見出し画像

捻挫しないシューズはハイカットかローカットか、厚底か薄底か問題を、何十年も前に先輩が身を削って教えてくれていた話

 カモシカさんの1年ほど前のエントリー「捻挫しにくい靴の特徴について素人の考察。」(2019-06-19)をたまたま目にして、そう!そうなのよ!とひとり膝を叩いていました。

カモシカさんの気づき

 登山を始めた頃に先輩に言われた「登山は絶対にハイカット」という言葉を信じていたカモシカさん。

 その後、トレイルランニングと出会い、トレイルシューズを履き始めると軽い捻挫すらせず、仮に足を捻っても、痛いのはその瞬間だけで、数分後にはまた走れる程度の捻りで終わってしまうことに気がつきます。

「もしかしてローカットの方が捻挫しにくいんじゃないの?」

 そして、次のステップへ進んだカモシカさんはさらに気がつき、極論を導き出します。

ソールも薄いほうが捻挫しにくいんじゃね?
極論、裸足が一番捻挫しにくいのでは?


捻挫防止にシューズの重さは敵!?

「女の一人旅と腰痛持ちは足を伸ばしたがる」と言ったのは博多華丸・大吉のネタだけれども、学生時代の部活(バレーボール)の影響で捻挫持ちな僕は、この”捻挫問題”には昔から敏感でした。

 学生当時、バレーボール界にも高価なハイカットシューズが登場し、流行り物好きな先輩がお試し購入をしていたのだけど、早々に脱ぎ捨てていました。理由は重いからでした。

 バレーボールは競技特性上、飛んで着地が常です。高さが絶対視される"ジャンプ競技"でもあり、自力で"ジャンプしては着地"をあれほどまでに繰り返すスポーツは他にあるでしょうか。

 そんなバレーボールシューズには衝撃吸収的なもの(当時の最先端はアシックスの「αGEL」)が最初に搭載されます。ハイカットシューズが登場したのはその後です。

 バレーボールにとって、シューズの重量はジャンプ時の負荷になります。「ハイカットは重たいんだよ」と吐き捨てるように脱ぎ捨ててしまった先輩の気持ちはよく分かります。

 でも、もう一つ重要な示唆を含む言葉をその先輩は残していました。

ジャンプ養成ギブスだ!と思えば、ハイカットはトレーニングになるかもしれないけどさ、「あ!やばい!(捻りそう!)」みたいなとき、その重さに持っていかれそうになるんだよ。ハイカットは捻挫を助長させるぜ!

 ましてや足首まで覆うハイカットの拘束された装着感が、緊急時の回避運動の自由度を奪ってしまうブーメランと化してしまう......。

 カモシカさんはブログでこう書いていました。

ローカットのシューズだと、確かに足を捻りはするのですが、足運びが軽やかになるからか、捻った瞬間の回避運動(重心を替える、足を引く、など。)が早くなる気がします。

 バレーボールでもトレイルランニングでも、足を捻ってしまう"状況"を回避することは出来ません。大切なのは、捻りそうになったときにいかに瞬時に重度の捻挫を回避するか。

 コンピュータウィルスをなくすことは出来ないが、ウィルスに感染しないように、あるいは侵入されることを前提に、どう軽傷で済ませるか。不整地での捻挫も似たようなことかもです。

 バレーボールの場合、ハイジャンプをした直後の着地時に足を捻ると、捻挫どころか骨折の恐れもあり、重傷化します。トレイルの場合、下りで足を捻り、大きくバランスを崩す瞬間(あのスローモンション)を考えるだけで痛みが走ってきます。

 そう捉えると、より重くなってしまうハイカットは捻挫防止の逆、捻挫促進シューズになってしまいません?


薄底、あるいは裸足の方が捻挫しにくい!が意味すること

 読み辛いランキングでも名著になるであろう『BORN TO RUN〜走るために生まれた』が発売された2010年。局所的な薄底ブーム、裸足ブームが巻き起こりました(あの熱量はどこへ行ったんだろう...)。

 当時、裸足でフルマラソンを走り、PB更新までしてしまうほど流行りものにすぐに乗ってしまった私ですが、カモシカさん同様に「裸足が一番捻挫しにくい」という結論を体験的に見出していました。

 まず前述した重さ問題として、厚底より薄底の方が軽いですし、捻った瞬間の回避運動も確かに早いです。ましてや裸足は重さ「ゼロ」です。

 そしてもう一つ「接地距離」(あるいは「接地時間」)が捻挫回避に影響するのではと思うに至ります。というのは、トレイルでいう「地面からの突き上げ」を感じるタイムロスが厚底より薄底の方が少ないという点です。

 ましてや裸足はロスなくダイレクトです(笑)。

 俗に言う「足裏からの情報」を瞬時に把握して、反射的に伝達して足を捌いていく動作はトレイルランニングの下りの醍醐味のひとつですが、この情報処理スピードを出来る限り早くする=捻挫を回避するためには、薄底の方が理に叶うのは言うまでもありません。

 ここまで言うとハイカットシューズは、捻挫養成ギブスとしか思えなくなってしまいますね…(また敵を作ってしまった気がする)


先輩への感謝

 不整地を歩こうが走ろうが、捻挫は起こり得るものとして捉え、起きないようにガチガチに固める発想よりも、起きてしまうことを前提にどうやったら深みにハマらずにリカバリー出来るか。

 リスクマネージメントの基本のようなこの教えを、先輩は高いお金を払って教えてくれていたのだとカモシカさんのブログを読んで思い出しました。

 そうそう。何でもいち早く導入してしまうその先輩は、指先に使うテーピングにカラーが登場するとすぐに使っていて、「やっぱ白だな!」と後輩に投げ売っていました。

#部活の思い出

この記事が参加している募集

部活の思い出

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?