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スポーツ作りで得られる5つの効果

こんにちは、世界ゆるスポーツ協会の萩原です。
前回の記事が大変好評をいただき、多くの方に読んでいただけました。

前回はスポーツをつくる授業で身につけることができる能力について書きました。今回は、そこからもう少しブレイクダウンした内容としてスポーツつくりの授業を行うことで得られる効果について書いていこうと思います。

スポーツつくりを授業で取り入れたいと思った際に、様々な人に効果を説明する必要があると思います。そういう際に役立てていただければと思います。

私は、スポーツをつくる授業を行うことによる効果は下記のものがあると考えています。

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これらの効果についてお伝えをしてきたいと思います。

社会課題を意識する

世の中には様々な社会課題が存在します。日本であれば少子高齢化は長年の課題になりますし、最近ですと格差社会ということもよく言われます。
世界規模に目を向ければ環境問題や国際紛争、コロナ等の感染症なども社会課題と言えます。
ただ、こういう大きな社会課題を子どもたちが自分ごとと考えることは難しいです。じゃあ解決策を考えようとなっても、実際に自分が出来る解決策というものはなかなか出てきません。

スポーツをつくる授業を行うことでこういった社会課題に目を向けることが出来るようになります。
なぜなら、そもそもゆるスポーツは「スポーツをつくることにより、様々な社会課題を解決する」という目的があるからです。
一般的に言われるような大きな課題でなくても、例えば学校や地域にある課題、そういったものもゆるスポーツつくりで解決すべき課題となります。
こちらについては、本連載の中でまた改めて触れていきたいと思います。

運動が好きになる

私は子どもたち向けの授業の冒頭で「皆さん、運動(スポーツ)は好きですか?」という質問を行っています。
この質問に対する回答なのですが、体感的には学年が上がるにつれて、運動に対して苦手意識や嫌いという子供が増えていくように感じます。

学校教育における運動、つまり体育の目的は、文科省のHPにて下記のように書かれています。

 体育は,すべての子どもたちが,生涯にわたって運動やスポーツに親しむのに必要な素養と健康・安全に生きていくのに必要な身体能力,知識などを身に付けることをねらいとするものである。
 こういった観点から,体育の目的の具体的内容(すべての子どもたちが身に付けるべきもの)を考えると,体育の授業を通じて,すべての子どもたちに,以下のように,一定(ミニマム)の「身体能力」,「態度」,「知識,思考・判断」などを身に付けさせることが必要である。
 なお,「身体能力」,「態度」,「知識,思考・判断」の側面は,どれが優位にあるとか,より重要性が大きいということはない。例えば,「分かってできる」「できて分かる」という関係において身体能力の向上は知識に支えられ,それら身体能力と知識の向上の学習過程において「考える」「工夫する」という思考・判断が重要となる。さらに,その学習の積み重ねによって,望ましい態度として形成される。
 また,体育は他の教科・科目ではできない身体運動を通しての「経験」ができる教科・科目である。例えば,「身体を動かす楽しさ」に関する経験,「競争,達成」に関する経験,集団活動の経験などをすることができる。このような「経験」は,初等中等教育修了の段階までに,すべての子どもたちが,「身体能力」,「態度」,「知識,思考・判断」をより確実に定着させる上で重要なものと考えられる。(文部科学省HPより)

もっとも重要なのは、生涯に渡ってスポーツを楽しめるようになると謳っているにも関わらず、学年が上がるにつれて運動やスポーツに対して苦手意識を感じるということはとても残念なことに思えます。

では、なぜ運動が嫌いになってしまうのか?
こちらについては文科省等のアンケートは見つからなかったのですが、いくつかの研究資料を見ると「自分が人よりできないことを目の当たりにしたから」という回答が多い傾向を感じました。

ゆるスポーツの考え方は、「自分ができるスポーツがないなら作ってしまおう」というものです。

運動能力には差がありますし、スポーツを実施した際に結果に優劣は出てしまいます。しかし新しいスポーツを作ることで、運動能力だけではない能力が求められたり、今までスポーツが苦手だった生徒が活躍できる可能性が広がります。

出来るということは、自信に繋がり、自信を持ってできることは好きになることができます。運動、スポーツを好きなった結果、生涯を通じて体を適度に動かし、個々の健康につながることができたら、学校教育における体育の目的は達しているということができるのではないでしょうか。

能動的に問題解決を行うことができる

私は、スポーツ自体が教育において非常に優れたコンテンツであると感じています。これはゆるスポーツに言及した話ではなく、そもそもスポーツを教育に取り入れること、スポーツを利用した教育というお話です。

なぜかというとスポーツは他の教科に比べてPDCAを回すスピードが格段に早いからです。学校教育におけるPDCAプロセスの学習としては、理科の実験が例に挙げられます。仮設を立てて、その仮設を元に実験を行い、結果を精査する。
しかし、スポーツにこそPDCAプロセスの学習が含まれていると感じます。例えば、50mのタイムを測るにしても、より手を振ってみたら早くなるのでは?歩幅を伸ばしたら早くなるのでは?このような仮設を立ててもう一度タイムを測ってみる。これはまさにPDCAサイクルの実践となります。

スポーツをつくる場はまさにこのPDCAサイクルの宝庫です。
皆が楽しいだろうという仮設の元、ルールを作って実践をしてみる、実際楽しかったか、楽しくするためにはどういうところを改善すべきかを検証し、新たな仮設の元、ルールを再構築していきます。

しかし、子どもたちはPDCAのPの部分を苦手とする傾向があります。そのため、私の授業では、授業の序盤では試しにプレーをしてみるということは極力行わないようにしています。まずは、新しいスポーツを行うとどういう楽しさやプレーする上での阻害要因があるのかという仮設をしっかり立ててから、実際に用具などを使った検証を行うようにしています。

個性を許容することができる

PDCAサイクルの実施は、特に特定の答えのない問いを解くときに有効なものとなります。スポーツつくりにおいて、特定の答えは存在しません。
そうすると何が起こるのか?それはすべての意見が正解となるのです。

ここで、4つ目の効果、「個性を許容することができる」についてのお話をしましょう。

私は、個性が許容されない状況とは、不寛容なときに起こるものと考えています。不寛容というのは、絶対的な正しさの前に、それ以外の意見や考え方が否定されるということです。

スポーツつくりにおいて、正解はありません。どのような意見も正解となる可能性があります。様々な意見でその時の最適解が採用されるだけであり、採用されなかった意見は間違いや不正解というわけではないのです。

なので、スポーツつくりにおいて、意見が出た際には、その意見が最適解となる状況を考えるようにしています。状況によって最適解は変わってきます。

まずは、その意見が最適解となる状況を考える。そうすると自然にどんな意見であっても正解と考えられるようになります。その結果、様々な意見に対して寛容となり、ひいては意見の差異の元である個性が許容できるようになるのです。

様々な教科の学習と連携できる

以前に、私達はアクアシティお台場さんの依頼で、キャノンボールというスポーツを作りました。これは相手陣地に向かって大砲でボールを打ち合うというスポーツです。

このスポーツは、お台場が幕末に黒船の来航に備えた砲台として作られたという歴史上のエピソードを元にしています。

スポーツつくりは様々な教科の知識を利用した総合格闘技です。歴史のエピソードや地域の特産物などはスポーツの題材の宝庫です。用具を作るときには理科の物理の応用をする場合もありますし、コートの大きさを考えたりするときは算数の要素もあります。また、ルールブックを書くときには国語の作文能力が必要となります。

このようにスポーツをつくる過程において、様々な教科で学習した能力の活用が必要となります。

また、明確にスポーツつくりの目的を「地域の良さを知ってもらうスポーツつくり」や「日本の歴史にちなんだスポーツつくり」とすることも良いでしょう。「総合的学習の時間」として取り組むにはピッタリと思いませんか?

今後、子どもたちに求められる能力は、「答えのない問いに対して解を見つける」、「調べたことを利用する」、「多様性を許容する」、「個ではなく、チームで問題解決を行う」などが挙げられると思います。
スポーツをつくる授業を通して、このような様々な能力を育てることが出来るのです。


【ユニ育について】

「スポーツをつくる授業」を通じて、一人ひとりの独自性やユニークネス、強みを開放するクリエイティブ教育です。

●「ユニ育」のロゴを公開しますので、自由に活用ください。

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https://www.dropbox.com/sh/ifr3l8osgak7rum/AAAPDNRUG2jfpt7szg0qlJmba?dl=0
※4パターンありますので、好きなロゴを活用ください
※あまりにユニ育理念から離れている活用・活動に関しては、委員会より指摘させて頂く可能性もございます。あらかじめご了承ください

●「ユニ育マガジン」の内容を参考に、ぜひ皆様も授業などで「ユニ育」を実践してみてください。また、実践内容を世界ゆるスポーツ協会まで教えてください。内容によってはマガジンで紹介させていただいたり、ユニ育委員会にもジョインしていただくことがあります。
連絡先:uniiku@yurusports.com
※件名に「ユニ育実践しました」と記してください

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