新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。

コロナ禍におけるアマチュア演奏会 - 参加と運営のポイント 主催・運営編

しののめ@H_Shinonomeです。

コロナ禍における演奏会の主催・運営は非常に厳しいものとなっています。
こちらに演奏会にいらっしゃる方向けの記事を書きましたが、主催者側はより細かいポイントに注意する必要があります。アマチュア音楽を愉しむ者として、また各種演奏会をマネジメント側から支える者として、この半年でいろいろと見えてきたので参考になれば幸いです。なお、私は医療従事者ではありませんので、至らぬ点等がありましたらご指摘いただけますと幸いです。

主催者は何に気を付けるべきか

演奏会を成功させるぞ、という気持ちは主催する誰もが思っていることと思います。では、成功とは何か。いい演奏をして奏者間で楽しむことであればオフ会のような非公開でもできます。いい演奏をするのもそうですが、来場者の方に音楽を楽しんでいただくというのが演奏会としての一番の成功だと自分は考えています。そのためにも、来場者には演奏に集中してもらえるように安心を示していければと思い、まとめました。

演奏会に向けての練習や、当日の舞台上、非公開のオフ会については、いわゆる「特定多数」でのコロナ対策となります。
演奏会当日は客席に「不特定多数」の来場者がいらっしゃることになり、その対策が必要となります。
特定多数と不特定多数とに対するコロナ対策は考え方の違いがあります。まずはそこから見ていきます。

公益社団法人全国公立文化施設協会
劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン改定版 [PDF]

(一社)日本クラシック事業協会
【報告書公表のお知らせ 「#コロナ下の音楽文化を前に進めるプロジェクト」】


特定多数での対策

演奏団体団員やオフ会参加者同士で行う対策です。全員が同じ方向をみて対策を行わないと感染リスクを低減させることはできません。
場面としては、オフ会、練習、演奏会舞台上となります。

その1:マスク着用

必要な時以外マスクを着用することが必要です。管楽器奏者は演奏にあたりマスクを外さざるを得ませんが、演奏が終わったらすぐマスクを着用するようにしましょう。マスクは鼻まで覆わないと意味がありません。
マスクの代わりにハンカチ等で鼻や口を一時的に覆うことでも効果が出ます。
そのうえで奏者同士で注意しあえるような土台、雰囲気作りを主催者は心がけましょう。
弦楽器奏者についてもマスクをしているとザッツや呼吸を合わせたりするときに息苦しさを感じるようです。普段からマスク着用で練習するなど、慣れておいたほうが良いでしょう。

その2:水の扱い

管楽器奏者はその楽器の特性上楽器に結露を生じたり、息を直接吹き込むことで唾液が管内に入り込むことを意識してください。楽器内に付着した水を取り除く際は、ごみにできる物に全量を吸着させることが必要です。床に落とすと、床にしみこむことで消毒が困難になります。絶対に床に水を落とさないようにしましょう。
金管楽器の水抜きは吸水シート等を管に当てて直接吸水させることが望ましいです。上から落とすと水が撥ね、飛沫となる可能性があります。
木管楽器のスワブは練習ごとに必ず洗剤を使って洗濯し、乾燥させたうえで使いましょう。洗濯ができないもので、熱に強いものは熱湯消毒でも構いません。演奏中のスワブは床に直接おかずにジッパー付きビニール袋に入れることが望ましいです。
クラリネット、オーボエ等は楽器の構造上、演奏中に水が下に落ちます。楽器の下に吸水シートを置いて対策を行いましょう。また、こまめにスワブを通すことで水を下に落とす可能性を減らしましょう。
吸水シートはこまめに取り換えましょう。使用済み吸水シートは密閉できるビニール袋等に入れ、ごみとして持ち帰りましょう。
会場により、床に水を落とすと割り増しで清掃料を取られる場合があります。ホールによってはかなり厳しく見られます。最悪の場合今後の利用をお断りされる場合も考えられますので、これでもか、という対策を行いましょう。

その3:飛沫対策

フルート等のエアリード楽器や合唱はその特性上、少なからず飛沫を飛ばしてしまいます。合唱の場合はマスク着用での演奏で大方の飛沫飛散を防止できます。フルート等は飛沫対策パーティションを設けることでその影響範囲を限定化し、またそのパーティションの消毒を徹底しましょう。フルート等におけるスワブや水の取り扱いは先の「水の扱い」と同様に徹底しましょう。フルート演奏用マスクというものがありますが、それの効果検証について情報がないので、どなたかご存知でしたらご教示ください。
2020/09/30 18:00追記
フルートマスクについて、ドルチェ楽器のフルートマスクの効果検証動画があるとコメントにていただきました。
https://www.dolce.co.jp/accessory/flutesafetyguard/
本記事において、効果があると謳うものではありません。

その4:消毒の徹底

終了時に会場備品を消毒をする必要があります。会場側で消毒する場合と、利用者で行う場合があるので、会場の指示に従いましょう。
先の飛沫防止パーティションや会場のドアノブ等は休憩や準ずる時間に換気とともにこまめに行いましょう。
会場によって換気の間隔と方法が指定されている場合があります。その時は指示に従って換気を行う必要があります。
木管楽器のスワブは練習から帰ったら必ず洗濯しましょう。中性洗剤等に含まれる界面活性剤の一部にはウイルスの不活性化効果が認められています。
金管楽器も可能であれば楽器自体の消毒を行います。同様に中性洗剤等を用いた管内洗浄も効果的です。

その5:接触を避ける

打楽器奏者同士のマレットの貸し借りや、使用する椅子の出し入れ等も、接触の原因になりえます。マレット等は、やむを得ない場合を除き各利用者が個別に用意することが望ましいです。貸し借りを行わざるを得ない場合は都度消毒しましょう。椅子については、セッティングが終わった後一度消毒をするのが良いでしょう。

特定多数での対策がなぜ必要か

演奏会を目標に練習している中で、対策自体が面倒に感じたり、頻繁に練習していても感染者が出ていないのだからそこまで対策を行う必要はない、などと考えていると、それは危険信号です。
奏者は必ず練習会場へ移動します。その間、感染をしていないとは全く言い切れません。そして、ひとたび感染者を出してしまうと演奏会に向けての練習が2週間は止まることを意味します。また、演奏だけでない他の実生活にも影響を及ぼします。
現状、クラスター発生した団体に対しての世間の目は冷たいです。SNS等で特定され、その状況によっては演奏会自体をあきらめなければならない状況に追いこまれる可能性も否定できません。
さらには、政府発表に伴い緩和方向に向いている練習会場やホールの対応が、厳しくなることが容易に予想されます。しかもそれは報道によって全国へ広まります。
自分たちが音楽を楽しむ場所をこれ以上減らさないためにも、自衛をする必要があるのです。

同様に、体調が芳しくない団員については、練習に来ないよう促しましょう。発熱、咳などの症状によっては保健所やかかりつけ医への相談も必要です。

万が一、団員にコロナ感染者が発生した場合、過去2週間以内に利用した会場に知らせます。その窓口は利用時に会場側から提示されるはずです。また、必要に応じて団員に知らせましょう。一時的に動揺する団員もいるかとは思います。しかし、しっかりと対策を行うことで団員の安心と感染拡大防止につなげることができるのです。

不特定多数への対策

演奏会の当日、主催・運営者とフロントスタッフが主となり行う対策です。主に来場者へ対策の徹底をお願いすることになります。
場面としては演奏会本番当日の来場者周りとなります。

特にフロントスタッフの対応は、来場者と楽団の間に位置する防波堤となります。会場によって細かい対策は変わるかと思いますが、うつさない、うつらないためにしっかりと対策を講じましょう。

その1:マスク着用

ロビーやホワイエを担当するフロントスタッフは、来場者に直接対峙します。特にチケット受付等のスタッフは来場者と密になりやすい立ち位置となります。マスクだけでなくフェイスガードを用いる等の追加対策を講じたほうが良いです。
来場者についても正しいマスク着用を呼びかけましょう。鼻まで覆っていないとマスクの意味はありません。

その2:消毒の徹底

不特定多数の方が触れる可能性の高い場所については、こまめに消毒を行いましょう。休憩後に毎回行うのが望ましいです。
ドアノブ、自動販売機、ロビーの椅子など、消毒箇所は多岐にわたります。会場から指定された消毒方法や頻度がある場合はその指示に従いましょう。
消毒作業の際は、ニトリルグローブ等を用いてスタッフが消毒対象個所に直接触れることがないようにしましょう。

来場者へも、入場時や休憩中等にこまめな消毒の案内を行います。休憩中は手を洗うにもお手洗い自体が混雑する可能性が高いため、手指用アルコール消毒液を来場者が通る場所に多めに置いておくとよいでしょう。

終演後にも会場の指示に合わせて消毒を行います。会場によりますが、消毒完了までが貸館時間となっていることが多いので、当日のタイムスケジュールは十二分に余裕を持ちましょう。

その3:接触を避ける

以前は紙チケットやパンフレット配布などで間接的に来場者と接触する機会がありました。電子チケットの活用やパンフレットの手渡しをやめるなど、極力来場者と接触する機会を減らしましょう。
検温を行う際も非接触式体温計を用いて行うことが一般的になってきました。

来場者同士の接触可能性も減らしましょう。ドアの開閉は早めにスタッフが確実に行うことで来場者がドアノブに触れる機会自体を減らせます。

舞台に近づけられる状況も避けましょう。ホールの状況にもよりますが、前2列等の座席を使用しないといった対策が取れます。

その4:密を避ける

ホール内に比べ、ロビーやホワイエは狭い環境であることが多いです。また、休憩中は飲食物を取られたり、お手洗いに行くのに列を形成したり、とホール内では避けられている事項が頻発する場所でもあります。
間隔をあけて列を形成してもらう、飲み物を飲み終わったら必ずすぐにマスクをしてもらうなど、積極的な来場者へのお声がけをしましょう。
来場者へのお声がけを行うことで、来場者自身にも対策を取ることを意識付けることができます。
休憩中はホール及びホワイエについては大規模な換気をするのが良いでしょう。

正しい対策を取るのはもちろんですが、その姿勢や状況を来場者に見せることで安心して演奏に集中してもらうことができます。主催・運営としては、対策を行っていることを少し大げさに示すことも大事です。

正しい消毒や防疫のためのポイント

マスクやフェイスガード、ニトリルグローブを用いていても、正しい使い方や消毒を行わないと感染防止対策になりません。それぞれの道具を用いる場合は、正しい取り扱いを行うように十二分に注意しましょう。

マスク

何度も書いていますが、鼻と口を両方覆うのが正しいマスクのつけ方です。使いまわしはせず、不織布マスクはできるだけ頻繁に交換、再利用可能マスクは最低でも1日1回は洗濯をして、マスク自体の清潔さを保ちましょう。
うっかり表面を触ってしまわないように注意しましょう。表面を触った場合は速やかに手指消毒や、石鹸での手洗いを行います。

フェイスガード

フェイスガードの複数名での使いまわしは厳禁です。また、フェイスガードは表面、裏面ともに頻繁に消毒を行いましょう。フェイスガードの表面にはウイルスが付着している可能性があります。表面を触った場合は速やかに手指消毒、石鹸での手洗いを行います。フェイスガードを外した時も手指の消毒を必ず行いましょう。

ニトリルグローブ

いわゆる薄手のゴム手袋のようなものです。ドアノブ等の消毒作業の時は必ず着用しましょう。1回使ったら破棄します。フェイスガード同様、表面にウイルスが付着している可能性があるため、手袋を外す際は裏返すように外します。
外し方はこちらがわかりやすいです。
https://www.medicom-japan.com/?p=3554
外した後は手指消毒や、石鹸での手洗いを行います。

物品消毒時のポイント

物品消毒は、一般的に手に入るものでは、アルコールや次亜塩素酸水を用いることが多いかと思います。
それぞれ使い方、使えるものが違いますので、ご注意ください。

アルコールでの消毒

アルコールは濃度70%以上のものをペーパータオル等につけたものを用いて、被消毒物の表面をふき取ってください。
手指の消毒においては刷り込むように揮発させてください。

なお、合皮製品はアルコールにより劣化させてしまうことがあります。会場の備品を消毒する際は消毒方法等について会場に問い合わせましょう。

次亜塩素酸水での消毒

有効塩素濃度80ppm以上の次亜塩素酸水をたっぷり使い、被消毒物の表面をヒタヒタに濡らした後、20秒以上おいてからペーパータオル等でふき取ります。

その他消毒に関するポイントは厚生労働省のページを参照してください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html

消毒部材一覧

消毒に使った部材の廃棄は、密閉できるビニール袋等に入れましょう。

いままでの演奏会と違う運用ポイント

来場者に安心してもらうための消毒や防疫について書いてきましたが、もちろん電子チケットの運用等今までの演奏会運営とは違うポイントが出てきています。

例えば電子チケット。スマートフォンやパソコンに明るくない人間にとって、チケット取得に対して非常にハードルが高くなります。
実際に私がスタッフをしていて、当日チケットがあるだろうと思い込んで来場、受付で完全予約制をアナウンスをして肩を落とされる方もいらっしゃいました。
また、スタッフ側へのトレーニングを必要に応じて行う必要があります。

いわゆる置きチケットについても対策が必要です。例えばQRコードを印刷したものをいままで同様に置きチケットとしておくと、結局その受け渡しで来場者とスタッフとの間に接触機会が増えます。
そうならないために、電子チケットプラットフォームの譲渡機能を利用したり、QRコードを画像として事前に送るなどの対策を講じましょう。

会場との打ち合わせについても配慮したほうが良い事項があります。それは、会場側の基準変更が起こりうるということです。

実際、私の周りの事象として、客席収容人数だけでなく舞台面の人数について制限が行われ、打ち合わせのたびにその人数が減っていったということがあったと聞きました。
その会場でのできるだけ偉い人と綿密に打ち合わせを行い、議事録を作成しておくことで意図しない舞台面制限を予防できそうだ、という話も併せて聞いています。その際には、コロナ対策を合わせて提示するのが効果的だったとも聞いています。

会場面での大きな変更として、有料でのごみ回収を行ってくれるところがほぼなくなっています。消毒に使ったものなども含め、すべてのごみを持ち帰る必要があるので、運営内でだれがどう対応するのかをあらかじめ相談しておきましょう。

主催・運営者として

来場者も、スタッフも、そして会場専属スタッフも、奏者も、全員が見えない恐怖と戦っています。そんな中、いかに演奏会、及びその演奏に集中させられるかが主催者・運営陣にとって今までの運営に加えた役割になってきていると思います。

各種団体もガイドラインを発表していますので、併せて確認してください。

そしてまだまだ影響は残りつづけると個人的には考えています。あの団体がこうだったから、自分のところもこんなもんでいいだろうという感覚は危険です。主催・運営として、きちんと説明できるような対策を講じて来場者、スタッフ、奏者に安心して演奏会に臨んでもらうようにしましょう。そして過剰に怖がらず、でもしっかりと対策を講じて、今後も演奏を続けていきましょう。

謝辞

こちらの公開にあたり、正しい消毒や防疫のためのポイントについて監修をいただきました友人及び妻の友人の看護師のみなさまに感謝申し上げます。

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