1_様子

日記hibi/ 2018/9/15(盛岡ブックキャンプのhibi/)

2018年9月15日(土)
バッタ。バッタ。バッタであった。

盛岡のブックキャンプに出店するため、双子のライオン堂の竹田くんに8時間の運転をお願いしてなんかねむい、というか、つねにねむい、というか、だるい、という感じで、いやしかし、ぼくは運転せずに座っていただけで、それゆえにということで、車の運転以外はがっつり働くのだという気持ちで、荷物を下ろしてタープ、組み立て式の屋根みたいなもの、を組み立てた。会場は盛岡市内にある「中央公園」というところで、地図上で見ている限り、盛岡駅から徒歩20分くらいの位置にこんな大きな公園ふつうある!? という印象だったのだけれど、町中から離れる方向とはいえ「こんな大きな公園ある!?」という印象そのままの、大きな公園だった。
それで、割り当てられた草むらのスペースに荷物を運んだところ、足元から飛び出してくるものがあり、それがバッタであった。この草むらはバッタの生息地域だったのだ! バッタの住処を蹂躙するヒト。簡単に草を踏み荒らして売り場を設営しつつ、トノサマバッタ!(っぽいなにか)、ショウリョウバッタ!(っぽいなにか)と一人テンションを上げていたが、どうもこのテンションは僕一人のようであった。虫は、そうか、みんな昆虫はあまり好きではないのか。などと思ってみたが、ぼくもそもそもそんなに昆虫が好きなわけではなく、徹夜のテンションの産物であることは間違いなかった。

バッタは駆逐され、踏み荒らされた草むらに本屋は屹立した。

いつも、どのイベントでもそうなのだけれど、陳列スペースに対して多すぎる本を持ってきてしまう。それで案の定平台スペースが足りなくなって、どうしようかと思って天を仰ぐと、公園となりのホームセンターが目に入った。ホームセンターは、最高にたのしい。本屋とカフェじゃなければどこが好きかと問われれば僕はホームセンター!と答えるのではないかと思う、くらいにはホームセンターが好きで、とにかくなんでも手に入る。それでダッシュで向かい、木の板を600円で買ってきて、そのまま平台にしてスペースの確保に成功した。ホームセンターは最高だ。盛岡のホームセンターは、農具のコーナーが大きかった。カントリーマアムも同時に買われた。ホームセンターにはなんでもある。

それで。そう、それで、「これから盛岡ブックキャンプ、開幕します」という丁寧な開幕のアナウンスが流れ、ようやっと盛岡ブックキャンプは開幕した。ぼくは、アナウンスがあるということは拍手したほうがいいのかな、ということをかんがえていた。それで小さく拍手してみたのだけれど、特に他に拍手する人はおらず、空に音が飛び散っていっただけだった。

ゆっくり、ゆったり、ビールでも飲みながら店番しようとおもっていたところ、予想以上の人手で、いやその予想というのがぼく的に甘かっただけで主催の人的には想定内なのもしれないけれども、そうそうにお客さんにきてもらって接客などをしていた。まわりのごはん屋さんなどは、昼まえには80食くらい売り切れてしまったんですよということを言っていて、「いんしょくってすげー」といつもイベントに出るときに思うことを今回も思い、いずれ僕もコーヒーとか出すんだ、という気持ちで、しかしこれまでなにかが実践されることもなく、今日もいつものように本を売っていた。
いや、売っていたというのは嘘で。お客さんがいるにもかかわらずぼくはふらふらと店をまわり、本をみて、楽しんでいた。いつも納品のやりとりだけしていて会ったことがなかった秋田の乃帆書房さんに、イベント恒例となってきている感のある、その場でHABの本を手渡しで納品、をおこない、本を買い。盛岡のpono books&timeさんで本を買い。ALPSブックキャンプ以来二度目ましてのペンギン文庫さんとたのしくお話をした。さわやのオビワン文庫や郁文堂を見て、それで「てくり」を出しているまちの編集室で盛岡の喫茶店案内的な特集号を買って、なんというか本を買っていた。今回の主催であるBOOKNERDさんのところで、ブルーノ・ムナーリの(公園の隣にある岩手県立美術館でムナーリ展をやっていたのだけれど)、「きりのなかのサーカス」などの洋書があり、ほし…ほしい…が、ほしい…、などと煩悶した。総じて盛岡や秋田の本屋さんが超たのしかった。それで、店頭にデザイン書や絵本で谷川俊太郎と和田誠のかがくのとも「このえほん」とかがざっくり積んであってそのまま引き寄せられたところがBooks&cafeコトウさんというところで、福島で古本屋兼カフェをやっていらっしゃるとのことだった。本屋経験はいままでなかったとか、いまは市(いち)にもでているとか、最近は紙モノにも力を入れているとか、そういう話をした。して、たいへん良いなぁと、なんだかそういう話を聞くのがずっと、とても良いと思っていて、思いながら聞いていて、それで植物のイラストの描かれたリトグラフが買われた。こういうのは女子うけがいいそうだ。女子うけ!

それでコーヒー屋さんもたくさんでていたので、ごはんも食べずにコーヒーを延々と巡回していた。FOGコーヒーさんというところは秋田の大曲からきており、のら珈琲というところは、珈琲とカセットテープ(珈琲とカセットテープ!)のお店で、そちらも秋田から来ているとのことだった。あきたってすげー、と絶妙に秋田熱が高まった。のら珈琲さんでは、本とカセットテープと珈琲のセット(箱付き)を売っていて、なんというか、もう、絶妙! という具合で迷わずそれが買われた。それで店番にもどったあと、買った品々を店頭に並べたり飾ったりして、なにそれ? と聞かれたお客さんに、これそこの店で売ってるあれです、と宣伝する業務に精をだした。それはそうと本はよく売れた。

そうして、どんどん暗くなっていき、しかして意外とお客さんも引かず、普通に日も落ちたあと最後の接客というか、雑談を行い、店は閉じられた。

キャンプファイヤー的な火が焚かれる中、近くの温泉施設にゆき風呂に入り(サウナ、それはすばらしい)、ごはんを食べ、ビールを飲み、カントリーマアムを食べながらだらだらとしたのち、会場に設営したテントに入り込んで、盛岡の夜は案外寒く、靴下を重ねばきしたらとても良い塩梅だったので、安心したところすぐに落ちた。


つづく

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