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冷凍都市の温度:南条あや『卒業式まで死にません』

変な時間に目が覚めてしまったので、久しぶりにnoteを書くことにする。

年が明けた辺りから、私たちを取り巻く状況はすっかり変化した。今はその中でどうにかこうにか生きている。

仕事も生活も、大きく変わった。それを不幸だとか悲しいとかは思わないが、時々地面に足をつけて、自分がどこにいるか確かめないと不安になる。

いつも履いている靴、いつも付けているアイシャドウ、いつも飲んでいるお茶。そういったもので、私が昨日と変わりなく私であると確認する。社会が、生活が変わっても、私だけは。淡々とした日々の繰り返しが続く。

南条あやの『卒業式まで死にません』を読み返した。独特のテンションと速度感の文章で、オーバードーズや自傷行為、父との諍いなどについて綴られている。

昔感じていた、あのひりひりする感覚を思い出す。自分を傷つけないと生きていけない時代が、確かに私にもあった。

あれは一過性の、思春期特有の病なんかでは絶対にないと思う。そういう風に生きざるを得ない人たちが一定数いるというだけだ。そして、いつまでそうしなければいけないのか、本人たちにも分からない。

ある種の運命みたいなもので、剃刀で手首を切った瞬間に、あるいは薬を1シート飲んだ瞬間に、それは始まってしまう。知らずに引いた引金は、最早止めることができない。

自分を傷つけなければならないと感じることは、もうほとんどない。色々なことに慣れたのだと思う。気力と体力も減った。

ただ、自傷という選択肢は常に頭の中にある。一度回路が作られてしまったのだから、これは当分消えないだろう。

それでも生きていけるし、やり過ごせる。これはあの時の私が知らなかった救いだ。

今の家に越して来てから、「救われている」と感じることが多々ある。救ってくれるのは、人だったり動物だったり、はたまた物だったりする。中島らもの言う「その日の天使」みたいな存在だ。

「その日の天使」のおかげで、毎日が随分落ち着いたものになった。今日が及第点であれば、同じような明日が来ることも怖くない。今までは刺激を求めすぎていた。

東京は優しい街だ。ぽわぽわ、きらきらした街の灯りを見るたび移り住んで良かったと思う。優しい街で穏やかに過ごせたらいい。どうしたってやって来る明日が、あたたかいものでありますように。


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