「笑ってはいけない」が笑えないワケ
謝罪会見があるなしは、論点ではない
芸能ニュースが、今はコロナとワタベのニュースでいっぱいだ。どちらも、嫌悪感を催すということで、大きな違いはない。でも、アンジャッシュ渡部さんの復帰が、どのニュースソースでも、袴田さんと原田さんのときと比べられているのだが、根本がずれているように感じられるので、ここに書き残しておく。
2017年に〝アパホテル不倫〟が発覚した袴田吉彦(47)は変態仮面に扮し「ポイントカードを貯め歩き、浮気相手に売られてしまった最強のだらしなさ! 不倫仮面、袴田!」と自らネタにしてみせた。 昨年は〝4WD不倫〟が報じられた原田龍二(50)が不倫教師役で出演。2年前にイジられた袴田に「そんな教師はクビにしろ! 不倫は絶対に許されざる行為だ!」と糾弾され、お茶の間に爆笑を巻き起こした。その一方で、袴田は「でも、原田さんのおかげで救われたんです」とフォローもしていた。
引用:東スポWeb
他の記事も見たが、どの論調も、「謝罪会見がないのに復帰はありえない」というのが骨子だった。でも、そうだろうか?
不倫をしたのだから、謝罪すべきといっても、いわゆる視聴者に迷惑をかけているわけではない。最も被害を受けているのは、CMのスポンサーであろう。でも、民間の会社の感覚で言えば、なんにしても、契約事であるのなら、確かに不倫は悪いであろうが、相手を見抜けなかったスポンサー側にも落ち度はあると、私は考える。
そう、当山の金さんであれば、喧嘩両成敗、といったところだろうか。渡部さんの件であれば、不倫をしていた相手がそれでも納得していて、妻である佐々木希さんが納得しているのであれば、ある意味問題はない。あとは、スポンサーと事務所の問題である。
芸能タレントと事務所の関係はよくわからないが、一種独特のものがあるらしい。それでも、タレントのプライベートの素行を、探偵事務所に素行調査させるようなこともなかろう。つまりは、本人次第であるのだ。
渡部氏と袴田・原田氏との立場の違い
ところで、私が感じる渡部さんと、袴田・原田氏との違いは、謝罪会見うんぬんではなく、俳優さんか芸人かの違いであると思う。
俳優さんは、演技することが仕事だから、そんな人がバラエティーで醜態を晒して「笑い」をとるのは、「恥ずかしいこと」であるので、これは「禊」になるかもしれない。
では、本業がバラエティーで、「笑い」をとりにいくのが仕事の芸人さんは、どうであろうか、ということだ。
芸人さんにとって、「笑い」をとりにいくのは「恥ずかしいこと」ではなく、それが「仕事」である。つまり、笑い=恥ずかしいことにはならないので、それは「禊」にはならないだろう、ということだ。
まあ、渡部さんが笑いを取れていたかどうかという根本問題はあるかもしれないが(苦笑)、立場的には、「お笑い」の人であるので、そのジャンルにおける立場で禊は行う必要があるのかもしれない。
そもそも、「禊」(みそぎ)とは?
でも、そもそも論として、禊とはいかなるものであるのだろう?
禊(みそぎ)は、罪や穢れを落とし自らを清らかにすることを目的とした、神道における水浴行為である。不浄を取り除く行為である祓(はらえ)の一種とされる。類似した行為に水垢離(みずごり)と呼ばれるものがある。このほかにも、禊祓(みそぎはらえ)を省略して禊とよぶこともある。禊祓は、禊と祓を合わせた概念で、夏の季語である。神事の前における行として、一般参拝者が手水で清めることも禊の一種であるとされる。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
一般的な禊と、芸能人関係の禊は本質的に異なるが、「罪や穢れを落とし自らを清らかにすること」は同質であろう。それが、お笑いの人であったら何が妥当か、ということだ。難しい。
もし仮に、一般人が民間企業に勤めていて、不倫が公になったらどうだろう?地方に飛ばされたり、関連会社に飛ばされたり、はたまた、首になったりするのだろうか。まあ、少なくともそこには「禊」をすれば許してもらえるような環境は、どこにもない。
そう考えると、芸能人は、ちょっと禊を済ませたら、すぐお金がもらえるようなシステムが出来上がっているという、結構な環境にある。でも、そこには才能やカリスマ性みたいなものがあればこそ、だ。
カリスマも、天然には敵わない
でも最近は、吉本興業やオスカー、ジャニーズなど、事務所側の問題もあったりして、事務所の権威も失墜してきている。だからこそ、芸能人ユーチューバーが生まれたりしてきている。それこそ、アンジャッシュの児島さんなどが、そのいい例であろう。
彼は、テレビで見る限りでは、「あまり面白くない」方の芸人さんであった。ただこれは、あくまでも、個人的な感想ではあるが。いくぶんキレキャラであるだけで、人にいじってもらわなければ面白みを発揮できないタイプだと思っていた。でも、実際にはそうではなかった。アンジャッシュでは、彼こそが「面白さ」を持ち合わせていた、天性の芸人さんだったのである。それが、YouTubeで花開いたといってもいい。
ここでは一応、天性の、と書いたが、一言で言ってしまえば「ド天然」であり、ジミー大西クラスの天然さんである。一見そう見えないのは、ある意味すごいと思う。俳優業をしているときは、俳優さんとして、それなりに演技しているので、素晴らしいと思う。
笑ってはいけないものを笑うには?
さて、では結局渡部さんはどうしたらいいのかというと、「笑ってはいけない」のスタッフは、「行列のできる法律相談所」(以後:行列と明記する)のスタッフでもあるという。そこから導かれる結論としては……。
それこそ、行列の番組の中で謝罪会見を開き、その場で弁護士三人に判断してもらい、法的に「無罪か有罪か」を判断してもらえばいい。そこで、ゲストに袴田さんや原田さんを迎えながら、公開裁判をするのだ。
これなら、「お笑い」のカテゴリーの中での禊となるし、法的にもどうかということを、判断してもらえる。あとは、それを行う勇気が、テレビ業界と芸能事務所側にあるかどうかということだ。