みんなどんな経緯で本好きになったの?という疑問をツイートしたらみんなが答えてくれた

私は小説を書いている。できればプロ作家になりたいと目標を抱きつつ、今はアマチュア作家として本を作り売っている。いずれは自分の本が一般書店で並ぶ日を夢見て・・・

と思っていたのだが、最近はどうやら本が売れないらしく、本屋もぼっこぼこ潰れているのが現状。チェーン店でも売上が悪い店舗は即閉店に追い込まれ、個人店では「本×●●」といった掛け算コンセプトがないと本が売れない。シンプルに本だけを置いてるだけでは売れない。売れたとしても有名作家のみで無名の作家は、作家一本だけで食べていくのも大変だ。そして有名作家となっても、有名漫画家よりも収入は桁が違う。とにかく、100万部なんて売れたのは大昔の話で、今は本が売れない。売れないならプロになったところで食っていけないのでは、と危惧した。

なにより、私は書くことよりも読むことのほうが好きなので、本屋が消えていく現状は非常に焦りもあるし嘆いてしまう。なんでみんな本を読まないのだろう、本を買わないのだろう。一般書籍の本なんて1000円から2000円、文庫本なら1000円以下で買えてしまう。それで2時間も4時間も楽しめてしまう最高の娯楽なのだ。なぜ、なぜ、買わないのか。

待てよ、そういえばなんで私は本好きになったのだろうと疑問に思い、さらに、なんでこんなに本が売れない時代にみんなは本を買って読んでいるのか。と気になった。「本を好きになるメカニズム」が解明されれば、本の世界をもっと活性化させることができるのでは・・・と夢想したのだ。というわけで、ますはタイムラインで「みんなが本好きになったきっかけを教えて」と投げたら、いろんな人からリプをいただいた。カンタンにまとめてみたい。


家に本がたくさんあった

巷で言われている「子どもを本好きにする方法」のひとつ。本が家にあると、子どもは勝手に本を読み始めるというものだ。もしくは、後述するが、本がある家ということは、本を買う人間が存在するということだ。日常的に本が側にあるので、本を読むきっかけが高まるというもの。しかし、家に本があっても、読む子もいれば、読まない子もいる。逆に本が嫌いになるパターンもあった。本が家にあるだけでは、本好きに育つわけではない、ようだ。

両親が読書家だった

本が多い家というのは、確実に本が好きな大人が存在するということだ。本好きの大人というのは、子どもが本好きになることが喜ばしい。そのために、中には大人に「喜んでほしいから、褒めてほしいから」という動機もあった。しかし、それもきっかけに過ぎず、やがては本当の本好きになっていく。また、本好きの両親だと選書が上手い可能性が高い。子どもの読解力を理解し、好みを把握して適切な選書ができたことで、子どもを読書沼に突き落とすことに成功した例もあった。また、両親だけでなく、図書館の司書や、本屋の店員など、どこかで選書が上手い大人に出会っている人もいた。

最近、ブックディレクターという職業も誕生したように、この選書という作業は読書好きを生み出すために重要な役割になるかもしれない。

読み聞かせで育った

胎児のころから、幼少期から、両親に絵本の読み聞かせをしてもらった人が、その後も本好きになるというのは、これも巷ではよく言われている。実際に読み聞かせから絵本の世界を知り、親に読んでもらうより自分で読みたくなってしまうパターンもあるだろう。中には、自分のペースで読みたいから読み聞かせよりも、自分で読みたいから読み始めたという人もいた。読み聞かせは必ずしも両親だけでなく、共働きで読み聞かせが難しい家庭などでは、オーディオブック(私の時代ならカセットテープ付き絵本)などで、童話などに触れた人もいる。かくいう私も、絵本についていたカセットテープがのびのびになるまで聞いていた。おかげで童話を覚えたのもある。

家以外に本に触れる環境があった

中には本がない家で育った人が読書家になった例もある。学校の図書室にこもっていたり、子どもの足で行ける距離に図書館があるなど。近所に親しい書店があったりなど。不登校児童の居場所のひとつに図書館というのも聞いたことがあるだろう。私も小学校の頃から学校の図書室に入り浸り、図書室のボス(司書さん)におすすめの本を教えてもらった。中学校では稚拙な小説をボスに読んでもらって批評してもらったり。高校では美術部員だった私の絵を飾りたいと言ってくれたボス。逃げ場所というよりも、安全地帯だったという人も多い。安心できる場所にあるからこそ、本との距離感が近くなりやすいのかもしれない。

好きな人(キャラ)が読んでいて興味を持った

実は、今回は「大人になってからでも本を読み始めよう」というキャンペーンを独りで行っていたので、この話がきたときはガッツポーズをした。大人になってから、読書デビューは過去にも存在したが、やはりとても希少性が高い。そこには、大人になるとわざわざ本を読まずとも他にもっと娯楽が溢れかえっているせいもあるだろう。しかし、なにかきっかけがあれば、大人からでも読書を始めることができるという証明なのだ。2012年にPSYCHO-PASSというアニメが放送され、その中に槙島聖護という悪役がいた。槙島はテロリストだが、かなりの文学少年で作中でも何冊も名著を手にしたり、小説の一節を詠んだりしていた。PSYCHO-PASSが近未来が舞台ということもあり、ゆるいSFブームにもなった(当時、ハヤカワさんの編集者が一人増員されたという噂もあった)槙島が読んでいた本は、寺山修司からニーチェ、オーウェル、デカルト、シェイクスピア、スウィフトなど多岐にわたり、読書初心者にはちょっと難しい本もあるが、ファンは「彼の読んでいる本が知りたい」という熱い想いから読み始める。そこから、本を読むことに抵抗がなくなり、他の本へと趣も広めていった。また、文豪ストレイドッグス、文豪とアルケミストなどの文豪ブーム。歴史上の人物がサーヴァントとなって戦うゲームからハマって、関係する本を読む。または、刀関係の本もかつてないほどに売上を伸ばした、などもあった。三次元でも、アイドルが読んでいたから買った、なども聞く。「大人になってから本にハマる」というのは、好きな人がきっかけというのは強いかもしれない。

メディアミックスから本に手を出した

好きなゲームを、もう一度ストーリーだけ楽しみたくてノベライズを読んでいた。アニメとは違うストーリー展開だからノベライズを買った。漫画版のスピンオフだったので・・・エトセトラ。メディアミックスも一時期は流行し、アニメ、ゲーム、コミック、そしてノベライズと発売するコンテンツも今では珍しくもなくなった。私も幻想水滸伝は電撃文庫版を持っている。今では廃版なので絶対に捨てられない。また、2000年代に一世風靡したラノベから読書の世界に沼った人もいた。現在では海外古典文学や幻想小説を嗜んでいるという。理想的な読書ステップアップともいえる。


強制的に本に触れさせるのはNG?

本を好きになるきっかけって、100人いれば100通りあるというのは結果を見る前からわかっていた。けれど、ひとつだけ言えるのは、強制的に読まされていないことだろうか。私は読書感想文反対派なんだが、強制的に読まされて、挙げ句に強制的にレビューを書けなんて言われたら、そりゃ嫌いになる悪循環プログラムだ。本は「新しい知識」「新しい世界」「新しい考え」「新しい人」に出会えるもの。人間には知識欲というものがあり、知識欲が満たされると幸福感を得られる。本は人間が欲するいろんな「新しい」をむしゃむしゃ貪ることができるコンテンツでもある。だとすると、空腹感のない人に揚げたてのケンタッキーフライドチキンを無理やり食べさせたら、食べられないどころか吐いてしまうだろう。人間はどこかで「欲しい」と思う瞬間があり、そのときに、身近に本があれば気軽に手を伸ばすことができる。今は気軽に手を伸ばす先がスマホになってしまいがちだが、そこでウィキペデイアから電子書籍などへステップアップできるような、流れがあればなあと今思った。

本を好きになるきっかけを探っていきたい

今回は見知った人の話ばかり聞いてしまったので、今後もいろんな人の本にまつわるエピソードを聞いていきたい。ざくっとまとめたので、散文的になったのも許して欲しい。

そのうち、本好きを生み出していくナニかを作りたい。

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