小説作家志望の徒然なるままに。ラノベ界隈衰退に毒を吐く。ラノベ界のシュリンクフレーション!

 はい。個人的趣味でダークサイドを書きなぐりたいです。作家志望のくせして生意気だ。とみなさんお思いでしょう。そうです生意気です。誰しもそんなもんです。愛ゆえの毒です。愛の反対は無関心ですから。愛しているがゆえに毒を吐いてしまうのです。キモっ、読みたくないと思った方は早々にご遠慮願います。個人的趣味の無料の読み物ですから。もちろんただの主観なので、賛否受け付けます。長文なので気を付けてください。

 さて、かつて隆盛を極めたラノベ界隈。00年~10年くらいがもっとも売れていた時代でしょう。一巻で数百万部とかいっていましたからね。今はずいぶん市場規模が小さくなりました。なぜか。一言で出版社の方向性のミスでしょう。目先の利益に走りすぎて、粗製乱造のライト過ぎる方向転換に古参のラノベ愛に溢れる方々を容赦なく切り捨ててしまった。

 ひとつひとつ見ていきましょう。昔は数百万部あった。つまりそれだけラノベを愛する人がいました。そのときの感動を覚えている人は潜在的に現在もかなりの人数いるでしょう。なぜそういった人たちは買わなくなったのか。一冊600円の価値を出版社が下げてしまったからではないでしょうか。
 600円あればアマゾンプライムの月額会員になれます。1000円あればネットフリックスの会員に。安価で上質な娯楽はあふれかえっています。

 ですが、ラノベはどうでしょうか。一冊600円。ストーリーはゴリゴリに展開しますか?漫画と差別化できていますか?キャラクター小説とか謳っておきながら漫画よりキャラクターが立っていますか?
 長いシリーズで完結するまで数十巻かかります。鬼滅で23巻完結です。最近話題になった『タコピーの原罪』で上下巻です。藤本タツキ先生の『ルックバック』一巻完結です。
 絵がついて重厚なテーマをライトに楽しめてその価格です。ライトすぎる路線は漫画に100%負けます。最近の漫画は絵の技術も魅せ方も全体的にレベルが高い。大人から子供まで楽しめる大衆性がある。それでも1冊の価格は同じか安いです。

 情報量のない小説は負け筋なのです。ラノベの最盛期に売り上げに甘え、意図なく精選せずに乱発した結果がバブル崩壊と内容のデフレーションです。漫画はこの数十年ずっと一冊の価値を高めてきました。物語は深く、絵は綺麗で、表現方法を模索し、古くからある出版社ほど厳選と挑戦を繰り返してきた。媒体で青年誌を住みわけして読者が手に取りやすくもした。
 漫画は圧倒的情報量と娯楽性が一冊に詰まっています。同じ努力をラノベレーベルはしてきたのでしょうか。

 そもそもラノベというのはテーマ性や文体がライトなだけで、決して娯楽性そのものをライトにしたものではありませんでした。一般文芸が芸術性を有するのなら、ラノベはその敷居を下げた大衆性と娯楽性に特化したものでした。ですが、今はどうですかね。600円払って読んで、長ったらしいタイトルで表現された内容が全てで終わる。西尾維新ほど会話の面白さに特化もせず、物語は遅々として進展しない。
 映像化を前提とするなら、今のラノベ一冊でアニメは何話作れるのでしょうか。漫画家が一コマに注ぐ熱量と情報量が一行にあるのでしょうか。

 日本のバブルと崩壊後のデフレという、まるで同じ盛衰を辿ってきたラノベ業界。迷走具合も同じです。ただ、潜在読者は確実にいます。でなければ86の一巻があれほど売れるわけがありません。ごりごりに話が展開して、そこに定価693円の満足感があるからでしょう。文体は決してライトでないが、あれだけ売れる。目の肥えた読者層がいるのです。

 いまのラノベ業界を寂しく思っている人はたぶん、メチャクチャたくさんいます。掘り起こせる需要はかなりある。なのにレーベルは相変わらず目先の利益ばかり追求している。読者はどうせわからんと思ったら大間違いだ。セブンの弁当みたいにこっそり中身を減らすんじゃない!これを『ラノベのシュリンクフレーション』と名付けてやる!一文字の単価が上昇したなら中身を変えずに業界全体で価格を上げなさいよ。

 大体10~20代というのは感覚的にはもう大人に近い審美眼がある。鬼滅の刃は子供たちがドはまりしたが、内容はそれなりに硬派だ。ギャグパートはラノベほど性的だったり低俗じゃないし、物語は進むし、キャラはしっかりと立っています。多くの大人が楽しんで読める作品です。

 はっきりいって今のラノベは低年齢層を舐めています。アニメ絵のミニスカ巨乳可憐女子が表紙にでかでかと載っている時点で買うのさえ嫌な思春期は多いでしょう。大人だって嫌だ。電車でカバーなしで読めやしない。
 それでも昔はなぜ売れたのか。買う価値が中身にあったからです。表紙は恥ずかしいけど、友達に茶化されても胸を張って中身が面白いと主張できたのです。オタクとして審美眼に誇りがもてた。

 グダグタと中身のない会話や『!?』『・・・』ばかり多用されて表現される薄っぺらい一行の情報量を舐めた書籍に対し、賢い読者が金を払うだろうか。児童文庫だってもっと中身が詰まってる。
 小説家になろうが栄えたのは無料で物語が読めたからでしょう。書籍として出版するからには金銭的価値が発生する。無料だからファンがついていた物語が、本当に全部が全部一冊600円~1000円の価値があるのか見極めるべきだった。せめてレーベルをしっかりと分けるべきだったのです。

 もう一冊の価値がぐちゃぐちゃになったラノベ業界は、読者にとって河川でざるを使って宝石を探すようなものです。割に合わない。娯楽小説なのに苦行が必要とはもはやお笑いですな。ランキングも信者票が大きいことに加え、すでに読者があまりにも偏っていて一般読者は参考にならない。

 新人賞受賞作がなぜ売れなくなったのか。アニメ化してもなぜ売れなくなったのか。だって面白くないものが混ざりすぎてるんだもの。アニメだって昔ほどクリエイターに誇りは感じない。本当に面白いものを作ってやろうという気概のある作品は惰性で見るアニメ作品の山に埋もれてしまった。このままだとラノベと同じ道をたどるだろう。ラノベとアニメがくっついている時点で一緒に沈没していく。案外アニメがラノベを切り捨てるでしょう。

 今でもラノベに価値が残っているのはひとえにジャンルの魅力だけでしょう。ギャグ、ライトSF、ファンタジー、ラブコメディ、これらの分野の小説を読もうと思うとラノベが最適です。だけど、一冊600円かける価値がなければ客はどんどん離れていく。

 新潮nexはいい試みなんですが、ちょっと読者を見下してる感があります。ようこそ文芸の世界にステップアップしたね、とでもいわんばかりの感じです。しかも、結局のところスターツ出版の恋愛系小説みたいで、なにがしたいのかわかりません。大人の娯楽とはなんぞや。っていうか業界内で利益を取り合わないで住み分けなさいよ。焼野原にする気か!

 と、ここまで批判しましたが文字文化の私なりの希望を書きたい。
 現代は時間の流れが速く、時間への価値が高まっている昨今。実は小説は有利だと思います。600円の文庫小説、文体によりますが一冊2~3時間もあれば読んでしまいます。それで一つの物語が区切られます。漫画は一冊数十分ですが、物語に一区切りが訪れるにはかなり時間がかかります。完結するまで待って一気読みするには数年以上必要です。
 今のゲームなんかクリアに100時間近くかかったりします。ストーリーなんて練れば練るほど、サブクエストが増えるほど、クリアまでに本筋を忘れてしまう。実はゲームは物語を純粋に楽しむことには向いていない。
 映画は一本2時間ですが、文庫本一冊ほどの物語に1800円します。
 小説が未来を切り開くには一冊の価値を高めるしかない。一冊に600円~1000円。物語を丁寧に楽しみたい人に対しきちんと提供する。
 いま、私はラノベをほとんど買いません。ぱらりとめくって情報量がないことが見透かせるからです。仮にそれで物語が進むとして、どれほどの娯楽性があるのでしょうか。短文に情報が詰まってる? ラノベの表現がそんな詩的かね。宣伝にいくら金と時間を使おうと中身がなければ意味がない。
 全然情報のない漫画がどれくらいありますか。キャラクターが笑っている絵には、文字で『○○は笑った』以上の情報量が絵にはあるのです。

 結論、ラノベは楽をして金を稼ごうとしすぎたのです。

 長々と書いてきましたが、これも愛ゆえです。すでに嫌いを超えて無関心な人はラノベコーナーなど素通りします。『キモい』この一言すらもらえません。今のうちですよ、業界関係者さん。好きな人にだけ好きになってもらえばいいと言いつつ、価値の追及をしないままコンテンツを溢れさせて、どんどん読者を削ぎ落してきた愚行を省みてください。今から読者を取り戻すのは時間も労力もかかるし大変ですが、思い切って転換しないと廃れる一方でしょう。

 私のような古参が騒いでいるのは、ただの懐古主義ではなく、明らかにページ稼ぎのための改行と擬音と空白、なんら意味のないスキルやレベルや戦闘力表示が跋扈する小説の氾濫を嘆いているのです。

以上、ラノベのシュリンクフレーションによる業界の衰退。
お付き合いいただきありがとうございました。
いつもと変わらず賛否問わず受け付けます。罵っていただいて結構、私Mですから。でもコメント欄のシュリンクフレーションは遠慮します。

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