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中小企業のWEBサイトで思うこと

WEBの制作会社を約20年近くやっていると、大きな会社のサイトを作るより圧倒的に中小企業のサイトを作る方がオモシロイのです。
これはおそらく制作会社の誰もがそう思うはずです。
とはいえ、顧客に安心してもらえるから制作会社の営業的には
やはり大きい会社の制作実績を載せた方がいいことになっていて
その方が信用度が高いことになるようです。

しかし、実際には作るときも作った後の成果も出やすいので圧倒的に
中小企業のWEBサイトを作るのが愉しいというのは、ちょっと考えればわかると思います。
まず、担当者ひいては経営者の悩みや問題点をストレートに聞くことができる。
このことで制作会社は顧客のビジネスがどういうものであるか理解できる。
つまり、共に考えることができれば、問題解決の糸口をみつけてサイトに反映させることができるということです。

中小企業には様々な事情があります。
所属している業界の掟もあれば、人員の都合もあったり、担当者のリテラシーの問題もあります。小さいだけに社内の事情が属人的だったり、経営者の思い入れが強かったり…。

これらは、巷で言われている「WEBの常識」からはかけ離れた事情であることも多くて、世の中に流布する「こうすればあなたの会社のWEBサイトはうまくいく」的なものと相反することも多い。

制作会社は、当然そのWEBの常識に従ってサイトは作りたいでしょうから、それを面倒なものと感じたり、途中でやる気をなくしたりしてしまうところもなきにしもあらずのようです。
しかし、WEBサイトは大企業も零細企業も関係なく横並びのメディアですから、むしろそれらの細かな「事情」こそが会社の特徴であったり、売りだったりすることも多いのです。
だけれども、ちゃんと伝えないと、WEBサイトを作る側はそこを理解できない。
なんとなく、ここに中小企業のWEBサイトの悲劇があるような気がするのです。

最近、中小企業の経営者の方々からご相談をいただくと、多くは5年、10年前に作ったサイトそのままで、特になにも更新していないとかという現実に直面します。かつてはこんなことはあまりなかった。
話を聞いてみると、作った時は気合い入れたのだけど、結局運用の組織が作れなかったとか、ビジネスに特に影響がなかった(よって忘れていた)とか、SNSに注力していたとか(だいたいやってませんけど)そんな理由です。

で、これは恥ずかしがったり、言い訳をしようとしているわけではないし、ウソを言っているわけではないのだと思います。
だけど、事実、そういうことが起きている。
すごくよくわかります。

これはわれわれWEBの制作会社みたいなところの責任でもあるんだなと思います。結局のところ制作会社はその時、できる限り言われるものを作る、お客様の要望を忠実に実現することに注力するからです。ある意味オペレーション業務だけをやっている。
思い出してください。「原稿いただけませんか?」「コピー何にしましょうか?」「デザインこんなんでどうでしょう?」と言われませんでしたか?

それらに細かく答えて、素材になるものを必死で用意して、制作会社に渡したはずです。なかには「よろしくやっておいて」といって会社のパンフレットを渡しただけというのもあるかもしれません。
さすがに昔はあったけど、最近はそこまでひどくないよと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、先ほど書いたように制作会社は「お客様の要望を実現することに注力する」のですが、この「要望」が「うちの会社のWEBサイト作って」だとこういうことも起こりえるのです。

企業のWEBサイトですからビジネスがうまく成立する、サポートする、会社にとって何が大事なのか?を要望として伝えるべきではなかったでしょうか?
親切な制作会社は、その要望の内実を一生懸命聞き出そうとしたかもしれません。しかし、多くはWEBの制作会社にそんなビジネスの根幹の話をする必要はないと思ったかもしれない。普段銀行やお客様に話していることをまた話すのは面倒くさいと思ったかもしれない(よくわかりますけど)。
制作会社に話してもわかるわけないと思った方もいらっしゃるでしょう(遠からず当たっている)。
WEBの担当者だったあなたは聞かれても経営に関わることで答えようのないことだったかもしれない。

というようなことがあったであろうと想像するわけですけど、それであるが故に、5年、10年ある意味放置されたWEBサイトが存在しているのではないか?と思うわけです。

一方で、思いついたかのようにうちのホームページなんとかしなくちゃと何度も考えたはずです。でもどうしていいかわからない。結局、社内の圧力もあったり、時勢を考えて、リニューアル!を試みるものの、同じ事を繰り返してしまう。
とりあえずあるだけのWEBサイトの再生産が行われ、その時満足するものの、なかなかビジネスに結びついていかない。
時代はDXなどと巷では喧しいけれども、どこを向いていけばいいのかわからないまま、リニューアルされたWEBサイトは公開されているわけです。

企業のWEBサイトについての考え方を整理していきたいと思います。
わたしたち制作会社もまた慣れてしまった考えから、今一度「考えるヒント」を探してみたいと思います。

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