生ぬるい風が、教えてくれること。
2021/07/16(金)
「ばいばい」は言わずに「またね」。
いつからなのか覚えてないけれど、もうかなり昔から、私が決めている自分ルールの一つ。
この日は、2ヶ月半ほどお世話になった、和歌山暮らしの山奥7LDKを旅立った日です。
前日に決まった、突然の"日常"の終わりに、寂しさとワクワクが詰まっていた。
この日を惜しんで早起きしようなんて、一瞬考えたりもしたけど、昼過ぎまでしっかり寝ました。
私がお布団から起きてきた時には、山椒組は畑に出ていたし、ちべさんは、次の土地へと旅立ってしまっていた。
もうしゃけもいない、静かなキッチンで、1ヶ月前一人で住んでいた時のことを思い出しながら、軽い昼食を作った。
あまりものと、即席のおかずを食べて、コーヒーを淹れてから一服。
やる気が出るまで、お仕事をするのはやめました。
でもこうやって、ホッと時を撫でていると、やる気は自然と湧いてくる。
家の所々を掃除して、夕方に頼んでいた集荷に間に合うように、段ボールをまとめました。
身の回りがスッキリすると、溜まっていた"やらなければいけないこと"が、次々と片付いていく。
予定していた時間ほぼぴったりに集荷にきた、宅配のおじちゃんに荷物を預けて、PCを開いてお仕事も終わらせました。
ぼちぼち山椒組も帰ってきたので、B型くんとお話ししながら、7LDKのアナログ日記も書いてみる。
そうこうしていたら、あっという間に夕方になったので、
お世話になった農家さんにご挨拶をしに行って、庭の野菜たちに「元気でね」と告げて。
阿部寛(仮)に車を出してもらって、最寄り駅まで降りた時、ふとこの土地が、私の心の内側にあるのを感じた。
いつもより少し長く電車に揺られて、難波駅に到着。
今回の行き先は山梨県です。
バスが出発するまで少し時間があったので、キャリーケースを引きながら、大きなバックパックを背負って、夜の街を歩いた。
もうしゃがみ込みたくなるほどの、背中に背負った重たいバックパックは、旅を始めたあの日、初めて背負ったバックパックと、同じ疲労感を私に与えてくれて、
「今日はどこで眠ろう」そんな気持ちで一人で歩く人混みの中は、私の色んな感性を刺激する。
同じ生ぬるい夜風に当たるたくさんの人々は、いつもみんな違う想いを抱えながら、様々な過去に連れられて、今という時を過ごしている。
夜のお店が立ち並ぶ、少し廃れた都会の街を歩いている私は、数時間前まで山々に囲まれていて、数時間後には、また違う山々を眺めながら、きっと、新しい人々に出会っている。
一人ぼっちだけど、右手に握りしめたスマホの中には、私の物語を創っている、たくさんの人の存在がある。
これらの不思議な感覚に、名前はつけられないけれど。
でも確かに、そこにある、目の前の空間に存在する物語を、私は物語の中にいながら、読者のような気持ちで見ていた。
これからまた、新しい旅が始まる予感は、
こんな夜に、ふと、訪れたりします。
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