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NO.2の育て方⑯NO.2としての人間力を高める

NO.2に求められる要件はさまざまありますが、極論は人間力が高いことが重要です。どんなにスキルが高かろうと、対人能力が低ければ何もできません。

今回はNO.2にとってなぜ人間力が必要なのか、いかに人間力を高めていくかについてお伝えしていきます。

■人間力を構成するもの

そもそも人間力とは何でしょう。いろんな考え方があるかと思いますが、要約すると以下のようなもので構成されていると言えます。

知性(知識、経験、思考、見識、具体化、創造性など)
対人能力(コミュニケーション能力、人当たり、人心掌握、利他心など)
自制心(メタ認知、謙虚さなど)

日頃付き合っている人で「この人、人間性がいいなぁ」と感じる人の特徴だと納得されるのではないでしょうか。

会話をしていて相手にストレスを感じさせない、空気感が良くて、知的でユーモアもあり、驕りがなく、誠実で魅力的な人です。その逆を考えるとなおイメージが湧きやすいかもしれません。

NO.2は社長との関係性だけでなく、部下、取引先、協力企業など社長と同等かそれ以上に人に接する機会が多い立場ですから、対人関係をうまくできることは大事なことです。

■社長は前だけ見る、NO.2は横も後ろも見る

NO.2にとって人間力が必要となる理由のひとつとしては、組織運営上でコミュニケーション能力が非常に重要になってくるからです。

社長はひたすら前進することを考えるものですが、前に進むことに夢中になり過ぎると横や後ろの人に気を使うことができなくなります。

強烈なカリスマ性や才能がある社長に多いのかもしれませんが、振り向くと誰もついてきていないということも同時に多いのがこうしたタイプの社長です。

NO.2は社長が描いた絵を実現することが主な仕事で、絵を実現させるために社内外のリソースをフル活用しなければなりません。

NO.2が社長と同じようにひたすら前に進むことしか考えていないと上層部だけが盛り上がっているだけで、現場は白け切っているということにもなります。

NO.2は一歩引いた視点で冷静に物事を考え、現場や社外の協力会社などをディレクションしたり、マネジメントするためにはやはりコミュニケーション能力をはじめとする人間力が必要となってきます。

■自己完結型の仕事の処理能力が高いだけでは1馬力

社長の補佐役として組織全体に関わっていくことが求められている中で、自己完結型の仕事をそつなくこなす能力があっても、残念ながらNO.2としての仕事は全うできません。

計画を立てるうえでも独りよがりでは実現可能性が低いものが出来上がってしまいますし、実行するうえでも実行するだけのマンパワーやスキルが必要です。当たり前ですが、仕事は一人ではできませんので、社内外の人とうまくコミュニケーションを取ることができないと絵に描いた餅になります。

人員が足りない、スキルが足りない、予算が足りないと特に中小企業ではないない尽くしの中で成果を出すのがNO.2の腕の見せ所で、制約条件を突破するには社内外の人材をはじめとするリソースをいかに活用できるかにかかっています。

社内でいくらポジションに基づいた権限を振り回したところで、ついてくる部下がいなければ空回りするばかりですし、社外の下請け的な協力会社に無理難題を押し付けても物事は捗りません。

■打算的な考え方ではいずれ行き詰まる

社外での人間関係といえば、営業先、取引先、協力会社などが中心になりますが、成果を出すためには計画の実現可能性が高く、有形無形の利益を見込める仕事相手を選ぶことが早道です。

けれども、自分の利益ばかりを考えて相手に求めていると、自分の要求を飲んでくれる相手としか付き合えませんし、話をしても相手も打算的になります。乱暴に言えば、金の切れ目が縁の切れ目の付き合いしかできなくなってしまいます。

人の価値が自分の利益にどれだけ貢献してくれるどうかという基準だけになると、良い時は人が群がりますが、悪い時は人が去っていきます。

そうなると、違った角度で意見やアイデア、さまざまな情報を伝えてくれる人もいなくなりますし、物事の考え方も硬直的になり、どこかのタイミングで行き詰まることになります。

時には自分が多少損しても相手の利益になることを考え、力を貸せるような人には自然と情報も人も仕事も集まってきますから、仕事とはいえお互い様の気持ちを忘れてはいけません。

■さまざまな経験をする機会を積極的に増やす

さまざまな経験をするには何をしたら良いでしょうか。手っ取り早いのは読書です。興味があるものはもちろん、普段自分が手に取らないジャンルの本を読むことで自分の知らないことが世の中にはたくさんあること、自分とは異なる考え方があることを知ることが目的です。

ネットサーフィンも同じ観点です。今時は新聞を読む人も少なくなっているかもしれませんが、相変わらず誌面を一通り読むことが習慣になっている人はこうした意識で記事を読んでいます。

また、交流会やセミナーといったイベントでさまざまな業種の方々と知り合うことも視野を広げるために有益です。必ずしも自分の仕事に結びつかないとしても、興味を持って話を聞いていると、自分の仕事との共通項を発見したり、自分が知らない情報なども教えてくれたりします。

余談ですが、私自身は今こうしてnoteにエントリーして、投稿を続けていることで仕事も趣味も全く異なる方々との交流を通じて、日々学びを得ています。斜に構えず、素直に「へーそうなんだ」、「なるほどなー」と思うことが蓄積されていき、単純に知識だけでなく、考える力や考える領域が広がっていくのを感じます。

■自分を客観的に観る力

上手くいっている時は、自分の力を過信しやすいものです。運もあるかもしれませんし、なにより自分以外の人の協力や努力があってはじめて成果が出ることを忘れてしまいがちです。

一人の力でできることはたかが知れていますし、過信が積み重なると傲慢や不遜な人間になりがちです。

感謝や謙虚さを忘れていないか、常に自分と事実を客観的に観て、自問自答することを習慣にしていないとそうした人間になります。

自分の周囲にいる人は裸の王様として君臨する自分に表面的に付き合ってくれている人だけなのか、金という利益だけで繋がっている人だけなのか、時折、見直すことも大切です。

■まとめ

仕事で成果を出すためにはさまざまな方法論があるでしょう。仕組みを作り、売上も人材育成も思うがまま。それはビジネスマンとしては本望かもしれません。

けれども、仕事は人と人との繋がりの連続する点と線です。人間力というものは潤滑油であったり、鎖を強化するものであったり、目には見えなくとも重要な素養です。これを軽んじると、頭でっかちの戦略思考になり、血が通っていない寒々しい組織になります。NO.2は社長以上にこの点を忘れてはいけません。

最後までお読みいただきありがとうございます。