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未だ聴こえない音楽の制作日誌-28- BPMを1変えてみる。

BPMを最後に決める。

実は当たり前のことだったのにも関わらず、今回のアルバム制作で初めて試している。そして非常に効果的だった。

全員が演奏するバンドなら、レコーディングやライブの現場で、BPM(テンポ)を変えるということは当たり前にあることだが、曲作りの最初にBPMを設定するDTMではなかなかその考えには至らなかった。私の頭が固かっただけなのかもしれないが。

クラブミュージック特有の考え方かもしれないし、今ではかなりその括りも薄くなってはきているが、各ジャンルにはある程度のBPMが決まっている。ヒップホップなら85BPM前後、ミニマルテクノは122BPM前後、ハードテクノが127BPM前後、トランスは135BPM、ドラムンベースは170〜175BPMといった感じだ。

これはDJというカルチャーの影響も大きいと思うが、これまでの音楽制作ではその背景に乗っ取り最初にBPMを決めてからリズムを構築していくことにしていたが、ある時、私の音楽のテンポが独特だと言われたことがあった。

その人は私が昔からお世話になっているサウンドエンジニアであるが、よくよく話を聞くと、他アーティストではあまり見ないBPMであり、さらに私が好むBPMではグルーヴが出しにくいのではないか、ということだった。

BPMによってグルーヴの出しにくい、出しやすいがあるというのは今まで考えたことが無かったが、考えてみればリズムやベースを音単位で考えれば、作った音と次の音との間隔によってグルーヴが変わっていくし、エレクトロニックミュージックに使われる音は無限とはいえ、ある程度のルールに乗っ取っているのだから、その側面はあるかもしれない。

そういう訳で、今回の制作では常にBPMが変えられるような方法で制作を進めた。

最初にある程度BPMを決めて作り始め、ある程度ドラムとベースが組み上がったところでBPMを1づつ変えていって、思った通りのグルーヴになりそうなところを探る。また少し制作を進めていって、どんなに作業をしても物足りない感じがあるなら、そこでまたBPMを1変えてみる、といった具体だ。

(今までは楽曲制作の最初から最後までBPMは変えず、そのBPMの中でグルーヴを出すように音の方を調節することに全力を注いでいた。)

この、考えてみれば当たり前の方法が自分にとっては画期的で、曲のアイデアをまとめるのにかかる労力が軽減された気がする。テンポに合わせて音楽を作るのではなく、音楽に合わせてテンポを決めた方が絶対に良い。

普段から音楽制作に勤しんでいる方からしたら当然すぎることかもしれないが、私と同じような思考の方もいるかもしれないと思い、恥をしのんでここに記すことにした。

今日は悩んだ末に、BPMを4上げるに至った曲があった。これによってアルバムのまとまりも良くなった気がする。

明日も音楽を作ろうと思う。

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