わたしのユーザーインタビュー遍歴
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わたしのユーザーインタビュー遍歴

はこる

こんにちは!UXデザイナー兼リサーチャーのはこるです。
国内有数のECモールのUI/UX改善をしています。

今回はUXデザイン界隈のタスクの中で、わたしが最も好きな業務であるところのユーザーインタビューについて振り返ってみます。

これからユーザーインタビューを始めたい方の参考になればうれしいです。

1. 初めてのインタビュー(2016年、新卒2年目)

はじめてのインタビューは、社内の営業マンへのインタビューでした。(ユーザーへのインタビューじゃないんかい!)
このとき担当していたのは、某B2Bサイトのリニューアルです。あるB2Bツールを導入したいと検討中の企業さんに、「申し込む」ボタンを押してもらうことがゴールです。
潜在顧客の方々に、「ツールを導入したい!」という気持ちを高めてもらうためには、どんなコンテンツを作るとよいか?のヒントを得るためのインタビューをしました。

ユーザーと接している人の話を聞く
潜在顧客の方々を直接捕まえて来て、「どんなお悩みがありますか?どんな情報があれば、このツールを導入したいと思いますか?」と聞けるのがベストですが、まだ申し込んでいない=自社と接点がない方々なので、代わりに申し込み後の潜在顧客と接点のある営業マンにインタビューをしました。
この場合は営業マンにインタビューしましたが、「ユーザーと接している人にインタビューをする」という点では、コールセンターのスタッフさんにインタビューするのも有意義だと思います。

インタビューで聞いたこと
営業マンの仕事は、申し込み後の潜在顧客を契約に持ち込むことです。インタビューでは、「潜在顧客はどんな悩みやニーズを抱えているのか」「潜在顧客にどんな知識があれば、商談がスムーズになるか」ということを中心にヒアリングしました。ここで得た内容をもとに、申し込みサイトのコンテンツを作り込んでいきました。

2. 独学&孤軍奮闘期(2017年〜2019年)

営業マンインタビューを経てリニューアルしたサイトのCVRが爆上がりしたことに味をしめ、「ユーザーの声を取り入れると良いものが作れるんだな」と思い始めました。
そこで、もっとうまく話を聞き出せるようになりたい!と思い、Theory & Practice, 独学と実験の日々が始まります。

独学の友-参考になった本
この時期によく読んでいたのはこの2冊です。




『リーン顧客開発ー「売れないリスク」を最小化する技術』シンディ・アルバレス著
『UXリサーチの道具箱 イノベーションのための質的調査・分析』樽本 徹也 著


これらの本について語り出すと長くなりそうなのでまた稿を改めて。

実践の機会を作る
当然ですが、待っていてもやりたい仕事は降って来ません。特に、会社にUXリサーチの文化が根付いていない場合は、自分から「ユーザーインタビューしたいです!勝手にやっちゃいます!」と言わない限り、実践の機会は生まれません。そこでわたしがやったことは以下の3つです。

1. 顧客を集めたイベントのスタッフを手伝わせてくださいと名乗り出る
2. 他の人のUXリサーチ案件で、書記をやらせてくださいと名乗り出る
3. 自分の案件でプロトタイプを作って、ゲリラ的に社内インタビューをする

1. 顧客を集めたイベントのスタッフを手伝わせてくださいと名乗り出る
わたしが担当していたB2Bツールでは、法人のお客様を集めた交流イベントを開催しており、個別相談ブースを開設していました。相談ブースは他部署が運営するのが常でしたが、当時のわたしはとにかくユーザーとの接点を持って、生の声を聞きたくて、「相談ブースのスタッフを手伝わせてください」と名乗り出て、ユーザー企業様の相談に乗っていました。端から見ると、自分の仕事じゃないことまでやりたがる変わり者ですね。

2. 他の人のUXリサーチ案件で、書記をやらせてくださいと名乗り出る
またもや名乗り出る作戦です。
自分の案件でなかなかUXリサーチの機会を持てない時期には、チームメンバーが実施しているユーザーインタビューの書記役を買って出ました。ユーザーの生の声に触れたかったのに加え、他の人がどんな風にインタビューをしているのかを知りたかったのが動機です。
この「他人のUXリサーチ案件で書記役として丁稚奉公させてもらう」ことは、UXリサーチ初心者の方におすすめです。書記をしながら、インタビューの雰囲気や話の聞き方のテクニックを盗めます。

3. 自分の案件でプロトタイプを作って、ゲリラ的に社内インタビューをする
自分の案件でサイトのUI改善をする機会が巡ってきたときには、すかさずプロトタイプを作ってユーザーテストとインタビューを試みました。まだまだ社内でもUXリサーチへの理解が薄く、開発スケジュールに「ユーザーテスト期間」というタイムラインはありません。そんな中でユーザーテストとインタビューを実施するには、限られた「ワイヤーフレーム作成期間」中にクイックにテストと改善を回すことになり、時間勝負です。

また、この頃はユーザー企業様と接点を持つチャンスが少なく、人づてにユーザー企業様を紹介してもらったり、社内のユーザーにコンタクトをとってインタビューの依頼をしていました。
忙しいと断られたこともあり、心折れそうになりつつも「良いプロダクトを作るためだ!」と奮起してコンタクトをとっていました。いやー、人見知りなのによくがんばった。

3. 巻き込み&文化醸成期(2020年)

とあるユーザーインタビューの講習会で、「ユーザーインタビューの理想的な頻度は、6週間につき2時間以上」ということを聞きました。そこで、「年間で16時間以上ユーザーと話す」という目標を胸に秘め、2020年を迎えます。(教わった通りに実践するところ、素直ですねー)

やって来たチャンス
この頃担当していた某B2Bツールは、リニューアルに向けてサービスコンセプトを描きなおすというフェーズに来ていました。ビジネス観点、開発観点で議論を重ねて来ましたが、煮詰まってしまう部分があり、「一度ユーザーインタビューをして、普段このツールをどんな風に使っているのか、どんなニーズを抱えているのかを聞いてみよう!」ということになりました。

ビジネス・開発メンバーにとっては初めての本格的なユーザーインタビューです。メインのファシリテーションはわたしが担当しつつ、インタビューの基本的なノウハウをプロジェクトメンバーに伝え、彼女たちにも同席してもらいました。また、エンジニアやマネージャーにも広く見学を呼びかけました。

ZOOM会議が広く普及し、インタビューの実施や見学へのハードルが下がったのも追い風となりました。

インタビュー時間の年間目標に対し、達成率218%!
結果として、年間で約35時間をユーザーインタビューに費やしました。達成率にして218%です!やったね!

続けてきたご褒美
ここまでくると、UXリサーチを導入しやすい土壌が徐々に形成されてきます。わたしが得たご褒美は次の3つです。

1. プロジェクトチームの意識が変わり、ユーザー中心の発想をする文化が根付きはじめました。仕様についてディスカッションする時に、「この前インタビューした田中さん(仮名)は、こういう部分を気にしそうじゃない?」という風に、具体的なユーザー像を思い浮かべながら仕事をするようになりました。

2. わたし自身も、ユーザーのペルソナをかなり具体的に描けるようになりました。この部署の誰よりもユーザーを理解している!という自負もあります。

3. よく一緒に仕事をする仲間たちの間では、「ユーザーインタビューなら、はこるに相談してみよう」という風に認知されはじめ、相談を受けるようになりました。

高まるユーザーへの想い
In-houseでUXリサーチを実施する場合(特にB2B案件の場合)、インタビュアーはユーザーにとって「会社の顔」という側面も持ちます。この頃から、「ユーザー企業様と自社の信頼関係の構築に、微力ながら貢献したい」という想いでインタビューに取り組むようになりました。

4. 大きなプロジェクトでインタビュアーを担当(2021年)

あのはこるというヤツは、ユーザー企業様へのインタビューに慣れているらしいという評判を聞いて(かどうかは知りませんが)、目玉案件でのユーザー調査でインタビュアー役にアサインされました。
(前述の2.独学&孤軍奮闘期には得られなかった、やりたい仕事が降ってくるという状況が遂に到来です。)

この案件は、プロジェクトの計画段階の構想をユーザーに見せてみて、インタビューでのユーザーの反応を踏まえて計画を修正していこうというものでした。製品が出来上がるよりずっと前の早い段階でユーザーの反応をみるのは、HCDプロセスやAgile的な観点からも理想的で、とてもやりがいのある仕事でした。

また、目玉案件ということもあり、これまでユーザーインタビューを見学したことがなかった開発メンバーや、決裁権を持っているレイヤーの方にユーザーの生の声をお届けできたのが、わたしにとって一つの達成でした。

という感じで振り返ってみると、まだまだ道半ばではありますが、最初の小さな一歩から足掛け5年、随分遠くまで来たものです。

ユーザーインタビューの魅力・面白さ


わたしが長きに渡ってユーザーインタビューを続けてきたのには、3つの理由があります。

1. 知的好奇心が刺激され、謙虚にもなれる
まず何と言っても知的好奇心が刺激されます。わたしたちの予測に反して、ユーザーってこんなこと考えているんだ!という発見が面白く、ユーザーの声に誘発されて新たなアイディアが湧いてくるのが最高に刺激的です。こんな状況は、脳みその大好物です。
サービス提供側が、いかに机上の空論で物事を進めていたかという反省にもなります。謙虚になれるのは良いことです。

2. 自分の仕事に対して健全なモチベーションと使命感が得られる
「目の前にいるこの人のために、良いサービスを作ろう。」「この人のために、いい仕事をしなければならない。」という、健全なモチベーションと使命感が得られます。

3. チームビルディングになる
共通の敵は友を作ります。「ユーザーの課題」という敵を共に目撃し、プロジェクトメンバーとの結束が強くなりました。
特に3. 巻き込み&文化醸成期のプロジェクトでは、ビジネス・PDM・エンジニアと一緒にユーザーインタビューをしたことで、チームのみんなが同じ目線に立つことができ、わたし史上最強のゴールデンチームとなりました。

巻き込まれてくれた熱意ある仕事仲間たちと、ユーザーインタビューの機会をくださった方々、そして誰よりも、インタビューに応じてくださったユーザーの皆様に大感謝です。

これからユーザーインタビューを始める方へ

まずは小さくてもいいので、ぜひ、最初の一歩を踏み出してみてください。

社内の営業マンや、コールセンタースタッフへのインタビューからでもいいんです。何なら友達や家族へのヒアリングでも、机上の空論のままサービスローンチするよりずっとマシです。

まずはやってみましょう。
そして、ユーザーに対する好奇心を絶やすことなく続けていけば、きっとサービスを良くしていけます。周りの意識を変えられます。

ユーザー中心の発想でUI/UX/サービス設計できる方が増えて、この社会がより快適になりますように!同業者たちへのエールを贈ります。

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はこる
某ECプラットフォームのhogehoge市場でUXデザイナー/UXリサーチャーをしています。 UXデザインのことと、他にも興味のあることを気ままに書きます。