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きゃりーぱみゅぱみゅさんへの暴言を、絶対に許してはいけない。

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昨日からTwitterのトレンドワードを賑わせているハッシュタグがある。

#検察庁法改正案に抗議します

これには賛否両論あるようだが、私なりに簡素な解説動画をつくってみた。急ごしらえだった上に専門家でもないので粗はあるかもしれないが、論点の整理はできたように思う。

今回の話題で目につくのは、日頃はあまり政治的な話題に触れることのない芸能人が、この件に関して多くコメントしていることだ。俳優・浅野忠信さん、歌手・西郷輝彦さん、いきものがかり・水野良樹さんに加えて、小泉今日子さんも「株式会社明後日」名義のアカウントで反対ツイートを連発している。

そして、この方も反対の意思を示していた。

フォロワー523万超という絶大な影響力を誇るアカウントだけに、彼女のツイートはあっという間に拡散され、日頃、彼女をフォローしていない人の目にも留まるようになった。

その一人が、政治評論家・加藤清隆さんだ。きゃりーさんのツイートを目にした加藤さんは、彼女のツイートを引用する形で、このような発言をした。

「歌手やってて、知らないかも知れないけど」

「歌手やってて、知らないかも知れないけど」

「歌手やってて、知らないかも知れないけど」

……なに言ってんの???

意見が違うなら、正面から議論すればいい。自分より何回りも年下の若者に「俺のほうが知識がある」というマウントを取りたいのなら、死ぬほどダサいけれど勝手にすればいい。しかし、「歌手やってて、知らないかも知れないけど」という前置きは見過ごすことができない。

私はきゃりーさんとも、そして加藤さんとも面識がないので、どちらかの肩を持ったり、どちらかを不必要に貶めるような動機はない。その上で、声を大にして言いたい。

歌手は、政治に疎いのか。

歌手は、法律に疎いのか。

歌手は、社会問題に疎いのか。

そんなものは、ただの思い込みだ。何の根拠もない妄想であり、甚だ悪質な決めつけだ。今回の「検察庁法改正」について、どちらにより知識があり、どちらがより本質をついているか、ここでは関係がない。大切なのは、意見の異なる相手と議論する際、その相手を尊厳を傷つけるような発言は絶対に許されない、ということだ。あくまで相手の「意見」について反論するべきだということだ。

「歌手やってて、知らないかも知れないけど」

この職業差別とも受け取れる発言が、政治評論家を名乗る人間の口から発せられたことが何より悲しい。日本の政治は、民主主義を採用している。民主主義とは、国民一人ひとりが意見を持ち、その意見をぶつけ合い、代弁者である国会議員を通して着地点を見出していく作業だ。

きゃりーさんは、職業が何であろうと、国民としてごく当たり前のことをしたに過ぎない。それに対して、自分とは意見が異なるからと相手の職業に言及して、その正当性を損わせようとするのは、とても「政治評論家」のすることではない。

「まあまあ、乙武さん。そう熱くならないで」

読者のみなさんの声が聞こえてきそうではある。だが、こうした発言を看過していれば、やがて民主主義は小さな綻びを見せはじめ、気づいたときには政治が「一部の人」のものになっていってしまう。それでいいのだろうか。いいはずがない。

どんな職業の人だって、どんな思想を持っていたって、誰もが政治の主役。そのことだけは絶対に忘れてはならない。

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