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日記hibi/ 2019/1/21〜1/27

2019年1月21日(月)
満を持してパスポートを取りに行くつもりが書類一式を家に忘れ、そのまま取得作業は明日へ持ち越しとなった。パスポートセンターに向かう電車の中で気がついたのは不幸中の幸いで、そのまま目的地を変更して普段どうりに事務所に向かうための駅で降り、早めについた時間でデスク周りの掃除をすることにして窓を開け放ち、ホコリが、昼の日差しに照らされて舞い散っていくその様子、空気の動きを感じながら、リズミカルにデスクに雑巾がけをしていった。晴れやかな気持ちになったので、すべて良しとすることにして、事務作業をして、経理数字をあわせる細かいしごとに精を出した。

HABの通販でのおまけ冊子のレイアウトをどうしようかと思って、昨日知った「北欧暮らしの道具店」のおまけ冊子を調べる。たまたま友人が取材されたとの報告をFacebookで見て、おぉ素晴らしいと思うと同時に、この購入したらもらえるマガジンというのは、ぼくがいまつくろうとしているものとまさに同じ仕様ではないか! と思いそのページを急いでブックマークして、それでいま調べられている。B6で20ページほどのフルカラー仕様で、フルカラーとか高いのではないか、とwebでひとまずグラフィックの見積もりを調べるとそれは完全に予算オーバーで、そもそも、雑貨のwebショップと比べて、本の利益率で同じものをと考えるのが間違いだったのだった。それで本。販売するものが本であること、を考えると、判型は文庫サイズ、A6がいいのではないかと、利益率のことから急に判型のことに考えがシフトした。いままで、一般的な作りやすいサイズでA5か、B6くらいで考えていたが、発送する際に、文庫本1冊の場合A5では端が折れてしまう。冊子自体が文庫サイズであれば、文庫より小さい判型の本はほとんどないのであるから、それなら折らずに、折れずに発送できるのではないか、これいい、これ天啓と、ページ割をさっそく見直すと、1ページの文字数は少なくなってしまってページが増えるが、A3の両面印刷で作って織り込んで、表紙を別のA5の紙に刷って4ページ足せば、当初のA5で想定していたコストと大きく変わらず実現できそうだった。これいい、これでいこう、とうきうきしながらレイアウトを作り込んでいった。

2019年1月22日(火)
パスポートを取得する手続きのあいだ、本を読んでいた。昨日忘れた書類を、今日は忘れずにもって、ひと駅乗り過ごすと都庁前の駅につくのでそこで降り、列に並んで小一時間といったところ。
前に待っている子は、高校生だろうか。なにか、友達と旅行に行くと言った様子だったので大学生かもしれない。後ろに並んでいるおじさんが、どこかの通販会社に電話をかけて、「いちど定期購入を停止したくて。何処探しても停止の申し込みがみつからないので電話しているのだけど」「そう、それでたとえば送ってもらうのを、隔月にしてもらうとかできないのかね。うん、その使ってるんだけど一回分が多くてね。毎月送ってもらうと余っちゃうから、まえも一度停止してて。そう。だからまた復活するのも手間だから、半分にできないかね」という会話をしている。至極まっとうな意見と提案だったと思われたが、どうにも難しいようで、残念そうに電話を切っていた。平日火曜、パスポートセンター。いろんな人が海外に行こうとしている。もちろんぼくもだ。
『天冥の標Ⅹ PART1』は結局もうすぐ読み終わられようとしている。昨日だったか、PART2が出たばかりのはずで、今日こそ迷わずブックファーストに行って、いま読んでいる本の続きを買ってそのまま読む、という算段をつけていた。子づくり!? というところでPART1は終わり、みんな本当に懸命に生きていて涙が出る。それでちょうどそのタイミングでぼくは呼ばれ、一週間後に取りに来てください、ということで開放されたので、喜び勇んで、しかし慎重にブックファーストを目指す。前回とは違う、地下への入り口、おそらくこのあたり、というところを恐る恐る進む。間違いなく前回とは違う地下道で、位置的にもこれはブックファーストに向かうはずだと思い、出てくる案内表の看板などを凝視しながら進むと、見慣れた光景が現れ、そこはブックファーストだった。やった! やり遂げた! とうきうきして、店内に進み、『天冥の標Ⅹ PART2』と『今日の早川さん4』を同時に買う。代々木八幡に向かう小田急線で、すかさず読書。

帰りながら、『天冥の標』を一時中断して、『歩道橋の魔術師』。いつもの、「店主の読書会」のラジオ収録を、今回は書肆スーベニアで行うことになっており、その課題本で『歩道橋の魔術師』。読んだのは二年前か、たしか蔵前の「蕪木」で読み始めたはずだ、そういう些細なことばかり覚えていて、内容は、あまり覚えていないのでざっと再読する。しまうま!
ラジオの収録が終わり、帰宅の方法を調べると、電車は効率が悪いので、バスか徒歩ですね、とグーグルマップ氏にアドバイスいただいたのでバス。道中、緑色にラーメン屋の看板が見えて奇っ怪だなぁと思っているとそれは割合、家から近いところにあり、いつも通らない道にあるから見落としていたもので、気づきを得る。しかしそこには入らず、いつもとは違うコンビニでごはんを買って帰る。バスはなかなかに楽しい。

2019年1月23日(水)
ここ数日ipadを持ち歩いていて、普段は家に置きっぱなしにしているやつなのだけれど、持ち歩いていて、それはfuzkueの読書日記を読むためであって、配信が始まった一回目はそのままメールで読んでいて、「わー、どこでも読める、便利ー」、と感心したのだけれども、それは本に対してであって、いままでもwebだったので、それはそれでどこでも読めた。のだけれども、配信されてくる、読む、定期的に、まとまったという形でプッシュされるそれ、はwebサイトで気ままに読む、というものとは変わった様相、向き合う態度を求められる、というのがぼくのなかにあるようで、それで向き合い方を模索していた。iPhoneでは横幅がせまく一行の文字数が足りないように感じ、長い文章があまり入ってこない、という気がしていて、かと言ってPC画面というのも違う気がしていて、それはなんか資料的な、仕事的な雰囲気が生まれてしまうし、ほかの通知が気になるし、せっかくのメルマガのモバイル性が失われてしまうような気がして、それでwifiにつながっていないiPadが選ばれ、これは良いようであった。一回目を読んだときに、そのメールの末尾、全部読み切ったなというところにPDF版のダウンロード先が明記されており、PDFで、読める、縦書き! と思って次回からはそれで読むつもりで、ダウンロードしていた。のだが、なんだかほかの本を読んでしまい、今日まで毎日持ち歩くけど開かない板、としてiPadがカバンに入っており、今日こそ、今日こそ読むぞと電車に乗るなりiPadを開いた。それでずっとfuzkueの日記を読んでいたら、目的の駅についてしまい、朝のw 通勤時間でw 読み終わらないww となんだかおかしくなった。電子なのでぜんぜんページ数の感覚がなく、毎日そこそこ普段は本を通勤時間で読めている気がしていたのだけれど、つまりそれ相応の文字数があるということで、それは嬉しいことだった。

事務所についてからすこし『2666』。それで仕事をし、お昼ごはんを食べながら『読書日記』の続きをよんで、読み終わり、なんだか、今回は、とってもハッピーだったな、幸せの、幸せをいただいたなと思って美味しくごはんもいただいた。

ごはんをいただきながら、プリンタを買い換える必要にかられていて、検索する。家のプリンタは健在だが店のものが壊れて、というかぼくが壊してしまって、店で納品を受け付けたときとかに、納品書が出せず、家に持ち帰ってから出して添付して発送、という無駄な行為をしばらく続けていて、それで流石に買い替えねば、とwebで検索されていて、なるべく家でいまも使っているプリンタとインクの互換性があるものがいいと思っているのだけれど、全然出てこない。家で使っているプリンタの型番を調べ、インクを調べ、対応するプリンタの型番を検索窓に入れて、それで一つづつプリンタの機能を調べるも全く販売していない。買ったのは、たしか2年前なのだけれど、どうも調べていくと毎年型番の刷新とともにインクの仕様も変わるようなのであった。ビジネス!!! 絶望したが、しかしプリンタは必要だったため、ぼくは同じメーカーのものを買って……いや、うーん。この際、レーザーの高価なものを買った方が便利だろうか。本を作るとなったら断然、ゲラを出すのでレーザーが便利だがしかし普段はそんなに印刷しないだろう。宝の持ち腐れではないかという懸念。うーん。数日くらい迷おうかと判断を保留した。最初は買う気まんまんだったのに、こうやってどんどん判断が遅れていく。

夜は取次の方と飲むことになっており、向かい、飲んで、そして帰っている。ビジネスとして取次の話をするのは結構久しぶりで、経営とか、市場とか、最近の出版、書店動向とか、ということを話し、それは楽しくありつつ、なんというかもう僕の感覚はそこからずれているな、と思わせられた。それはつまり、10,000人とか、100,000人を相手に何かを考える気にならず、10人、100人、頑張って3,000人くらいのことしか考えたくないな、ということだった。『天冥の標』を読んで就寝。

2019年1月24日(木)
いつものように、下北沢で定期の打ち合わせがなされたのち、ブックショップラバーに追加納品をする。つまり、一度蔵前のHABに寄ってから、本を持って移動している。不便。

お昼にラーメンをたべたところてきめん、お腹を壊し、もう油は摂取できない体になっているんだなと思う。なぜラーメンを食べてしまったのか。なぜ……。非常な/非情な不調を抱えながら、文字起こしをして、そのしごとが一段落ついたので、別の文字起こしをして、原稿を作るムードが生まれている。お腹痛い。

すると、HABのためにお願いしていた原稿が、なんと締め切り前にお送りいただき、ありがたいなぁ、ありがたいなぁ、ぼくは依頼された原稿がまだ出来ていないのに、締め切り前に提出してくださる方がいらっしゃるんだなぁ、などと思いながら、楽しく読む。日記で、日記形式でお願いしたいんですよね、とお伝えして書いていただいたところしっかり面白いものをいただき、ありがたみを、その方とその方の文章と、日記という形式に思う。バシッと、一回ずつ気合の入った原稿もいいのだけれども、だらだらと続いていく日常が描写されるもの、その平坦な感じがいまとてもおもしろく思っている。

お腹痛い。

2019年1月25日(金)
昨日に引き続き店に寄って本を回収してから下北沢に向かうことになり、朝イチで蔵前に行くことにした。起きた瞬間からこのことは頭にあり、昨日に引き続いて! なんだかめんどくさいな、しかし早く送ってあげたほうがよかろう、それに売上、売上欲しい、という「行く」「行かない」の均衡状態を乗り越えるため蔵前に寄る楽しさを一つプラスすることにして、つまり、コフィノワで朝ごはんを食べることにした。平日の朝、前回土曜の昼に行ったときにくらべるとかなり空いており、落ち着いて過ごすことができそうで小躍りし、コーヒーとハニートーストを食べながら満足していた。ハニートースト。ペリカンのパンにバターとハニーをプラスしたトースト。なぜこんなにも美味しいのか。コフィノワで『天冥の標Ⅹ PART2』をしばらく読んでいるとお店は、満席にはならない程度に、しかし常に人は入れ替わりながら8割ほど埋まり続けており、これはとっても良い循環だな、いい感じに流行っているのだなということがわかった。うらやましい。それはもちろんここがいいお店だからだった。
読書が一段落したので、店に向かい荷物をつくり、下北沢に持っていく分は担いで電車に乗る。引き続き本。

仕事なんかしたっけ? 忙しかったな、忙しかった。それで最後に、「百書店大賞」という企画の募集記事をUPしてSNSとかで拡散してから、出。こういう、告知みたいなものを、急いでとりあえずだすかぁ、みたいな、状況でいつも出してしまう。なにに余裕を持ったら、なにが余裕になるのだろうか。

ドタバタと移動し、小伝馬町の「ほんやのほ」オープン記念の会にお邪魔する。小伝馬町にはANDONがありよく納品に行っているのでなんとなく余裕という気持ちで駅に降り立つも、どうも「ほ」はぼくがよく行くエリアとは反対側にあるようで結構な迷い方をしつつ到着。すでに遅れていたが、会場は本屋ではなくその上の階の貸しスペースのようで、踊り場にある本屋、踊り場! 「おどりばにあるほんや」という素敵な響き! をチラ見してから上昇。そこで美味しいごはんをいただきつつ本の話などして、それからお店を見る。お店に入ってしまうともう、ぼくは本しか目に入らなくなってしまい会話も気がそぞろになってしまうので、会食が本のある場所とは違う、というのは人と話す上でたいへんありがたい。

楽しくお話して、ぼくはここからなら歩いて帰れるので、と別れ、夜の道をとぼとぼと家まで歩く。金曜日のせいなのか、道中ちらほらと人がおり、みなさん楽しそうであった。帰る途中で、とんこつラーメンのお店を見つけ、ちらりと見てから通り過ぎる。ぼくは、ぼくの、お腹の調子を守る。自衛。

2019年1月26日(土)
入荷が多い。店を開ける、箱を開ける、そうすると新しい箱が届く、箱を開ける、新しい箱が届く、というのを繰り返して、新刊を品出ししていく。それが落ち着いたので、原稿……に取り掛かる気が起きず、現実逃避。入荷したばかりの『えーえんとくちから』を手にとって読み始めると、それはそれはすごくいい世界がそこにあり、これはもうそのまま自分のものにしてしまいたいな、となって、ひとまず何冊か追加の注文をすることにした。

そうやってから、自らの原稿を、うーんうーんとうなったがしかし書けない。そもそも、なにを書くか決まっていないのだから、それは書けるはずもなく、それはそういうご依頼だからなのだけれど、なに書いてもいいというものだと、なにも書けなくなる。なにか、指針というか、枠組みというか、そういうものを設定しないと、もちろんなにも書けないのだけれど、その設定が全くなにか、いい塩梅に浮かばない。ノートにメモなど取りながら進めるも浮かばず、お客さんがきて、本を売ってなどしているうちに時間が過ぎていって、夜。諦め。日々、なにもしたつもりがなくても時間だけは過ぎていく。

2019年1月27日(日)
なにも特出すべきところがないまま、なぜか時間だけが過ぎていく。何をやっていまこの時間になっているかさっぱり分からないまま、営業時間は半ばを迎え、なにも成し遂げられていない。原稿とか、webショップの準備とか、本の紹介とか、InDesignでの組版とか、そういうものがたくさんあったはずなのでに、するすると時間だけが滑り落ちていく。

「土日はほとんど来れないんですが、たまたま今日は空いていて。来れて嬉しいです」というお話をいただく。それはときどき、ほんとときどきお声がけいただく言葉で、感無量というか、いつも感動して、それでこの店でほんと、大丈夫なんだろうか、ご期待には添えたのだろうか、なにか、こう、もっとなんかいい感じにしていきますね、という謙遜と向上心が入り混じったような気持ちになる。現段階では謙遜側が70%くらいを占めているので、向上と半々くらいまでにはしていきたい。それで、実はこんど平日の夜も開けようと思っているんです、とお客さんどころか、誰にも話しておらずほぼぼくの心の中だけにある「今後の予定」をお話して、それでやっぱり平日も開けよう、と、声に出したことで実現化に向けて動き出したような感じを覚える。平日も開けよう。夜、どのくらい人がくるのかはわからないけれども、ぼくが、店を開けながら作業している分には事務所にいるのとそこまで変わりはないだろう、と、それで実際に開ける日程などを算段する。

夕方、いつもどおり、階段のライトをつけに降りると、もう日が明るくなっており、17時までであればライトは必要ないようであった。あかるい。

#READING  『天冥の標Ⅹ青葉よ豊かなれ』PART1、PART2 (小川一水、早川書房)
#READING  『歩道橋の魔術師』(呉明益 、天野健太郎訳、白水社)
#READING  『えーえんとくちから』(笹井宏之、筑摩書房)
#READING  『2666』(ロベルト・ボラーニョ、白水社)

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