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NO.2の育て方㊿山本五十六の言葉に学ぶナンバー2育成

いつも「ナンバー2の育て方」をご覧くださりありがとうございます。
おかげさまで節目の50本目の記事を迎えることができました。

ナンバー2育成をテーマによくもまあそんなに記事を書けるねとよく言われますが、まだまだお伝えしたいことが控えています。

今回は山本五十六の言葉を借りて、ナンバー2育成の本質をお伝えできたらと思います。

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。

大日本帝国海軍の軍人、第26、27代連合艦隊司令長官 山本五十六の言葉

有名な言葉なので、ご存じの方も多いと思いますが、この言葉の真意をナンバー2育成になぞらえて解説していきます。

■やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。

ナンバー2を育てる過程では、社長からナンバー2に仕事を任せる機会が当然増えます。

仕事の内容によるかもしれませんが、それまで社長が行っていた仕事を任せるにあたって作業としてのやり方を教えるだけでは済みません。

仮にも社長がしていた仕事なのですから、社長が自らやっていた理由があるはずです。

例えば、規模が小さな会社であれば、経費申請処理や見積書の確認なども社長の仕事かもしれません。

そんなことは経理担当者や営業担当者でも対応できるものではないかと思われるかもしれませんが、特にお金に関することが社長の専決事項となっている場合が多いのは社長が資金繰りという責任を負っているからそう簡単にお金に関することを作業レベルで処理するのが怖いという思いがあってのことです。

たかが300円の文房具購入、一人数千円程度のPCのセキュリティ対策ソフトの更新、数万円の取引先の接待交際費など金額の大小関わりなく社長の承認、決裁を得ないといけないルールになっている会社も多いかもしれません。

社長が経費申請処理をしていたのはなぜでしょう。

もっと安くて良い文房具って探せばあるんじゃないのか?みんなに必要なものであれば大量購入した方が単価を抑えられるのではないか?一人数千円のソフトといえど人数分を買うとなればそれなりの金額になるから機能と価格の相見積もりは取ったのか、接待交際費を使うのは構わないがちゃんと仕事に結びつく接待なのか。

たかが経費処理ひとつとっても社長が見ているものは違うはずです。

社員を疑っているのではなく、無駄にしていいお金などないという厳しさが社長にはあるからです。

経理担当者が行うのはせいぜい領収書と金額の突合ではないでしょうか。
だからワンクッション、確認、決裁というプロセスを敷いているのです。

営業担当者が見積書を作って顧客に提示する際の確認でも同様の目線があります。

もっと提案できることはないのか、入金サイトを早めることはできないのか、値引きをしている理由は何なのか、こんな目線です。

営業部門の上長が同じような目線でそれらを確認しているのであればよいですが、提示内容の数量、単価などの計算が間違ってないかの確認だけであれば、社長も現場に任せる気にならないでしょう。

社長がナンバー2に仕事を任せる際に、作業としてのやり方を教えるだけでなく、自分の目線を教えて、やらせる必要があります。

そうでなければ、ナンバー2は単なる作業として受け止めるだけでしょう。それでは「社長の仕事」を引き継いだことにはなりません。

そしてしばらくはその出来栄えを確認しながら、任せて大丈夫と安心できるレベルになったら褒めてあげることです。

そこで初めてナンバー2も社長の仕事の一部分を自分が担っていることに実感を持てるでしょうし、張り合いも出るでしょう。

そうしたことの積み重ねがナンバー2が経営目線を持って行動していくことに繋がっていきます。

ナンバー2が何ごとも期待通りに動いてくれないと嘆く社長は、仕事を丸投げするだけで、この基本的で大事なプロセスを軽く考えています。

ナンバー2が期待通りにならないのは自分の教え方にも問題があることに気づいて頂きたいと思います。

またこの記事をご覧になっている方がナンバー2の立場にない方であっても、自身が勤めている会社の社長がなぜ作業レベルに思える仕事も抱え込んでいるのかを想像してみると仕事に対する目線が上がると思います。

■話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。

社長は自分の考えが絶対に正しいと思い込みやすい立場にある人です。

理由は自分で作った会社であり、今に至るまで存続しているのは自分の才覚によるものだという自負があり、自分に苦言を言ってくれる存在が周囲にいないからです。

その居心地の良さから、人によっては部下の意見に耳を傾けなくなり、独善的になりやすいものです。

安心して話し合う機会もなく、意見を言ってもまともに取り合ってもらえないのであれば部下であるナンバー2はそれ以上はもう自分の意見など言わないイエスマンになるしかないでしょう。

仕事に自信を持っている社長は「そんなこと言われなくてもわかってる」、「自分よりレベルの低い人間の話などその場で論破だ」、「自分の命令に従っていればいい」という気持ちが強い傾向にあります。

何を言っても否定される、人の話など聞く気もない。

ナンバー2でなくても上司とそういう関係性のもとで社員は諦めの気持ちで日々を過ごすことになるでしょう。

自分の存在を否定されているようなものですから、承認欲求もズタズタです。社長や会社のために役に立つナンバー2になろうとは思わないでしょう。

そして、ナンバー2に仕事を任せたとしても丸投げをするか、ダメ出しばかりをするかどちらかでしょうから、成長ぶりや成果を認めてあげることもできないでしょう。

それではナンバー2が育つはずもない、そう思います。

やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。

ナンバー2に仕事を任せる機会が増え、得意な仕事はもちろん不慣れな仕事にも取り組んでいるとしましょう。

社長は自分の負担が減り、徐々に社長業に専念できる環境を手に入れつつあり安堵しています。

ただ仕事自体がなくなるものではなく、その負担が自分からナンバー2に移っただけですから、負担の一部を背負ってくれて有難いはずです。

そして、仕事によっては社長である自分よりも的確な判断をし、心強く感じるかもしれません。

その姿を見てどう思うかです。

有難い、心強い、楽をさせてもらって申し訳ないと思うか、それくらいのこと高い給料払ってやってるのだからやっておけよと思うかです。

部下であってもやはり感謝の気持ちを持ちたいところです。

その気持ちはナンバー2にも敏感に伝わるものです。そうなるとナンバー2はますます頑張ろうと思うものです。

経営幹部ともなれば、頑張っている姿を軽々しく褒めるということはないでしょう。ナンバー2には成果を出してもらい、成果によって厳しく評価することでもちろんいいと思います。

ただ、感謝の気持ちだけは忘れてはいけません。

そして仕事を任せた以上は基本的にとやかく口を挟まないことが大事です。

じれったくなり、ナンバー2の頭越しに部下に異なる指示を直接下したり、重箱の隅をつつくようなダメ出しばかりすると、ナンバー2もうんざりするでしょう。

まだまだ未熟と自覚しながらも奮闘しているナンバー2と適切な距離を置きながら、任せたのなら任せ切る。

もし失敗があっても自分が責任を取るから思い切りやれと言えるだけの器量が欲しいです。

言うなれば我慢比べのようなものですが、この我慢比べに勝てる社長がナンバー2を成長させられる社長です。

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山本五十六の言葉を読み返すたびに、私自身は人材育成というのは情と理の揺れ動きを適切にマネジメントすることだと感じます。

成果を出すためには仕組み作りも大事なことですが、「AすればBとなり、その結果Cという成果が必ず出る」というのは人材育成においてはかなり難しいことだと思っています。

仕組みだけで回るのであれば、この世に心理学も人間学も組織論も必要ないはずです。

太平洋戦争という人間活動の極限の状況で、リーダーとして厳しくとも愛のある行動を取っていた山本五十六の言葉に敬服します。

人材育成の要諦として時々思い出してみると再発見があるかもしれません。

参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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