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「雨男」と「身の丈」を同列に語ることの愚かさに気づこう。

先週から、大臣が謝罪したり、辞任したりと忙しい毎日です。

ずらりと並べてみました。こうも立て続くと、すべて「大臣による不祥事」とひとくくりに考えてしまう方もいるかもしれません。だけど、本来この4つは、とても一緒くたにできるものではありませんよね。

そもそも①と④は(勝手に番号振ったけど)、報道が事実だとするならば法律違反です。犯罪です。「大臣辞任」などで済む話ではなく、議員辞職も免れない事案だと思うのです。私としては、「大臣辞めたから、それでOK」という空気になっているのが不思議でなりません。

そもそも④に至っては、なぜ妻の陣営で起こった不祥事を、夫が引責辞任するのか。本人には何のお咎めもなしなのか。このあたりの疑問を、マスコミ報道は何ひとつ解決してくれていません。

そして、②と③については「失言」とひとくくりにされてしまっています。さらっとしかニュースをチェックする余裕がない一般視聴者ならば仕方のないところですが、なんと大マスコミ様までがこの2つを「失言」とひとくくりにして報道していることに驚きを禁じ得ません。


そもそも「失言」って、どういう定義なのでしょう。

[三省堂 大辞林 第三版]
不都合なこと、まちがったことなどをうっかり言ってしまうこと。
[デジタル大辞泉]
言うべきではないことを、うっかり言ってしまうこと。

ということなのだそうです。つまり、「不都合なこと」「まちがったこと」「言うべきではないこと」が失言にあたる、ということになりそうです。

そこで、まずは河野太郎防衛大臣の発言から。

「私は、よく地元で“雨男”といわれました。私が防衛大臣になってから、すでに台風が3つ。そのたびに災害派遣、自衛隊の隊員が出てくれています」

この発言が「被害に遭われた方もいるのに不謹慎だ」と批判を浴びたわけですが、これを先ほどの条件に当てはめると、「不都合なこと」「まちがったこと」ではないので、「言うべきではないこと」になるのでしょうか。

だけど、これって難しいですよね。「言うべきではない」かどうか、これは誰が判断するんでしょうか。一人でもそう感じる人がいたらアウトなのでしょうか。たとえば、被災地の首長でもある熊谷俊人千葉市長は、こんな発言をされているんですよね。

千葉市長は、「全く気になりません」と。

しかし、「いや、不快になった」という方もいるでしょう。では、いったいそう思う方がどれくらいの比率だと「失言」と呼ばれ、謝罪を求められるのか。このあたり、かなり曖昧だし、そうした線引きが存在していないのが現状だと思うのです。

そういう意味で、「言うべきではないこと」を失言の要件とし、謝罪を求める根拠とするのは、いささか怖いなと。マスコミがいくらでも操作できてしまいますからね。実際、一部の方しか怒っていないのに、そうした声だけを取り上げて、「批判を浴びている」などと炎上をでっち上げられて迷惑を被っている芸能人の方もたくさんいらっしゃるくらいですから。

次に、萩生田光一文科大臣。BSフジの番組で、英語民間試験の利用によって家庭の経済状況や地域によって格差が生じることについて問われたところ、次のように発言しました。

「それを言ったら『あいつ予備校通っていてずるいよな』というのと同じ」
「自分の身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえれば」

これに対して、「格差を是認するのか」と批判の声が上がり、萩生田大臣は発言について謝罪。さらには撤回までしたのです。

さて、これは「不都合なこと」「まちがったこと」「言うべきではないこと」のうち、どれに当てはまるのでしょうか。

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