大きな樹の話1
ちょうど2年前、大学3年の夏頃から巨樹というものに惹かれるようになった。 きっかけはその夏に見た吉田博という風景画家の展覧会。モンベルのお店に貼ってあった展覧会ポスターに書かれていた彼の一言が今も頭を離れない。
けれども私は自然を崇拝する側に立ちたい。
これより前の文脈を当時の私は知らなかったし、本人の真意は今もわからない。 でも強い信念が込もった言葉だと感じた。 とにかくこの時を境に日本人の自然に対する価値観について考えるようになった。(正直展覧会の内容よりもこのワンフレーズの方が印象強い)
まず日本人の自然崇拝の対象には何があるのかを調べた。 太陽・海・山・空・岩、、、八百万の神というように日本人は本当に色々なものに神さまを見たらしい。でも正直今挙げたものはなんだかスケールが大きすぎてピンとこなかった。 そんな中で目に留まったのが樹木だった。私たちと同じ生き物でありながら神さまとして扱われているのはどうしてだろうと思った。他にも生き物であれば狼だったり白蛇だったりも神格化されているけれど、あの時は樹にしか興味がいかなかった。 後付けの理由ならいくつか考えつくけども、なんとなくというのが本当のところ。
上手く説明できないけれど、この「なんとなく」はとても大事なことだと思っている。 本当に個人的に100%なんとなく樹に惹かれたのか、それとも動物ではなく樹に惹かれるべき背景が私の人生のどこかに無意識にあったのか。
これって神さまを信じるっていうことの根源に近かったりするのかな、なんて大それたことまで考えた。 暮らしの背景や周囲の環境から生まれる信仰はあるだろうけど、1番最初に信仰はどうやって生まれたんだろう。 この時私は大学で写真を撮っていたから、ちょうどよかった。正解まではまず辿り着けないだろうけど、この疑問を追い求めていく過程の証明として写真は使えると思った。
調べてみると意外と巨樹は身近にたくさんいた。今までは縄文杉のように深い山奥にひっそりと佇んでいるイメージが強かったから少し驚き。 とりあえず見てみないことには始まらない。 初めての巨樹探訪はお隣、埼玉県へ向かうことにした。
(次回へ)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?