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萩原珈琲の「ブレンド」。実は2つの系統。その① クラシック系ブレンド。

萩原珈琲のブレンドには、大きく分けて2つの系統がある。1つは、昭和から続くクラシック系。そして、もう1つが近代的な手法で配合しているオリジナル系だ。今回は、前者「クラシック系」について、その誕生背景や特徴をご紹介。

■ 昭和喫茶ブームを支えてきたブレンド。
補い合うブレンドという言葉がぴったりのクラシック系ブレンド。戦後間もなくの昭和時代。入荷する豆の品質が不安定だが、そもそも供給自体も不安定。そんな中で、「特定の生産国の個性」を引き出そうとすると、同時にブレンドまで不安定になってしまう。

この不安定さを「補う」ために、先人たちは「多数の種類(生産国)の豆を混ぜる」ことを選んだ。ちょうど、組織だったチームプレイみたいなもので、それぞれの不安定要素を補い合うことで、その不安定さを打ち消している。なので特徴的な香りがするというよりは、苦味から酸味までの味を純粋に表現している印象が強い。事実、現在でも人気の高いクラシック・マイルドは、実に7種類の生産国が配合されている。

■ 計量方法もクラシック。
概念もクラシックだが、配合時の計量単位もまさにクラシック。未だにkg法ではなく、尺貫法を用いている。当初は、0.5貫、1貫 ( 1貫=3.75㎏ ) を使用していたが、さすがに覚えにくく、現在では0.5斤、1斤 ( 1斤 = 600g ) の単位で計量、配合している。ちょっとだけ効率アップしたのかな?どのみち、100gというキリの良い数字では配合できないので、3kg、6kg、9.6㎏で仕上げることが多い。

■ 今も愛され続けるブレンド5種
クラシックブレンドには次の5種がある。
①:クラシック・ビター (旧Bmix) 苦味の利いた、ストロングタイプ。
②:クラシックブレンド (旧HHmix) やや苦みと重厚感。
③:クラシック・マイルド (旧Hmix) 苦味と酸味のバランスが良い配合。
④:クラシック・スイート (旧Smix) 酸味とやや重厚感。
⑤:クラシック・アメリカン (旧SSmix) 酸味と軽やかさ。

■ 長所と短所
配合の複雑さや豆の種類から、「ある程度の加熱や保温」には強い。香りの変化がわかりにくく、昭和の頃の大衆喫茶では、一旦ネルで大量抽出して、それを提供時に手鍋で温めていたほど。昔は喫茶利用客がとても多く、効率が求められていた側面もあるのだけれど。

今でも、そういったお店にたどり着くと、タイムスリップしたような気持ちになり嬉しくなる。

一方で、オリジナル系ブレンドのような、生産国の特徴を引き出す配合にはなっていない。なので、個性的な香りが求められると、その要求にはこたえられない性質もある。

すぐに飲む。あとで温め直す。保温ポットに取り溜める。どの淹れ方にも対応できるクラシックブレンド。現在でも人気の高いロングセラーで、萩原珈琲の伝統的なブレンドだ。

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