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hey イネーブルメント元年 を振り返る

今年2月にheyに転職し、2021年はイネーブルメント全力の1年でした。heyにとっても、2021年はイネーブルメント元年。というわけで、今年を振り返ります。*本記事は「hey Advent Calendar 2021」企画の21日目投稿です。

わたしたちもまだまだ途上ですが、各社の公開情報も少ないため、このエントリーは情報量多め(=やや長文)に発信します。お付き合いいただけたら嬉しいです。

イネーブルメントってなにか

Sales Enablement(セールス・イネーブルメント)とは、「成果を起点とする、営業人材の育成、営業組織を強化・改善するための取り組み」
salesは「営業」、enablementは「〜をできるようにすること」(形容詞 ”able” から派生した名詞)です。

まだ日本では比較的新しい分野で、明確に定義されていない部分も多いですが、おおむねこのように解釈されています。

・営業研修、営業ツール開発・導入、営業プロセス管理・分析などあらゆる改善施策の設計
・目標の達成状況や各施策の貢献度などを数値化
・さらに、数値分析により、営業活動の最適化と効率化を目指す
→効率的な売上拡大・企業成長を目指す取り組み

この言葉がよく聞かれるようになったのは、ここ数年ではないでしょうか。わたし自身は、入社直前の2020年11月頃にはじめてこの言葉を聞き、自身の経験の一部が、Sales Enablement に該当すると知りました。

heyのイネーブルメント

2021年4月に新設されたイネーブルメントグループは、専任メンバー2名で活動しています。5月に書いた入社エントリでは、こう書きました。

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わたしたちは、Sales Enablement (営業育成)という言葉をつかっていません。それは、heyがめざしたいものとズレる点がふたつあるからです。

1. 「営業」にとどまらず、顧客接点を持つ全ての組織に向けた支援をしたい
2. 「育成」だけでなく各顧客接点における仕組みづくり・効率化を叶えたい

そのため、組織の立ち上げにあたり、自らを「イネーブルメントグループ」と命名し、こんなミッションを掲げています。

顧客接点をもつ各チームが
オーナーさんの商売繁盛のための活動において
高品質かつ効率的に動けるように支援する
※「オーナーさん」=サービスをご利用いただいているお客さまのこと

「各チーム」とは、もちろんセールス以外も含みますし、チームリーダーやマネジャー、協力パートナーなど、全てを対象としています。

イネーブルメントグループの役割

heyには現時点で主に4サービス( STORES プラットフォーム )があります。

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(上記は画像なので「詳しく見る」には飛べません。ごめんなさい)

それぞれサービスごとに、セールスからサポートまで、さまざまな専任チーム(合計20以上)がありますが、それらすべての組織に対し、イネーブルメントグループが担う役割(ファンクション)を大きく3つおきました。

1. トレーニングプログラムの企画・運営
2. 各種ツールの導入支援・定着化
3. 全社視点でのイネーブルメント

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2021年は特に1と3を中心に行ってきました。他社のみなさんとの情報共有にもつなげたく、以下記します。

【取り組み1】
トレーニングプログラムの企画・運営_新人向け

1−1 _部門横断 入社オンボーディング整備

heyは2021年1月に、事業会社3社が集まりひとつになりました。その影響もあり、入社後オンボーディングは、各事業それぞれの組織に最適化された形で進められていました。

入社後、業務にはいる前に知っておきたい事柄には、組織ごと独自のものもありますが、共通項も多くあります。全チームに実態をヒアリングし、マンパワー重複(同じ内容を各組織で実施)、組織による情報量やアップデートのばらつき(同じ内容でも伝わる精度が異なる)が発生していること、さらには全社的に不足しているものも見えてきました。そこで、まずはこの「入口」の整備から始めました。

顧客接点を持つすべてのメンバーに、知っておいてほしいこと&入社時だからこそ考えておきたいことを中心に、全てheyオリジナルで設計。いわゆるPX( People Experience )的な領域であっても、必要かついま不足しているものは、連携したりこちらで設計したりと柔軟に。今では毎月入社メンバー向けに実施しています。

1−2_各領域横断 入社オンボーディング整備

上記同様、同じサービス(事業)に関わる複数組織のメンバー間で共通する知識も多くあります。例えば、プロダクト知識や関わる業界の理解など。

こちらも、個別最適で実施されていたため、1−1と似た課題感がありました。上記4サービスのうち3サービス、各領域の組織リーダーの協力を得て横断研修を設計、リリース。イネーブルメント担当はもともとその事業に関わっていたわけではありませんが、逆に客観的な視点で知識の体系化と整理ができた部分もあるのではと思っています。

1−3_各組織別 入社オンボーディング整備

各組織でのオーナーさん接点のありかた(オペレーション)、システム入力方法など、組織独自で必要な知識・スキルは、組織の数だけあります。

簡単なようで実は見えていない「暗黙知」がたくさん隠れている部分(業務に慣れると「普通」になってしまう)です。さらに、組織のなかで「いつまでに、何を、どのくらいできるようになっていたらマルなのか」が明確でないまま進んでいることも多くある領域です。

2021年は、2事業3組織に対して「いつまでに、何を、どのくらいできるようになっていたらマルなのか」を策定し、そこへの必要条件として知識やスキルをブレイクダウンしたプログラムを設計・実装しました。横断/領域研修と異なり、具体的なロールプレイングやそのためのチェックなど、アウトプットも設計し、その確認までセットで行っています。

【取り組み2】
トレーニングプログラムの企画・運営_既存メンバー向け

オーナーさんのお商売繁盛を応援する(提供価値の最大化)というのは事業・役割問わず共通ながら、業務上では、インサイドセールス、オンボーディング、カスタマーサポートなど、各組織で目指すKPI(Key Performance Indicator)はそれぞれ異なります。

各組織ごとに、行動データや結果指標などを参照し、ボトルネックとなっている箇所を特定して改善をはかる取り組み。2021年は、3事業6組織にそれぞれ施策を設計・実装し、KPI改善につなげました。

具体的な施策として、下記にいくつか例をあげます。
・【インサイドセールス】オペレーション改善(架電前準備の見直し、トークスクリプトの整理、ロープレ実行ほか)
・【ダイレクトセールス】セールスモデルの設計と実装
・【オンボーディング】オーナーさんサポートプログラムの改善(業界知識の深掘り、ワークショップ、トーク改善ほか)

組織に実装・浸透して成果を出すためには、机上理論だけではだめで、各組織マネジャーやリーダーの協力が不可欠です。例えばハイパフォーマーの動きを徹底分析し、再現性を高めるために可視化する。全員のトーク録音から、頻出ケースやつまづきがちなポイントを整理する。イネーブルメントグループが直接ロープレや1on1をすることもあります。手段を問わず、改善のための最適解を模索しながら進めていきました。

書ききれませんが、社内組織のほか、パートナー企業さま向けにワークショップ&ロープレ実施によるトーク改善も実施しました。試行錯誤、失敗もありつつ、多くの施策において、KPI改善orそこへの足掛かりになりました。

【取り組み3】
全社視点でのイネーブルメント

取り組み1.2のようにKPI改善に直結はしないものの、オーナーさんへのよりよい価値提供のために必要なこととして、下記も設計・実装しました。

リーダー育成施策/マネジャーサポート施策

現場を取りまとめるリーダーたちがよい状態であったり、マネジャーが迷いなく進めることは、組織のパフォーマンスにも大きく影響します。

リーダー向けには、全員との1on1によるヒアリングからワークショップの設計実装、マネジャー向けには、メンバー1on1をどう進めていくかの勉強会などを行いました(「教える」ではなく「学び合う」もの)。

2021年の成果

担当2人で、多くの仲間の協力を得ながら、縦横無尽に駆け抜けた2021年。イネーブルメントは「成果を起点とする、人材の育成、組織を強化・改善するための取り組み」なので、効果測定が必ずセットになります。ここからは、各取り組みの成果を一部抜粋します。

【成果1】各組織で重複していたオンボーディング実施工数(講師が研修に費やす時間)がほぼ半減&内容の標準化 ※上記取り組み 1-1

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2021年新設した横断新人研修/領域研修(月1回*8ヶ月)への参加メンバーはのべ19組織30名。(徐々に対象部署を拡大したため入社人数とイコールではありません)※図はイメージ

横断研修参加メンバーがそれぞれ各組織で研修を受けたと想定すると、毎月、入社者がいる組織の数だけ講師の工数が発生します。組織ごとの研修内容にばらつきがあったため正確ではありませんが、複数サンプルを抽出した平均は12時間程度(組織独自のコンテンツを除く)。

参加者の所属組織のべ19組織(実施8ヶ月平均で2.4組織)で算出すると、月間約29時間が研修実施に費やされていましたが、12月実績は講師2名で15時間。現場で新人オンボーディングに割いていたベテランメンバーの工数を半減しました(月間でマイナス14時間、8ヶ月で126時間!)。

併せて、各組織でばらついていた入社オンボーディング後状態の標準化もセットで実現しています。これらの結果が、次の成果2にも連動しています。

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【成果2】新人の立ち上がり期間が半減  ※上記取り組み 1-1+2+3 の一例

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組織着任後、組織別オンボーディングプログラムが始まりますが、ここを改善サポートしたセールス組織において、新人立ち上がり期間が半分に短縮!

従来、一人前(組織で目指す指標クリア)ラインまで入社から平均4ヶ月ほど要していたのが、新プログラム実装(横断+領域+組織別研修)後、2ヶ月での立ち上がりを実現。

【成果3】既存メンバーの実績が倍増  
※上記取り組み 2の一例

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新人研修とは別に、各組織の既存メンバー向けに行った改善プログラムのひとつ、インサイドセールスのオペレーション改善の成果を紹介します。プログラム実施前に比べ、実施後は、アポイント獲得数が2倍に!

既に入社から時間が経過し、業務を進めているメンバーは、”自身のやり方”を経験値として持っています。ここを改善していくには、現場に入り込み、ベストパフォーマンスを型化したり、組織やメンバー個人の理解や納得を得ながら落とし込み、実装できるよう伴走していくことを心がけました。

イネーブルメントグループで心がけていること

立ち上げから実質9ヶ月弱、爆速で動いてきましたが、これらの成果が出た背景として、わたしたちが心がけていることがあります。当たり前のことですが、挙げていきます。

事業のキャッチアップ
今日から現場に出られるよ!と言えるレベルをめざし、事業・プロダクトのことを猛勉強しています。その上で、マネジメント層による会議や、チームmtgなどにも顔を出し、最新数値を把握したり、未来起きうる課題感の想定などに繋げています。

現場メンバーの声を必ず聴く
わたしたちは2人ともセールス実務経験がありますが、一方で、heyで顧客接点を持ったことはありません。そのため、あくまで現場メンバーがどんなコンディションで何を考えているかなど、できるだけ声を聴いています。
とはいえ、改善のためには現状維持というわけにもいかない。なので、主観と客観を行き来させることが、施策の設計や実装方法に反映させていくために大事だなぁと思っています。また、現場の「具体」を抽象化し、再度具体に落とし込む、ということも行っています。

マネジャーやリーダー、ハイパフォーマーの巻き込み
組織で表出している課題は、今すぐに動くべきものと長期的なものがあります。スピード観点でも、質の観点でも、イネーブルメントだけでは全く足りないので、マネジャーやリーダーなどに全面的に協力してもらう必要があります(そのためにわたしたちが関係構築していくのは言わずもがな)。オーナーさんが STORES に頼ってくださるように、現場のマネジャーやリーダーがわたしたちをうまく活用してくれたらいいな、という感覚です。

みんなの力を借りて速く成果を出していくことで、何かあったらイネーブルメントに声をかけてみよう、一緒に成果を出しにいこう、というサイクルを作りたいと思っています。

2022年チャレンジしたいこと

2021年は、大きく入口(オンボーディング)の整備と、各組織からのオーダーに応える形で施策を進めてきました。

2022年はこれらを基盤としつつも、事業パフォーマンスをキャッチし「あるべき(TO BE)」に向けた仕組み化を提案実装していくことを目指したい。守りよりは攻めに転じていくイメージです。

そのためには、すべての事業を横断し、かつ入口からハイパフォーマー育成までを視野に入れる必要があり、さらには、heyの今後の人材育成方針や評価制度などPX部門との連動も欠かせません。

スタートアップなのになぜそこまで?と問われれば、変化し続ける先にありたい姿を、描いているからかもしれません。

すでにさまざまな施策で成功されている他社さんの知見をいただいたり、わたしたちも学びを重ねながら、引き続き爆速で行きたいと思っています。一緒にやりたい!とご興味持ってくださった方、ぜひお話ししましょう〜!

長文にお付き合いくださったみなさま、ありがとうございました。
Just for Fun!

皆さんからのサポートは、子どもたちと新しい体験をしたり、新たな学びのために使わせていただきます。