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「健常者」と「障害者」の間に、対等な関係を築くことはできるのか。

毎週木曜日は、乙武の右腕ことキタムラが「冷製マネジャー日記」を更新してくれている。日記の体裁は取っているものの、日頃の鬱憤を晴らすべく、ひたすら私の悪口を書き散らかしている。何が困ったってこれがやたら読者に好評で、私の渾身の記事など目もくれず、毎週キタムラの記事だけを楽しみに購入する人がいるほどだ。

さて、そんなキタムラ。このコロナ禍で仕事が激減したため、「日記に書くことがない」とネタに困っている。これまでは私が温泉で溺れた話や、電動車椅子で飛行機に乗る際の手順など、みなさんの気を引きそうな話題でつないできたが、いよいよネタに尽きたのか、今週は映画のレビューに手を出している。

「手を出した」という表現は、キタムラにとって不本意かもしれない。というのも、彼に映画レビューを勧めたのは、この私なのだ。もう少し正確に言うならば、「映画レビューを勧めた」のではなく、「映画『最強のふたり』のレビュー」を書くことを勧めたのだ。

日本で公開されたフランス語映画の中で歴代1位のヒット作となり、ハリウッドでもリメイクされたこの映画は、全身麻痺で車椅子に乗る大富豪の白人・フィリップとスラム街で育った黒人の青年・ドリスの交流を描くストーリーだ。

いわゆる「障害者」と「健常者」の関係性を軸に描いた映画なのだが、この作品に対して、「障害者」である私を10年以上にわたってサポートしてきたキタムラがどう観たのか、どう感じたのか、私自身が知りたかったのだ。

「だったら直接、聞けばいいじゃないか」という声が聞こえてきそうだが、意外とこういう話は面と向かってするのはて恥ずかしいもの。というのも、フィリップとドリスの関係性は、私とキタムラの関係性に通じるところがあるからだ。

そうした意味で、木曜日に掲載された彼の記事は私にとってとても興味深いものだったし、「オレ的“神回”」だった。ぜひ、みなさんにも読んでいただければと思う。

さて、そうなってくると、「キタムラさんの考えはわかった。では、乙武さんはこの映画をどう観たの?」と気になる方もいらっしゃるだろう。あれ、いない?? コホン……。ええと、いるという設定で、今回は私なりの映画『最強のふたり』レビュー……というよりも、この作品から見える「障害者と健常者の関係性」について語ってみようと思う。

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「乙武洋匡の七転び八起き」
https://note.mu/h_ototake/m/m9d2115c70116

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