hacomono conference「ウェルネス産業の未来を変える、リアル店舗の成長戦略」 ーレポート①順調経営の地方出店クラブ、運営の極意
【経営者から学ぶ、地方展開のジムがコロナ禍でも強気な訳】
積極的なコミュニケーションで会員を“施設のファン”へ導く
UGOQも決して開業当初から高い認知やファンを獲得できたわけではありません。“地方”という特性上「少しでも悪い評判が流れると運営が難しくなる」という理由から、オープンに際してあえて新規採用は実施せず、信頼のおける知人とわずか2名でのスモールスタートでした。
それにもかかわらず、1ヶ月で約200名の方が入会するなど好調なスタートを切ったその影には、後藤氏の次のような考えがありました。
「コロナ禍において、“安心して使える施設かどうか”は入会を決める大切な要素。よく知る人物が運営する施設ならば安心感も高まるはず」
そこで事前に多くのつながりをつくり、その方々に声をかける地道な努力を行ったそうです。運営者には、こういった事前の地道な準備が特にこれからの時代、欠かせないポイントになりそうです。
宮下氏は実際に施設を訪れ、以下を成功要因の1つとして挙げました。
「多くの会員が施設のファンになっている」
その場にいた会員の半数以上がUGOQのオリジナルウェアを着ていたり、プロデュースするプロテインを飲んでいたりと何らかのUGOQブランドを身に付けていたからです。これは、会員であることにステータスを感じている証、いわば施設のファンになっているといえます。では、なぜそのようなことができたのでしょうか?
入会者の9割が初心者というUGOQでは、まずはジムという場を楽しむ方法を伝えるよう注力しているそうです。そのため、施設は流行りの24時間営業とせず、スタッフも常駐。会員には小まめに声をかけ、マシンの使い方からトレーニング方法のアドバイスなど積極的にコミュニケーションを図ることを意識しています。
スタジオプログラムについても、最先端だからと都心のクラブと同じものを導入するのではなく、会員の反応を見て、ヨガなど親しみやすいものを取り入れるなど、徹底的に利用者目線に立った運営に取り組んでいることが、会員をファンへと昇華させている要因のようです。
後藤氏は「身体づくりは長期戦だが、その中で会員様に短期的・継続的に満足感を提供することが大事。それには施設ももちろんだが、目に見えない“気配り”も重要になる」と語ります。そのためにも、スタッフと会員、会員同士を積極的につなげるように取り組んでいると言います。
“日々の喜びやストレスを分かち合える”というのは有人施設だからこそできることであり、新たな付加価値といっていいかもしれません。人との接触が制限される昨今、後藤氏は、施設がコミュニケーションの場としてこれまで以上に重要な役割を担っていることを感じているそうです。
近年、無人化や省人化が重要なファクターとなっている一方で、先のように人と人とのコミュニケーションの重要性が増している部分もあります。もともとホスピタリティの高い人材が集まりやすいフィットネス業界。スタッフがその力を発揮できるよう、人がやるべきこととシステムなどに任せること、切り分けることがより大切になってきているように感じます。
※レポート②以降も順次アップ予定です。