たぬきの山
私の趣味の一つに古民家巡りがある。
地方に何かしらの用がある時は、
古民家やいい感じの古い建物、アンティークショップに寄るのを楽しみにしている。
秋晴れのとある日、隣町の古民家を
見に行く事にした。
古民家が一つの町に数軒あり、魅力的だ。
また、山の合間に田畑を作っていた昔ながらの土地と言うこともあり
高低差や、細い怪しい道など心くすぐられる。
1つ目の古民家を堪能し2つ目の古民家へ向かう途中、とても小さな山の中に稲荷神社があると聞いたので立ち寄る事にした。
細長くくねった怪しい道の先にある。
昔ならば、頂上から富士山が見えたのかもしれない。
そんな事を考えながら稲荷神社に向かった。
少し薄暗い、静かな山の中
見上げると目の前に小学生ぐらいの男の子がいた。
近所の子供だろうか
こちらを見てなんだか楽しそうである。
私も見ていると
「この山にたぬきいるんだよ。」
と教えてくれた。
「そうなんだ。会えるかな?」
と聞いたら、楽しそうに子供は山を下って行った。
後ろ姿になんだか違和感。
よく見たら子供の足元は下駄であった。
このご時世に、近所だろうと下駄で山に来る子供がいるのだろうか。
私は、すでに見えなくなった姿にホッとした。
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