【気になる言葉】やきもき
とつぜんですが、あなたはやきもきしたことはありますか。いちばん最後にやきもきしたのはいつのことでしょうか。
この問いに冷静に左脳で考え即答できる人がいるとはおもえない。
それぐらい、わたしたちの生活から遠く離れた僻地でひとりさびしくたたずんでいる言葉がやきもきではないか。
たとえば
やきもきとやきもちは似ている。
字面をさらっと撫でるだけではやきもきと書かれているのかやきもちと書かれているのか判別することすらむずかしい。
しかし前後の文脈が、それがやきもきなのかやきもちなのか区分けしてくれる。
お前はやきもち焼きだなあ、という日本語は存在する。しかしお前はやきもき焼きだなあ、となると、どこの地方のB級グルメだっけ、ケンミンSHOWで紹介されてたっけかということになる。
さらにほんとうのことをいってしまえば、やきもちは焼けるが、やきもきを焼くことはできない。
見た目からは想像できないほど、その中身は似て非なるのだ。
と、いうことでひさしぶりに気になる言葉として、やきもきについて考えを巡らせてみようとおもいます。
ひまでしょうか、
いいえ、誰でも。
さて、いつものように岩波国語辞典第三版に答えを求めましょう。
あら。
意外とおかしな意味ではない。要はいらいらするってことでしょう。これならぜんぜんふだんから、みなさんも感じているのではないか。
もっと身近な言葉であってもおかしくないですよね、やきもき。
なのになぜ市民権を得ていないのか(いや別に市民権を得ていないなどという問題提起は誰からもされていません)。
だってそうでしょう。
会社で、学校で、ご家庭で、つかいますか、やきもきを。
ふつうつかわないでしょう?
「もういい加減やきもきするのやめたら?」
「これ以上待たせるとまたやきもきするよ」
「D A T E やきもきしたっていいじゃない」
テレビドラマや映画でしかお目にかからないフレーズですよね。3つ目にいたってはバックコーラスで岡村ちゃんが参加してそうです。
とはいえ岩波国語辞典第三版はかれこれ43年前に刷られたもの。言葉は世につれ、世は言葉につれ。もしかすると時代の流れによってやきもきの解釈が変わっているかもしれません。
そこで。
おとくいのChatGPTにも聞いてみましょう。
いでよ!俺のChatGPTよ!
やはりいつまでも無料版で遊んでいるからでしょうか。あるいはわたしという人間の品格に愛想が尽きたのでしょうか。連休あたりからChatGPTがまともにとりあってくれません。
その後も「やきもきってなんですか?」「What'sやきもき?」「やきもきとはどういうことか」などいろんな角度から質問したのですが毎回おっととっと夏だぜエラーが発生します。
機械っておもしろいですね。
おもしろいですねとか書いてたら隣の席のイラストレーターが「ハヤカワさん、そのGPT日本語で使ってません?英語に戻すと治りますよ」とナイスアドバイスをくれました。
なので、一度落として英語版で仕切り直すことに。そうしたら水を得た魚の如くペラペラ喋りはじめます。とはいえ回答は優等生というか、岩波国語辞典第三版とそう変わらないものでした。
つまらないのでイキった質問を投げてみることにします。
なにこのSEO対策バッチリなライティング。不自然にもほどがあってやきもきするわ。どんだけやきもきでてくんねん。やきもきしすぎて自分でも笑えるわ。結局、やきもきはしたものの有意性のある結論はなにひとつ導き出せず、その事実にまたやきもきしました。
※この文章はノンフィクションです。すべて実際に起こった出来事です。
それでは最後に、コスミック・インベンションで『YAKIMOKI』を。また来週!
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