なぜクレーマーには「元〇〇〇」が多いか

nov.noteさんの「「悪質クレーム」の激増には、「承認欲求の欠如」という大きなテーマが隠れているような気がします」――という記事にまったく同感。
 

 各地の役所で聞くと、窓口で些細なことに長々と文句をつけたり、大声で怒鳴ったりするクレーマーには、元公務員がとても多いという。役所のことだから、定年退職前にはそれなりの地位に就いていた人だろう。

 役所だけではない。図書館の窓口にしても、コールセンターにしても、居丈高な物言いをする人のなかには自ら「自分は〇〇だった」と関係する現役時代の地位を口にする人が少なくないそうだ。

 これほど単純な理屈はない。現役時代にはそれなりの地位について周りからちやほやされていた人が、定年後は一転してだれも認めてくれない。それが耐えられないのだ。しかも自分がいたのと同じ職場に行けば、現役時代との落差がいっそう身にしみる。だから元公務員は役所の窓口でキレてしまうのだろう。

 これは窓口対応の問題というより、彼らの「承認欲求の呪縛」に起因する問題である。とりわけ公務員のなかには現役時代に、地位や評価・世間の評判など「承認」を生きがい、目標に働き続けてきた人が多い。それだけに退職したからといって、「承認欲求を捨てろ」といっても簡単に実行できるものではないということは知っておく必要がある。

 かさ上げされた「偉さ」が招いた悲喜劇であることは間違いないが。

「個人」の視点から組織、社会などについて感じたことを記しています。