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箱根暮らしのススメ その1

2018年3月発行
「まいにち箱根暮らし。」Vol.02に掲載したコラムを
Web用に加筆修正して掲載しています。

箱根暮らしのススメ その1

ちょっと変わった夫婦の箱根移住ものがたり。


2012年8月、1組の夫婦が千葉から箱根へ旅行にやってきた。

ガイドブックを手に 美味しいものを食べ歩き、自然に触れ、
温泉で癒される2泊3日の箱根観光。

日常のストレスから解放された時間を過ごし、
どちらからともなく出てくる「ここで暮らしたい」という言葉。

多くの日本人、都会に暮らす人々が、
ひとときの休暇で同じように自然豊かな温泉 地を訪れ、
日頃のストレスから解放され心身ともにリフレッシュし、
また日常に帰っていく。

年間2,000万人の観光客を迎え入れる箱根町ではよくある光景だろう。

ところが、この夫婦はちょっと変わっていた。
そこからほぼ毎月のように箱根に通い、
2年後には箱根へのアクセスの良い小田原の賃貸物件へ一時的に移住。

そこを拠点に条件に合う物件を探すこと2年、
2016年11月に中古のリゾートマンションを購入し
本当に箱根住民になってしまったのだ。


そんなわけで、私たち夫婦が箱根に移住し、
念願の箱根住民になってから約1年。

「どこがそんなに良かったの?」とよく聞かれるが、
これといって決め手がなく「なんとなく肌に合った」とお茶を濁す。

もともと田舎暮らしには興味があった。

広島県の山間部、
人口3,000人という過疎化が進む町で生まれ育った旦那と、
東京で生まれ育った嫁。

田舎暮らしに憧れはあっても、
本物の田舎で育った旦那としては
都会育ちの嫁に田舎での暮らしは向かないと思っていた。

だって本当に何も無いんだよ、田舎って。

そんな時にたまたま旅行に訪れた箱根という土地には、
なんだか全てが揃っているように感じた。

田舎暮らしでイメージする自然豊かな風景も、
田舎暮らしの不便さを解消する都会へのアクセスも、
おしゃれなカフェ、レストラン、そしてコンビニまで。

田舎暮らしではなく、箱根での暮らし。

お互いのイメージする
「こういう暮らしがしたい!」に必要なものが、
全て揃っているように思えた。


とはいえ、移住してくる前からわかっていた事ではあるが、
実際に暮らしてみると不便なことも多い。

衣食住という言葉があるが、
そのほとんどが揃っていない。

まずは移住するにあたり「住」の問題に直面した。
とにかく賃貸物件が少ないのだ。

中古のリゾートマンションは大量にあるが、
ちょっと試しに暮らせるような賃貸物件がほとんど存在しない。

「衣」に関しては隣接する小田原・御殿場に頼るしかない。

「食」は町内にはスーパーが 一軒しかなく、
食材調達をコンビニに頼ることも多い。

エンゲル係数は高止まりだ。

都会の暮らしに慣れてしまっていると本当に不便に感じるけど、
それでも本当の田舎での生活に比べれば便利な点も多い。

中古のリゾートマンションであればすぐに暮らせる格安の物件がいっぱいあり、
車で30分走って小田原・御殿場まで出れば大体の物が手に入り、
ちょっとおしゃれなカフェやレストランが近くにあり、
湯本駅からロマンスカーで1時間半で新宿まで出れてしまう。

地方の山間部での田舎暮らしでは、こうはいかないだろう。


そして忘れてはならない箱根の魅力が、ここが国立公園であり、
日本でも有数の観光地だということ。

行政単位の「町」としては人口減少と高齢化という問題を抱えているが、
年間2,000万人という観光客に支えられて町には活気がみなぎっている。

「小商い」という言葉が徐々に浸透してきているが、
箱根にはそういった小さな飲食店、ゲストハウスなど、
新しいビジネスに挑戦する人々がたくさん集まってきているのだ。

今回発行する「まいにち箱根暮らし。」もそんな小商いの一つ。
箱根好きを拗らせて箱根に移住してきた夫婦が手掛ける、小さな商いだ。

ネットでも紙媒体でも「観光地」としての箱根の情報は溢れている。
だけど暮らす場所としての箱根の情報は本当に少ない。

それならば、
実際に箱根が好きで移住してきた自分たちが情報を発信し人と人をつなげ、
暮らす場所としての箱根をもっと楽しくしていこう。

そんな思いつきが簡単に形にでき、
そして何よりそんな情報に 需要があるというのも、
箱根の魅力の一つなのだと改めて感じている。

この冊子を手に取った方に住む場所としての「箱根の魅力」が伝わり、
一人でも多くの方が移住先候補として
箱根を選んでくれることを願っています。

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