コーチングについて


こんにちは hAFuです

LJLも折返し、スカウンティンググラウンズも始まっている?かと思います。
この辺りで、コーチングに興味を持っている方向けにコーチングとはどういうものなのかという記事を書いてみました。
少し長いですが、過去にRampage、PENTAGRAMでコーチをしていた経験を生かして記録する意味も込めて書いてみました。

興味ある方はお付き合いいただければ幸いでございます。


コーチングに必要な事ってとても多いのです。


・問題点の解決や解決方法を共有できる体制を確立すること
・フィードバックの方法
・選手や関わる個人のパーソナリティーの把握
・目標やモチベーションの統一と管理
・チームゲームの知識
・コネクション(選手獲得、scrim相手等)

今回は
問題点の解決や解決方法を共有できる体制を確立することについて話します。

その前に

まず強いチームに必要なことを3つほど話したいと思います。
「強いチームに必要なことは何か」。こう問われたときに、あなたはどのように答えますか。
私であれば、次のように答えるかと思います。

・強い選手/将来性がある選手

割と当たり前ですね。これって結構大切なのだけど、日本鯖の問題もありますので、土壌が必要です。
韓国選手とか中国選手が強いのはそもそもの環境の差があるという点もありますからね。
韓国のあるチームでは選手を採用する際にメンタルとコミュニケーション能力をとても重要視するという話を聞きました。

また、努力し続ける事も一つの才能です。
どこにゴールを置くか次第ですが、チームに入ることやプロデビューすることをいち通過点としての目標に多くの若者がプロを目指せる環境が日本にはまだ足りていません。
長い目で見て、これからの日本人選手に期待しておきましょう。

・練習環境があること

これも当たり前ですね。
現在ではゲーミングハウスはメジャーになってきました。LJL設立当初は、ゲーミングハウスがないチームばかりでした。
懐かしいですが、この辺りは運営側も必要性を考えて準備が進んできました。

ゲームに集中できる環境を作ることで練習効率を上げたりするというのが目的です。

他にも、同じ画面を指さしたりしながらお互いの表情を見てフィードバック出来るのも利点になります。

また、共同生活を送る事によってお互いをよく知れる事になります。これは次に書くコミュニケーションを取る為にとても重要なことです。

・コミュニケーションがとれていること

上記二つは当たり前といえば当たり前なのですが、この最後の部分が強いチームを作るためには必要不可欠なものです。
この部分について深く掘り下げていこうと思います。

コミュニケーションの重要性

なぜこれが重要なのか。現在の日本リージョンを見ていて足りないと思うか。
分かりやすい例を挙げれば、言語の壁があげられます。
どれだけ強い海外選手を起用したとして、意思が伝わらなければよいプレイというのは生まれません。

チーム全体で「集団戦をしたい!」と思っていてもコミュニケーションが無ければ
どこの地形で?どのタイミングで?誰のスキルから?誰をフォーカス?集団戦の勝利の目安や目的は?等が共有されていなければ
ただのSolorankの集団戦と変わりがありません。

どれだけゲームを理解していようとも伝わらなければ意味がないのです。
複数人で取り組むチームゲームだからこそ、重要視される点ですね。

さて、このコミュニケーションはゲーム中だけでなくそれ以外のあらゆる面でも重要視されます。基礎といってもよい能力です。

例:フィードバックタイム(反省会)、選手間での様々な情報共有、コーチとの意思疎通、集団生活など。。。

チームとして動くということではすべての物事の根幹にコミュニケーションがあると考えています。

競技シーンでは普段考えられているより、メンタルの強さとコミュニケーションは特に重要視される能力です。

本題

コーチがやらなければいけないこと

ここまで強いチームの最低限の要素を述べていきました。続いてコーチとして、チームを運営するというのは何かという点を触れてみます。

コーチの仕事としては

・個人の練習
・チームとしての戦術の提案
・BAN/PICK

などが一般的に触れられる点でしょうか。

もちろん、前述の点は非常に重要なのですが

・選手間の意見の調整
・フィードバック
・具体的な目標設定
・スクリムの手配/準備
・チームの体制づくり

なども行っています。

忙しいですね。

その中でも、強いチームを作るためにコーチとして必要な意識は

・問題点の解決や解決方法を共有できる体制を確立すること

が重要だと思っています。

体制づくりの重要性

極論ですが、傍から見て、問題点を教えるだけなら知識さえあれば誰だってできる。
これでは強いチームを作るには足りない。

私がコーチになった際にはLoLのチームゲームの知識は持ち合わせておりませんでした。

ただ、コーチになろう!っていう人は大体知識自体は足りていると思います。

世界中に競技シーンがあり、Youtubeを見れば試合やSolorankの動画はいつでも見れます。

それだけ情報が蔓延しているわけですからscrimを見て知識を上から教えるだけというのはやろうと思えば誰だって出来ると思います。

本当に悪い例で言うとLJLのコメント欄にある攻撃的な指摘コメントですね。

指摘をするだけして改善していくなら苦労はありません。

チームとして、全員が問題点とその解決をどのような手順で行っていくかを共有できなければ、意味がない。
どんなチームにも弱い部分・強い部分がある。
例えば、序盤は弱いからそれを誤魔化すチーズ(Level1invadeようなの作戦)を練習しながら、中盤以降強みの集団戦がやりやすい構成を組んで
集団戦に更に自信が持てるように繰り返しフィードバックを行っていく。
ゆくゆくは序盤の動きも相手や自分達の構成、相手チームの特徴を掴んで駆け引き出来るような練習もしていく。
と伝えるといった感じです。

チームの問題点とその解決方法は常に共有して、全員で解決していかなければいけない。



では私が具体的にどういうことを行ったか。

実際にあったことを具体例として紹介させていただきます。

(現在もDFMで活躍している)Ramune選手が2017年チームに合流した当初
チームは、スクリムを行っても勝てない状況に陥っていました

当時私は前述したとおり、コーチングはおろかゲームの知識もままならないチームのサポートスタッフという状態でした。そんなポジションの私にも「選手のモチベーションが低下していて練習が意味を成してない」

という意見が聞こえてきたので、急遽練習の見学と選手・コーチ各個人との面談をするためにゲーミングハウスへ行きました。

記憶にある方もいらっしゃるかと思いますが、Ramune選手は新人としてチームに合流したばかりでした。

練習ではほぼ常にレーン戦で相手のベテラン選手(scrim相手のレートはKRチャレンジャーばかり)に差をつけられ、
そのままmidから崩されて負けてしまう。

スクリムの反省会では「レーン戦の段階でゲームが終わっているので、反省する場所がない。」
という意見が出てくるほどでした。

実際のスクリムを見たところ
「レーンでのソロデス」ばかりが原因でチームが敗北しているわけではなく
「敵ジャングルのGankによるFlash・有利状況を失う」
これが敗北の原因だ!と捉える事が出来ると判明しました。

これを選手個人に
「ゲームで負けた原因は、敵ジャングルのGankなんだ。気をつけろ。直せ。死ぬな。」
と伝えるだけで終わらせてはいけない。

選手個人は、そのゲームで頑張ってるけど死んでしまった。
「見落とすな」「気をつけろ」「レーンで勝てるように上手くなれ」とかの選手個人能力を超えた話をしても意味がない。
※もちろん、個人で上手くなるための努力を怠ってはいけませんし、個人が直すべき部分もありました。

そもそもの、その原因を取り除いてあげるような解決策を考えなければいけない。
これが、コーチとしての重要な仕事の一つであると考えます。


それで、この時(シーズン7)は

個人面談とLCKのゲームを見ました。
(予定されていたスクリムをキャンセルして)

LCKのゲームでは最初にピンクワードを置くということが気づけました。

ではそれを、個人の課題として持ち込むのではなくチームとして、ビジョンを取るフェーズを作るべきだ

という提案をしてみました。

これも、個人にビジョンをこの時間に取ったほうが良いと提案するのではなく、

チーム全体、チーム全員の課題として、
ビジョンを取るフェーズを作るべきだ
というのが重要なのです。

具体的な流れ
#必ずサポートがファーストリコールした後にピンクワードを購入
#ミッドレーン回りに設置する
#そのピンクをきっかけにjungleとmidもピンクやトリンケットワードをなるべく深い位置に設置する
#動きそのものを 、チーム内で絶対に行うということで全員で共有。
#実際の設置場所についても細かく全員で共有した

これを行ったことで、チームが敵ジャングルの視界を取り
(序盤はサイトストーンも赤トリンケットも少ないので消される心配が無い)
・ミッドレーンの負荷が軽くなった
・元々のチームの強みであったサイドレーンの勝ちからゲーム全体のペースを握ることができた
といった流れに繋がりました。

コミュニケーション面で言うと

sup「ここにピンク置くね」
jungle「じゃあmid、この2キャンプ狩った後一緒にディープワーディング行こう」
mid「①pushされるマッチアップだから行けない②しようと思えばいつでもpush出来るけどgankが怖い」
jungle「①gankするからスキル残しておいて②カウンターgank出来る位置にいるからpushして」

①の場合はgankが決まるか相手が警戒してmid周りに来る事が予想出来る
②カウンターgankが決まるかそのままワーディングに行ける

どちらにしてもmidをpushしてワーディングに行ってる間敵のサイドレーンにもロームのプレッシャーが生まれます
元々弱点とも言えたmidレーン周りからゲームが動かせるようなコミュニケーションが生まれるようになりました。

チームに在籍されている方からは当たり前の内容かと思います。
ただ、お話したかったのはこういった活動を積み重ねていくことで強いチームになるということです。

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まとめ

・コミュニケーションがとても重要
・問題点の解決方法を提示するだけではなく、解決方法を共有できる体制を確立すること

物事の根幹にはコミュニケーションが存在します。
チーム間のコミュニケーションを円滑にし、強固な体制づくりをすることが基礎にあると思っています。

というわけでこういった記事が、コーチに興味がある方、チーム運営を実際に行っている方の一助となれば幸いです。

また、今回はわかりやすい内容にする為に割と上澄みに近い話が多く組織論のような記事になりました。
ただ、もっと競技シーンでの具体的な内容について知りたいことがあれば仰っていただければと思います。
今後もし需要があって記事を書くとすれば下記内容もしくは質問が多かったものにしたいと思います。

・フィードバックの方法
・選手や関わる個人のパーソナリティーの把握
・目標やモチベーションの統一と管理
・チームゲームの知識

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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