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漢方の真実を知りたいあなたへ

タイトルを見てドキッとされる方もいるかもしれませんね。
今回の内容は、あなたの漢方薬に対する認識を180度変えてしまうかもしれません。
少し難しい用語もありますが、できるだけわかりやすく解説したいと思います。
  
漢方薬は長く飲まなければ効果がない?
漢方薬は「長く飲まなければ効果がない」あるいは「長く続けるとじわじわと効いてくる」「数ヶ月かけて体質を変えるもの」・・そんなふうに思っている人は多いのではないでしょうか?
でも、漢方薬は急性疾患には1服から2服で、また慢性疾患には3日程度内服すれば効果を感じられます。「漢方薬には即効性がある」というのが今回のお話しです。
 
 漢方薬に即効性があるなんていう話は聞いたことがないと思います。その効果を発揮するためには正確な弁証論治(べんしょうろんち)をたてることが必要で、それができなければ的外れの投薬となります。
 
「漢方薬は即効性がない」という思い込みが広く流布しているのは、正確な弁証論治をたてる事がいかに難しいか、ということでもあります。
 
“弁証論治”・・難しい言葉ですね。弁証論治とは、漢方理論を基礎から学び、長年の臨床を経て会得するものなのです。この言葉の解説はあとでしますので、まずは薬の処方と人間の身体について、東洋医学の観点から考えてみましょう。
 
この世のすべては、陰気・陽気によって形成されている。
漢方薬を西洋医学の考えに合わせて使用すると、対症療法的な治療が中心となり痛みには鎮痛薬、化膿性疾患には抗菌薬といった処方となります。
 
その結果多くの薬局では、風邪には葛根湯、夜間尿には八味地黄丸、こむら返りには芍薬甘草湯というような漢方薬を出されますよね。でもそれって、万人に効くといえるのでしょうか?処方された漢方薬をなんとなく長期間、漫然と飲み続けていないでしょうか。
 
東洋医学の理論では、私たち人間も含め、この世の中の万物・現象は、すべて「陰気」と「陽気」によって形成されていると考えます。ですので、万物が安定しているということは、陰気・陽気の調和がとれているということになります。
 
私たちの身体も陰気と陽気で作られているため、異常や苦痛、違和感がおこった場合は、陰気と陽気が変化してバランスがくずれたことが原因と考えます。
 
弁証論治の考え方
漢方・鍼治療は、陰陽論にもとづき異常や違和感の発症原因を探ります。
つまり、五臓六腑や血、身体のどこで問題が生じているのかを見つけ、陰陽どちらのエネルギーが不足しているのか、あるいは過剰状態なのか、または停滞しているのかを診断します。これが弁証論治の考え方です。
 
ですから、前述したように風邪には葛根湯、夜間尿には八味地黄丸、こむら返りには芍薬甘草湯などと安易に考えてはいけないのです。
異常を発症している部位が同じであっても、弁証論治をたてれば原因は人それぞれに違うはずです。
 
診断結果は、おおまかに分類すると下記のように分けられますので、それぞれに効果のある漢方薬を処方します。

陰気・陽気の不足→ 不足している陰気・陽気を補う
陰気・陽気の過剰・停滞→ 過剰・停滞した陰気・陽気の流れを整える
 


下図を見ていただくと、陰気と陽気が平衡範囲におさまっている場合は健康。平衡範囲から外れるほど病気になっていくというイメージがつかみやすいと思います。


どのような時に陰気・陽気がバランスを崩すのか、一例を上げると●スポーツなどの肉体疲労→消耗(不足) ●PC業務などのストレスや過食→(過剰・停滞) などですが、健康な人であれば陰陽バランスが崩れた場合でも、素早く平衡状態へ戻すことができます。ですが、辛い状態が長く続き自力で平衡状態に戻せない人は、漢方薬の力を借ります。 陰気・陽気のバランスの崩れが本来の平衡状態に戻れば、身体は正常に戻ります。こうして文章で書くと簡単なことのようですが、生半可な修行では弁証論治をたてることはできません。東洋医学にもとづいた長年の臨床の経験と研鑽が必要なのです。熟練の漢方医であれば、「急性疾患には1服から2服、また慢性疾患には3日程度で効果が出る」これが漢方薬の真実です。みなさん、信頼できる漢方薬局とのお付き合いを!  

博厚堂https://www.hakkoudou-kanpo.com 
-------------------------------------------------------------------------さて次回は「陰陽」について詳しく解説いたしますので、陰陽の理解を深めて下さいね。 

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