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なんの心配してるの?


夜。たこ焼きをくるくる、ほいっほいっと丸めながら、テレビで世界陸上を見始めた。そしてすぐに違和感に気づいた。


織田裕二(敬称略)が、いない…!


そういえば前回大会のときに、「今回で最後」と言っていたことを思い出した。あれはほんとうだったんだ。商店街の万年閉店セールのような、やめると言っておきながらやっぱりやりたくなって続投します!的なものであってほしいと思っていたけど。

「織田裕二(敬称略)のいない世界陸上の中継は、たこの入ってないたこ焼きみたいだよ…もう、『地球に生まれてよかった〜』が聞けないなんて。あんなの、きっと世のコピーライターも嫉妬するような名言だよ」とわたしが言うと、夫は笑う。笑いごとじゃない。

たこ焼きは完成する。

次第に、織田裕二(敬称略)がいなくなったあとの世界陸上を引き継ぐ立場の人の気持ちを考え始める。世の中に存在するあらゆる仕事の中で、引き継ぐには荷が重すぎる仕事トップ5くらいには入るかもしれない(わたし調べ)。

「わたしたちには織田さんの真似をすることはできませんから、また新しい世界陸上の中継を作っていきましょう」とか、そんな話し合いが行われたのではないか。今まではたこ焼きだったけど、今度はお好み焼きにしていく、なんならもうソースものを目指すのはやめよう、そのくらい新しいものにしていこうと考えたのではないか。

わたしはそのように妄想し、夫に伝える。すると彼はまた笑いながら、「確かにそういう話は出るかもしれないな。でも〇〇ちゃん(わたし)なんの心配してるの?もっとほかのことに頭使ったらいいのに(笑)」。

まったくその通りである。わたしは自分のただでさえ容量がちっぽけな脳みそを、いつも「この人は何を考えてるんだろう」の妄想に使っている。もったいない。社会問題の解決策のひとつやふたつ、考えてみればいいのに。

ともかく、わたしは世界陸上のたのしさを教えてくれた織田さんに感謝しているし、これから世界陸上の中継を担当されるキャスターさんと、選手の皆さんを応援したいと思う。



たこは、とても余った。


おわり

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