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敏感な人が職場で生きぬく方法は?_元人事×HSP当事者が「安心社会」から考えてみる

HSPは生きづらい。働くことも大変と感じている人は多いと思います。
何でHSPの人はこんなに働きづらいのでしょうか?
抜け出す方法はあるのでしょうか?
それを考える上で、今の日本の社会を知ることは大切です。
今回は、日本の社会を「安心社会」という言葉で理解し、職場でのHSPの生き抜く方法について考えます。

この記事で学べることは3つです。

■日本の社会の現状を示す「安心社会」とは何か?が分かります。
■安心社会の中で、HSPの方がどういう状況にあるか理解できます。
■HSPが職場で生き抜く方法3つを実践できます。

HSPとは「特に敏感な人」という意味です。こちらで詳しく書いています。

■日本社会の現在(安心社会とその揺らぎ)

安心社会とは?

「安心社会」というのは、社会心理学者の山岸俊男先生が示された日本特有の社会システムのことです。
「安心社会から信頼社会へ」という本で、実証研究を交えながら解説しています。

安心社会はウチとソトを明確に分ける社会です。
ウチとは、企業、地域などの小さな集団(小集団)です。
所属すると守られる感覚(安心)が得られるので、安心社会と呼ぶのです。

ここでは上下関係と相互監視により人々を統治します。
家長(父)が一番偉い「家父長制度」や、上司が絶対という企業の「上意下達の文化」などがそうです。

さらに人々の「空気」を使った相互監視により統治します。「こうすべき」という「べき論」です。
「べき論」の反論できない雰囲気が、上下関係と相まって、なかの人の行動を縛るのです。
「こうすべき」=「べき論」については、こちらに詳しく書きました。

一方、安心社会の利点もあります。

小集団は集団を構成するウチの人を守ります。助け合い、お互い様の感覚で構成員の人たちが世話をやいてくれるのです。
しかし秩序を乱すと、一気に排除の論理が働きます。
そして、ソトの人間に対しては警戒を崩しません。

日本人はアメリカ人より和を重視し信頼があると言われますが、それはウチの内部の人のことです。日本人の他者一般(ソト)に対する信頼の水準はアメリカ人の方が高いという研究結果もあるのです。

このように安心社会では、小集団内の人に独自の価値観を押し付けてきました。
その価値観に上手く適応出来ないHSPは、マイノリティのレッテルが貼られます。とても生きづらかったと思います。
ただし小集団にまだ力と余力があった時代には、集団への所属自体は守られていたのです。

安心社会の揺らぎ

ところが、その「安心社会」が最近、崩れてきました。
それがHSPの方にとって大変辛い状況なのです。

現在は「自由」、「競争」、「多様性」など新しい概念が入っています。
小集団の間の移動も頻繁です。
小集団ごとの価値観は違うので、外圧により内部でさまざまな意見が出ます。反発、葛藤も起こります。
それに伴い、小集団を離れる人や「ただ乗り」する人が増えるのです。

「ただ乗り」とは小集団から離脱はしないが協力もしない、自己中心的に行動をする人をいいます。
彼らは「自己責任」「自由」など外圧を盾に自由に動き、自己アピールします。しかし問題が起これば人に押しつけます。
「上からの押さえつけがないなら、このくらい大丈夫」とばかりやりたい放題です。

こうすると衰退する小集団の中で離脱者が増え、不満が鬱積します。
人々は「お前は本当に味方なのか?」と疑心暗鬼です。
互いの叱責に終始し、相互監視の行きすぎ、排除、袋だたきなどが起こります。

敏感で大きい声が出せないHSPの方は、ターゲットにされてしまいます。
ただ乗り者に「べき論」を上手く使われ、いいように踏み台にされてしまいます。
また小集団にも余裕がなく、マイノリティを守る体力がありません。

安心社会が揺らぐ混乱の中で、これまでも生きづらかったHSPの方は職場でさらに厳しい状況に陥っています。
職場に所属することさえも難しい状態になっているのです。

■どう抜け出すか?3つの提案

このような厳しい状況の中で、HSPの方はどう立ち回り、どう抜け出すのか?方法を3つ提案したいと思います。

①働きやすい、生きやすい組織を自分基準で選ぶ

自分に合った組織を探す、選ぶことです。そして選んだ組織をベースに自分に適した仕事、居場所を自らで広げていくのです。

どういう組織がHSPにとって適しているのでしょうか?
まずは最低限の安全が確保されている組織です。
安定した環境をベースに、能動的に研鑽を重ねて仕事の範囲を広げていける職場かどうかです。
安定した環境とは、どんな職場でしょうか?
例えば、環境変化が激しくない(転勤、部署異動が少ない)。思考が落ち着いてできる。長期で仕事ができる。知識労働、技能労働などでしょうか。

もうひとつは職場の風土です。
例えば規則が機能している組織は居心地がいいです。隠し事のない透明な職場運営がなされれば秩序が保たれます。
トップの独裁という意味ではありません。規則がオープンにされ、それに基づき職場が動いているのです。

HSPに合った組織は、成長や将来性など社会が求めるものと必ずしも一致しません。
例えば競争が激しすぎる業界は難しいと思います。目標が短期になればなるほど、個人に求めるものは大きくなり、個人に無理がかかる。
組織が余程注視をしなければ、マイノリティは振り落とされてしまいます。

安全を求めるHSPの姿勢は「逃げ」だと思われがちですが、そうではありません。HSPの方が最高のパフォーマンスをあげるためには必要なことなのです。

今の社会においてHSPの方はマイノリティであり、適した職場を選ぶのが難しいことも現実です。
しかし選択肢は必ずあります。地道に選択を続けていきましょう。

そしてダメだと思えば辞める。職場を変える。これが新しいスタンダードになります。自分の気持ちに正直に動いていきましょう。

②組織に自分の存在を委ねない

組織や人に自己決定、自己判断の権利は渡さないようにしましょう。
誰かに自分の存在を委ねないのです。自分の事は自分で決めます。
それが自分で自分を大事にするということにつながるのです。

決めるための判断基準を持たないといけません。
そのためには知識を深めること。周囲を観察することです。
そして、その知識と観察したものをつなげてみる。そこから分かることが沢山あるのです。

③自分で自分を応援する

しかしHSPの方の多くは自分に自信がもてない。成功体験がないから苦しんでいるのです。
だから自分で自分を応援しましょう。
自分が安定するからこそ、自分で決めることが出来るのです。
自分で地道にひとつひとつ階段をつくり、その階段を上っていきましょう。自分で自分を応援する方法についてはこちらに書いています。

■私たちの社会の未来

この日本の安心社会が崩壊した後、どうなってしまうのでしょうか。
山岸先生はその後の社会として「信頼社会」を示しています。
今回は触れませんが、日本に住む私たちが、ひとりひとりの価値観を大きく変えていかないといけないものです。

みんながどうすればいいか迷っています。探しています。
何を探しているんでしょうか?テクニックではない。自分が頼ることができる「本質」を探しているのです。

でも、「本質」は本を読んでも人に聞いてもネットを検索しても出てきません。情報で得た知識と経験を元に自分で考えるしかないのです。

敏感で感受性の高いHSPの方は本質を見つけられるはずです。
自分の感情、感覚を大事にする。違和感を大事にするのです。それがいくら周囲とかけ離れていてもそれが本質です。信じていいのです。

昔、私が中学生の頃に不良がクラスで大暴れしていました。
大声で怒鳴って、物を壊す。先生につかみかかる。同級生にも無理難題を言ってきたり。
本当に怖かった。だから近づかないようにしていたのです。
でも逃げれば逃げるほど言いがかりをつけられ、嫌な思いをしました。
しかし、私にはどうしてもその不良たちが悪い人に思えなかったのです。
ある時、もう逃げまいと決意しました。自分の感覚を大事にしようと思い直したのです。
相手の言うことには、きちんとと答えようとしたのです。
そうすると態度が変わりました。嫌がらせもなくなり、対等に話してくれるようになったのです。

「自分の感覚を信じて、人と社会と真摯に向き合う」
これが、これからの社会を生きるカギになると思うのです。
そして自分の感覚を信じることが出来るのは、自分を大事にするからです。是非、自分を大事にしましょう。

私はHSPの可能性を信じます。
そしてHSPの方の活躍が多様性を生み、よりよい社会になることも信じています
HSPの方の健闘を、引き続きお祈りします。

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