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映像と動画の人に教えてほしいこと

最近、映像(動画)界隈がよく炎上していますね。遠巻きにみていますが、こんなツイートも見つけたので「わたしはこういうところ聞きたいな〜」という勝手なウィッシュリストを書いてみます。ぜひご検討を...

芸術の映像、カネの動画

同じ「動く絵」を扱っている人でも映像畑と動画畑の人がいて、タイムラインを見ているわたしの印象は芸術の映像、カネの動画という感じです。代理店で3Dアニメーションをしていた私は「映像」に入るような気もしますが、エンタメや(専門分野以外の)広告系をアクティブに避けてきた(後述)ので引け目を感じているし、プライドを持っているわけでもありません。

映像畑の人は技術をガッツリ持っていて、作品のクオリティが考え方の軸にあり、動く絵を「芸術」とみている印象です。対して動画畑の人は、人生設計と好きなことをかけ合わせたときに出た結論が動画、と言う印象です。スパイダーバースは作れないけどそれで不満はないし、生活できる技術とお金の最適解が考え方の軸にあると見ています。

クオリティ至上主義の地獄、映像の人に聞きたいこと

映像側(仮)の私が作品至上主義じゃないのはクオリティ至上主義に地獄を見てきた経験があります。映像業界にブラック企業がダントツに多いのは世界のどこでも変わりません。クオリティのためなら寝食や給料、人生設計を度外視するはずというやりがい搾取の末に立ち行かなくなる人をたくさん見てきました。エンタメ・広告業界に全力で近づかない理由もこれです。

なんとかサポートを求めても答えはただひとつ「自分で勉強してここまで這い上がれ」です。前職では上司に「毎日14時間働け」と言われました。もはや指導でも何でもありません。実際ずっと3D制作をしていますが、「とにかく作れ」だけでは全くうまくなっている実感もないし、実際うまくなってないと思います。でも周りの話を聞くにつけ、こんなのは普通です。これでは働きたくなくなるのは当たり前です。泣く子も黙る大学院ですら、激務の成果として方向性を示す指導や議論はかなり頻繁にありました。だから私は無責任な作品至上主義に断固反対です。

とは言っても、きちんとした教育システムを取り入れてる環境もあります。その代表格が、Blizzardと同じ環境でのアーティスト教育を心掛けていると公言するSAFE HOUSEさんです。取締役の鈴木卓矢さん(@takupomu)のツイートは映像業界に差し込む一筋の光のように見えることすらあります。

技術や作品クオリティが売りの映像の人に聞きたいのは、どんな映像教育を受けてここまでうまくなったのか、建設的に体系立って指導を受ける/技術を磨くにはどうすれば良いと思うのかということです。「そんな方法はない、自分で考えろ、甘えてる、好きな気持ちが足りない」というのもひとつの答えだと思います。SAFE HOUSEのようなところに弟子入りしたり学校に入り直すことも含めてリソースが少なく運要素が大き過ぎるし「好きならできる」みたいな根性論は議論の余地がなさすぎます。「作品のために他のものを犠牲にできないならやめちまえ」で軌道修正して去っていくのは試行錯誤しながら苦悩している、磨けば光るポテンシャルが十分にある真面目で優秀な人たちです。その優秀さとそれまでの努力から、議論の余地がないなら辞めるしかないと判断する人はたくさんいます。これはアカデミアやエンジニアが正当に評価されないためにより待遇の良い海外に流出するのと構造が同じです。

技術の格差が広がり、大部分を占めていたそこそこ優秀な人がいなくなり、一部の天才と全く優秀でない人しか残らないことは映像業界にとっても損失ではないでしょうか。これを阻止するためにも間を埋めてくれるサポートシステム、メンターシップ、マインドセットやカリキュラムはもっとないのかと思います。

「自分の人生」のためのビジネス、動画の人に聞きたいこと

立ち行かなくなった映像屋が行きつくのはクオリティ至上主義ではない映像ビジネスです。YouTubeも(かなり広義かもしれませんが)この中に含まれるし、インハウスで映像屋を抱える企業の多くもこの役割を果たしている印象です。「作品作ってから言え」と言われ続けた人は誰に何言われても、自分を守れるのは自分だけだということを残念ながら学んでしまっています。

生活していけるだけ稼げるのか、ワークライフバランスは存在するか。クオリティだけではない判断基準はクオリティと同じぐらい大切です。そしてクオリティに縛られていない動画畑の人はマネタイズやビジネスが圧倒的にうまいと思います。繰り返しになりますが、生活できないレベルのジリ貧でクオリティを追い続けて死にそうになっている映像屋はたくさんいます。彼らは動画の人からしてみたら十分すぎるほどの技術を持っているはずです。動画業界の人に聞きたいのは、自分が映像屋レベルの技術を持っていると仮定したとき、どのようにマーケティング、営業を展開し、マネタイズするかという戦略と、そのビジネススキルやマインドセットをどのようにして学べばいいかということです。

お互いの強みをクロスさせる方法を知りたい

映像屋はクオリティが、動画屋は異なるリソースレベルでのビジネス展開が何よりもの強みではないかと思います。私が挙げた知りたいことをざっくり要約するとお互いの強みと、それを獲得するまでの秘訣を教えてほしいということです。話せばわかる、じゃないけど、お互いから学べることは何かしあらあるはずだと思います。

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