういうプログラムを使って動いているかの理解も大事なので、その辺の言語とか仕様の理解も必須です。

コミュニケーションデザイナーの方は、主にWebサイトとかLPとか、広告用のバナー作成、果ては展示会のデザインから名刺まで、主にアプリ・webサービスをお客様に理解してもらうことを考えています。企業内のグラフィックデザイナーといっても近いかもしれません。こちらは「お客様にサービスを良いと感じてもらったり、認知してもらうにはどうしたらいいか?」を考えることが多く、主にデザインもビジュアルデザインを担うことが多いので、UIデザイナーの画面デザインとは全く違うデザインになります。

以上のように、2つのデザイナー職種は「似てそうだけど全然違う」ことをやっています。デザインへのアプローチだけでもUIデザイナーは「自然な使いやすさ」を主に考えているのに対し、コミュニケーションデザイナーは「サービスの良い部分に気付いてもらう」ことを念頭にアプローチしています。さらにデザイン自体も画面のデザインなのか、メインビジュアルを作るのかとなるとやってることは全く違ってきます。

今までは主にベンチャー企業の予算の都合で無理やりに近い形で(笑)UIデザイナーが兼任してましたが、余裕のある大人なベンチャーが増えたおかげで、企業内での分業体制が進んできたのではないかと思っています。デザイナーの視点から見ても非常に良い傾向だと思っており、各々が専門性を発揮することにより、より洗練された企業・サービスになっていくことは間違いないので、好ましい進化だと思っています。

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