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自己紹介、主に過去の私について

noteにはプロフィール記事の設定という機能があるらしい。そういえば、自分のプロフィール的なものを書いたことがなかったなと気付いたので、今から書くことにする。

職業柄、自分の来歴やプライベートを話す相手を選んでいる。この記事に書く内容は、誰に知られても構わないと思っていること、もっと言うならば、私が上京する前のことが中心である。

SMをする時の名前は奈那(改めて名乗ると何だかめっちゃ恥ずかしいな……)。最近は、飲み屋でもこの名前で呼ばれることが多い。以前「名前の由来」という記事でも触れたが、かなりふんわりとした理由で付けた名前だ。

5月9日生まれの牡牛座で、出身は九州である。実家にはあまり帰っていない。都内のSMクラブとSMバーに勤務している。

大人しかった幼少期

小さな頃は大人しかった。静かにしていて偉いねとよく褒められた記憶がある。

一人っ子で、近くに住んでいる友人もいなかったので、遊ぶ時は基本的に一人。家にあった児童書を黙々と読んでいた。私が本をよく読むようになった原点はここにあると思う。

家庭の方針で、テレビを見たりゲームで遊んだりすることはできなかった。漫画を買えるようになったのも、中学生になってからだ。その一方、美術展やコンサート、歌舞伎などにはよく連れて行ってもらった。

今でこそ、幼い私に親が与えてくれた文化資本に感謝しているが、アニメやゲームや漫画の話をする同級生がうらやましかったことも事実だ。周りの子どもたちと話が合わなくて寂しい思いもした。

そういえば、今年の正月に、人生で初めて友人たちと桃鉄をして楽しかった。幼少期に、みんなでゲームを通じて盛り上がる経験をしていれば、私の性格や趣味はまた違ったものになっていたかもしれない。

サブカル女爆誕

中学校に入学し、漫画が買えるようになると、私は貪るように漫画を読み始めた。最初はジャンプやマガジンに連載されていた人気の漫画を読んでいたのだが、次第にアングラサブカル漫画に手を出すようになる。

丸尾末広、古屋兎丸、中村明日美子……。界隈(?)の方々は皆通った道じゃなかろうか。今でもこのあたりの漫画家は好きだ。

当時の私の聖地は、ヴィレッジヴァンガードと田舎なのにやたら漫画の品揃えが良い地元のジュンク堂書店。お小遣いのほとんど全てがここに消えた。

小説もたくさん読んだ。特に三浦しをんと嶽本野ばらを愛読していた。意外に思われるかもしれないが、サドやマゾッホにはほとんど触れたことがない。

ジャパニーズお耽美SM小説の元祖(と私は勝手に思っている)、谷崎潤一郎も何冊か文庫を読んだだけである。その類の作家で一番好きなのはマンディアルグだ。

私は文学を直接的な契機としてSMの世界に入ったわけではない。もちろん、幾分かは文学の影響もあるのだけど。

漫画の解禁はサブカル文明開化をもたらした。よく聴く音楽は戸川純とアーバンギャルド。映画はミニシアターで観ていた。完全にサブカル女である。中学、高校と順調にサブカル道を邁進し、私は京都の大学に進学する。

古書店、純喫茶、鴨川デルタ

大学進学と同時に一人暮らしを始めた。何をしても叱る人がいないのだから、とても気楽だ。講義には一応出ていたが、それ以外の時間は、大体街をうろつくかお酒を飲むかして過ごしていた。

ちなみに専攻はジェンダー政策。実は今、在学時以上にジェンダー論への興味が増している。もっと真面目に教授の話を聴いていればよかった。

京都で学生生活を送った人は、私を含めて、心のどこかを京都にとらわれたままの人が多い気がする。京都について語ろうとすると、どうしてもセンチメンタルになってしまう。

栗木京子の「退屈をかくも素直に愛しゐし日々は還らず さよなら京都」という歌が沁みる。もう帰らぬ日々へのノスタルジー。アルバムの同じページを何度も繰るように、私はそれらを愛おしむほかない。

京都での青春を思い返す時、頭に浮かぶのは「古書店、純喫茶、鴨川デルタ」だ。

古書店は、アスタルテ書房と書肆砂の書。どちらも耽美な本をたくさん揃えている。純喫茶は、六曜社の地下店。ライト商會という喫茶店にも足繫く通った。鴨川デルタは、友人たちとよくお酒を飲みながら語り合った場所。

あの頃は、美しいものと楽しいことが大好きで、不確定な未来を何となく明るいものだと予感していた。

苦しいこともあったが、全てが過去となった今、何もかも夢のような日々だったと思う。京都という揺籃の中で微睡んでいられた私は幸せだった。

話がぼんやりしてきたので、具体的な出来事も書いておこう。いまだにはっきりと覚えている、衝撃的な出会いのことだ。

アングライベントで教授と遭遇

ゴスやフェティッシュ、身体改造に興味があった私は、そういったジャンルのイベントに時々顔を出していた。

ある日、緊縛とサスペンションが行われるクラブイベントに参加した。若い参加者が多かったのだが、その中に、およそクラブの雰囲気に似つかわしくない初老の男性がいたのだった。

私は彼の隣に立っていたので、色々な会話をした。先に話しかけてきたのは彼だったと思う。「緊縛に興味があるのですか?」「Sですか? Mですか?」等々。こう書くと、男性が私を口説こうとしているように見えるが、決してそうではない。

私は渡された名刺の肩書きを見て驚いた。彼はとある大学の人文科学研究所の教授だった。聞けば、宗教、ジェンダー、セクシャリティなどを文化人類学の観点から研究しているという。

彼がこの場に来たことも、調査研究の一環というわけだ。CiNiiで検索すると、彼が執筆した緊縛についての論文が実際に出てきた。

自分の好きなカルチャーが学問の俎上に乗りうるということに、当時の私は衝撃を受けた。アカデミズムと卑近なるものの接近。学問は、私が考えていたよりずっと自由だった。

その後彼の講義を受けたが、非常に面白かった。テーマは宗教とジェンダーについて。資料を元に、自分なりに意見をまとめて提出する形式だった。彼が昨年退職されたことが大変惜しい。もし機会があったら、また彼のもとで学びたかった。

ジェンダー、セクシャリティ、ゴス、フェティッシュ、身体改造、耽美でエロティックな小説、アングラ文化……。思えば、ずっとSMの辺縁をうろうろしていた。それらとよりディープに関わり、楽しさや奥深さを味わった大学生活だった。

あの頃は、まさか自分がSM嬢になるとは思っていなかったが、大学時代が私をSMの世界へと誘うためのエポックであったことは間違いない。

そして東京へ

就職を機に上京し、色々な仕事を経て、SMを始め今に至る。東京は楽しいし、優しい街だ。様々なバックグラウンドをもった人たちが東京でつくる、オルタナティブでゆるい共同体に私はずいぶん救われている。

東京に来てよかった。SMをやっていてよかった。今の生活が気に入っているので、多分しばらくは同じ感じで生きていくのだろう。

ここに載っている以上のことを知りたいマゾ諸君は、直接会いに来て私との信頼関係の形成に勤しむといいと思うよ。お店に行けば会えるんだし。

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