NO.2の育て方㉒社長!自分が欲しいNO.2のタイプについて理解してますか?
ひとくちにNO.2と言っても、期待される役割や能力、性質でタイプが分かれます。
NO.2は社長の片腕、そうした漠然としたイメージが先行することが多いと思いますが、NO.2からどんなサポートを受けたいかは社長自身によって異なりますから、人としての相性も大事ですし、役割、機能としての相性がはまらないと良い人材が社内にいても期待通りに活躍できないこともあります。
添付の画像は、弊社がNO.2育成サポートをする際のご案内資料の一部ですが、NO.2人材も大きく分けると3つのタイプになります。
それぞれ見ていきましょう。
■補佐型のNO.2
戦略も戦術も立てられる社長にとっての困りごとは「策はできてるが、実行段階で自分が一から十まで陣頭指揮を取っていたら他のことができない」ということです。
アイデアをきちんと事業計画、経営計画にまで落とし込めるロジカルな社長も多いかと思いますが、社長は多忙ですし、考えないといけない、やらないといけないことをたくさん抱えています。
特に新規事業に着手する場合などは通常以上にエネルギーを使います。社長もスーパーマンではありませんから、全てを独りで行うには物理的にも時間的にも精神的にも難しいです。
そんな社長にとって心強い存在は、社長が描いた戦略を社長と一緒に汗をかいて実行してくれる補佐型のNO.2です。
楽ですし、物事が進みますし、社長に余力も生まれます。本当、そんな人材がいたらいいのにと思うでしょう。
逆に、このような社長にとっては参謀型のNO.2は不要かもしれません。
構想を練り、実務レベルで何をどうしたら良いかまで分かっている社長にとっては「自分の考えたことに意見やアイデアなど求めていない、ただ実行してくれさえすればいい」という気持ちが強いかもしれません。
もちろん、社内での議論でいろんな意見を言って欲しいというポーズはとっても、多分こうした社長はどんな意見が上がってきてもあまり関心を持たずに自分の考えを押し通します。
良くも悪くも自分に自信がありすぎるワンマンタイプの社長には参謀型は鬱陶しい存在になってしまう可能性すらありますので、このタイプの社長には補佐型もしくは次に紹介する秘書型との相性がいいです。
■秘書型のNO.2
補佐型と少し立ち位置や機能が異なるのが秘書型NO.2です。
同じく経営戦略や実行レベルまで計画を立てられる社長の下で価値が高いタイプです。
なにかアクションを起こす際には、事前準備や社内外の調整や段取りをつける必要があります。
社長の頭の中には、なにをどんな順番で進めていくかというロードマップがありますが、それをいざ実行していくのはやはり手間と時間がかかります。
会議スケジュール確定や社外の協力会社とアポを取ったりとやることがたくさんあります。
いつも3歩くらい先を読んで、段取りをつけてくれる存在がいると社長は会議や商談などの場だけエネルギーを使えばいいので、本当に楽です。
自分の考えや計画を理解したうえで、てきぱきと段取りをつけてくれる。それでいて自分の逆鱗には決して触れずに仕事を円滑にしてくれるのですから社長としたら願ってもないNO.2です。
秘書というとなんとなく女性を思い浮かべるかもしれませんが、実際にこのような秘書型NO.2は女性が活躍しているケースが多いです。客観的に全体を俯瞰して段取りを考え、細やかな配慮が必要なので女性が向いているのかもしれません。
補佐型が現場の実務で汗をかくのに比べると、秘書型はあまり現場には首を突っ込まないタイプで、クールな印象があるかもしれません。
■参謀型NO.2
社長がアイデアマンで、事業意欲が強いものの、具体化するのが苦手という場合に参謀型は心強い存在になります。
自分のイメージを理解して、具体的に計画、実行まで策定してくれると社長としてはありがたいからです。
逆に、補佐型や秘書型は必ずしも具体化という工程が得意とは限りませんから、具体化が苦手な社長の元にいると社長のご機嫌取りの単なるイエスマンとして自己保身ばかり考える人材を集めることになりがちです。
ただ、参謀型にも注意しておきたい点があります。
参謀型は社長以上に能力が高い面が多々ありますから、内心では社長を軽んじる傾向が強いかもしれません。
社長は会社の顔ですから、社内外における成果や実績作りの主役になります。参謀型NO.2にとってはそれが面白くないと感じたり、自分が現実的には経営者としての仕事をしているという自負が強いと社長との関係性に亀裂が生じることもあります。
社長と専務が対立して、専務が社員を引き連れて退職してしまうといったケースなどよくある話ですが、概ね、前述したような事情が多いのかと思います。
■社長自身がどんなタイプのNO.2が欲しいかを明確にする
NO.2が欲しいと考える社長は多いものの、どんなタイプのNO.2と組めば自分と相性が良いのか、事業を発展させられるのかまで考えている社長はほとんどいません。
仕事ができるから、実績があるから、話しやすいから、それらも大事な要素ですが、厳密にNO.2選びをしないと高い報酬の飾り物のNO.2を据えてしまう結果になります。
世の中には、経営者向けの各種セミナーや人材育成のテキストなどが溢れかえっていますが、NO.2人材の獲得や育成にフォーカスした体系的な知見というのは実はあまり多くありませんから、社長自身がはっきり意識して自分に合ったNO.2を探したり、育てたりできないのだと個人的には考えています。
■NO.2と良好な関係性を保つために必要なこと
NO.2の3つのタイプをご紹介してきましたが、もっと広く考えると他のタイプももちろんいます。
例えば、盟友のようなタイプ、現場一筋の職人タイプ、盛り上げタイプ、太鼓持ちタイプなどが該当します。
ただ厳密に機能、役割で分類した場合には補佐型、秘書型、参謀型の3つのタイプに集約されるだろうと考えて私はそのように捉えています。
さて、どんなタイプのNO.2であっても良好な関係性を維持しないといけませんが、何を大事にしないといけないでしょうか。
NO.2に与える肩書でしょうか?
高い年収でしょうか?
裁量でしょうか?
コミュニケーションの量や質でしょうか?
どれも大事なことかもしれませんが、本質的なことを言うと、
「ありがとう、ごめんなさい」
社長がNO.2に対して日頃、心からそう言えることです。
ここを履き違えると、高い年収払ってやってるんだからやっとけとか、自分に非があっても認めないとか、そういう態度や姿勢の人間を長く全力でサポートしたいとは誰も思いません。
とてもシンプルなことなのですが、案外これができない社長は残念ながら多いです。世の中に本当に活躍しているNO.2が少ないのも結局はこれが理由なのかもしれません。
■タイプは違えど、NO.2が共通して社長に求めることは何か?
最後に、また社長にとって耳の痛い話をします。
前述したとおりにNO.2と良好な関係性を保つ秘訣をお伝えしましたが、さらに大事なことをお伝えします。
NO.2から人として惚れられる社長でしょうか?ということです。
年収や肩書、仕事の裁量などはある意味外的要因です。それだけでは人は本気になりません。
NO.2は時として自己犠牲も厭わないサポート役です。では、なぜそこまでして社長に仕えようと思えるのか。
社長に人間としての魅力があり、この人を支えてあげたいという気持ちがあるからです。
親が子どものために与える愛情は無償の愛情ですが、これに近い感覚です。
これがなければ、自分の人生の時間を使ってハードなポジションであるNO.2など誰もやりたいと思いません。
利害だけ考えたら、NO.2というのは損な役回りです。美味しいところは社長に全てもっていかれ、対価も社長に比べたら抑えられています。
もちろん、経営者とそれ以外の社員では責任の重さははるかに異なりますが、それでもあまり報われないポジションでもあります。
そうした目に見えるものだけにこだわらず、この人についていきたい、支えたいと思えるためには社長がNO.2から惚れられるだけの人間性がないといけないのだと思います。
良禽択木なので、社長もNO.2から慕われる、選ばれる人格を備えなければどんなに願っても、待遇を良くしても、本当のNO.2を手に入れることはできません。
最後までお読みいただきありがとうございます。