見出し画像

乙武洋匡がChatGPTにぶつけた5つの質問。

最近の私のタイムラインは、そのほとんどが統一地方選挙かChatGPTについて。特にChatGPTについては、「人類を超えた」と表現する人まで現れるほどで、そのインパクトの大きさを物語っています。

私が関心のある教育分野でもChatGPTには熱い視線が注がれており、たとえば今後さらにその重要性が増してくると言われる探究学習との相性が良さそうなことから、探究学習の教材作成にChatGPTを組み込むことができるのではないか、といった議論が始まっています。

私もまだまだ「使いこなしている」というレベルには至っていないのですが、いろんな質問を投げかけてみては、ChatGPTなるものがどんなもので、どの程度の精度で回答が返ってくるのか試しているところです。というわけで、ChatGPTにぶつけた5つの質問を、その回答とともにご紹介していこうと思います。

まずは、こちらから。

「日本における障害者問題とは?」と質問してみたところ、なかなかの回答が返ってきました。文中に出てくる「障害者の権利と福祉の向上のための条約」とは、おそらく「障害者権利条約」のことでしょう。2006年に国連で採択されたこの条約ですが、日本はずいぶん遅れて2014年に批准しています。

ChatGPTは、日本は障害者権利条約に批准しているものの、「現状では障害者が社会に参加するための環境が不十分」だと指摘しており、さらに具体的な課題として、「障害者雇用率の向上「障害者が自由に移動できる環境の整備」「障害者向けの教育や医療サービスの改善」を挙げています。

いや、すごい……。本当に的確です。では、これらの「具体的な課題」についても質問してみましょう。

「日本国内において障害者雇用率を向上させていくために、どのような施策が必要になってくるでしょうか」との質問に、

1.雇用機会の拡大
2.障害者の職業能力開発支援
3.職場環境の整備
4.障害者の雇用継続支援

との回答が返ってきました。正直、これには驚かされました。昨年の参院選で障害者雇用の問題について話すときには、必ず「法定雇用率が定められているために“採用”にばかり焦点が当たってしまうが、じつは健常者と比べて異常に高い離職率にも目を向けるべき。採用した障害者にどのような仕事を与え、どのような支援が必要なのかといった継続的ケアが必要」と訴えてきたのです。

まさにChatGPTは、この点を「4.障害者の雇用継続支援」で指摘しているのです。さては、俺の演説をパクったな……。

では、次に「障害者の移動」について聞いてみましょう。

3つ目の質問は、「駅などの公共交通機関をバリアフリー化するための費用は、誰が負担すべきだと思いますか?」というもの。すべての建物や公共交通機関がバリアフリーであることが望ましいのは言うまでもありません。しかし、それには膨大な費用がかかってきます。その費用は、誰が負担すべきなのか。

ここ数年、障害者の社会参加が増えてきたからこそ、車椅子ユーザーがバリアに阻まれて改善の声を上げると、「声の上げ方が悪い」とネットリンチに遭い、改善の声がかき消されるというニュースをたびたび目にするようになりました。その際に必ず書き込まれるのが、「障害者がバリアフリーを必要としているなら、その費用は障害者が負担しろ」というコメント。さらに、こうしたコメントにはそれなりに多数の賛同者が現れるのです。

これについて、ChatGPTは「バリアフリー化は、障がいを持つ人だけでなく、高齢者や小さな子供を持つ家族など、広い層にとって利便性を高めることができます」と答えると共に、だからこそ「公共交通機関をバリアフリー化するための費用は、国や地方自治体、公共交通機関事業者が負担すべき」と指摘しているのです。

いいじゃないか、ChatGPT。わかってるじゃないか、ChatGPT。すべてのヤフコメ民にこの回答を読んでほしい。ChatGPTは「人工知能」のはずですが、“民度”でもすでに人間を上回っているのではないかとさえ思われます。

では、さらに「教育」についても聞いてみましょう。

4つ目の質問は、「日本では長らく分離教育を続けていますが、国連からも勧告を受けているようにインクルーシブ教育に転換していくべきですか?」というもの。

しびれる。すべての政治家に聞かせたい。いや、もうさっきから「ヤフコメ民に読ませたい」だの、「すべての政治家に聞かせたい」だの連発していますが、それほど回答が素晴らしいのですよ。もう本気でChatGPTに政策判断を任せたいとさえ思い始めてきました。とはいえ、そう簡単にインクルーシブ教育へと転換できないことも事実。やはり、それには副作用も伴うことが予想されるからです。そのあたり、ChatGPTは理解しているのでしょうか。そこで、最後の5つ目として、こんな質問をぶつけてみました。

参りました。完璧です。分離教育とインクルーシブ教育のメリットとデメリット、その双方を理解した上で「インクルーシブ教育へと転換すべき」だと指摘していたのですね。「人類よりも賢い」とまで言われるChatGPT様がこのようにおっしゃっているので、日本政府ももうこの方針で進めることにしませんか笑?

というわけで、ChatGPTを使って「日本における障害者問題」について考察を深めていきましたが、みなさんいかがでしたでしょうか。なかなか興味深いですよね。まだ精度に問題があり、そのまま鵜呑みにすることはできないという指摘もありますが、多くの人が利用することで今後ますます精度は上がっていくでしょう。こうした人工知能が生み出されたこと自体に懸念を示す人もいることは事実ですが、私自身はもう少し関心を持って利用してみたいと思います。

と、本来はここで終わろうと思っていたのですが、最後にどうしても聞いてみたい質問があったので、もう一度ChatGPTを開いてみました。いや、でもこんな個人的な質問してもいいものなのかな。そもそも回答してくれるのかな。いや、でもどうしても聞いてみたいな。いや、やっぱり聞いてみよう。

おりゃ!

              ------✂------

ここから先は有料公開となります。

個別の記事を数百円ずつご購入いただくよりも、定期購読マガジン(月額1,000円)をご購読いただくほうが圧倒的にお得となります。

月の途中からご購読いただいても、当該月の記事はすべて読めるようになっているので、安心してご登録ください。

記事の更新はみなさんからのサポートに支えられています。ぜひ、この機にご登録をお願いします!

「乙武洋匡の七転び八起き」
https://note.com/h_ototake/m/m9d2115c70116

ここから先は

941字 / 1画像

¥ 300

みなさんからサポートをいただけると、「ああ、伝わったんだな」「書いてよかったな」と、しみじみ感じます。いつも本当にありがとうございます。