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海外VC/投資家からの資金調達

たまには、仕事に直接関するテーマで書き下ろしてみます。

”海外VC/投資家からの資金調達”

について、以下の私自身の経験に基づいて、個人的な見解を述べさせて頂きます。

・Goldman Sachsのトレーダー (Sell side)として海外機関投資家と相対し、日本市場の売り込みをしてきた(ほぼ営業も自分でやりました。投資家は営業と話すより、市場わかっているトレーダーと話す方が価値があるとわかっています。)
・Airbus Ventures (海外VC/Buy side)として、日本国内での投資機会を模索している
・ベンチャー企業Telexistenceとして海外VCからの資金調達を行なった


結論を先に言うと、”困難である”の一言です。

まずは全体の構造的な話から入ります。

一点目、経済情勢。

日本が経済成長していない事は、今ベンチャーで頑張っている主に20−40代の人々の落ち度ではない。完全な政治家のせいであります。

1980年代中曽根康弘という稀代のリーダーがいて改革を試みたが、道半ばで倒れ、その後が続かなかった。この政治的国家戦略で後塵を拝し、経済界が政治を超えてブレイクスルーを起こす事も出来なかった。そして、次の10-20年も難しい事は一目瞭然。

成長のない国で、投資と言われても誰も魅力的には思わない。

ゴールドマンサックス時代にみた海外投資家の日本への興味は、

基本bear trade やcrushに対するbetでした。

金利上昇(日本の財政破綻)、クレジットスプレッドのワイドニング(日本航空、消費者金融ネーム(武富士・アイフル)、エルピーダ、東京電力、ソフトバンク、シャープなどなど)、日本株を積極的にOverweightでロングするという人はほぼ皆無。(AUMが大きくて分散の観点から日本を選択肢にいれる程度の話。)

続いて言語問題。公用語が英語ではない時点で難しい。多様性確保への問題へと繋がります。(日本で起業している外国人圧倒的に少ないですよね?)そして、市場が孤立化する事にも繋がります。そして何より、経営者とのコミュ二ケーションが一発OUTになる可能性があります。VC投資=経営者への投資です。

この大きな2点がそもそも個人の力を超えた所にあります。

パラダイムシフトって言葉がありますが、どうやって起きるか分かりますか?

だいたい、その世代が亡くなって起きるんです。人は簡単には変われないのです。だから、政治も経済もパラダイムシフトはしばらく起きないのです。

無理ゲーかもしれない。でもその中でも頭捻って、やり遂げるから人生は面白い。

そしてこの逆境こそがワクワクする源泉だと私は心の底から思います。

従い、ここからが本番です。ベンチャー経営者の皆様、特にご注目を。

1. 必ず英語を勉強

マスターしてください。基本の基です。偉そうにしているベンチャー経営者で英語話した時にヘタなだけで、私は萎えます。(謙虚な人にはイラつきません笑)

2. 経営陣・チームを多様化

日本人だけなんて、このグローバルなご時世、選択肢としてあり得ません。
文化的背景の多重性が必ず強みに変わる時がきます。

3. 早い段階で海外投資家を入れる

日本の投資家しかCap tableにいない状態で海外投資家が入る事は相当に困難になります。不可能に近い。日本の投資家は基本的に海外と分断されている事が多いです。信頼しているVCや知っているVC・担当者が見ている案件というのは、自ずと心理的ハードルが下がります。
VCの案件投資でReference案件はinfo accountへのdirectアプローチやlinkedin経由でのアプローチより確実に成約する可能性が高いです。
50−100倍確率変わると思います。

4. 早い段階で海外展開の戦略と実行を検討する

海外VC/投資家からするとWhat can I do for you?という視点が大きくあります。日本に馴染みのない投資家が日本での成長をサポートする自信はありません。むしろ彼らの主戦場の地域、もしくはグローバル展開のサポートに強みを持っています。それを必要としないベンチャー企業は対象になりづらいです。
話す時点でグローバルの絵が描けていないと、見透かされる。後半になればなるほど特に。
海外ベンチャーはSeries Aで獲得した資金で海外展開を進めて行く所もかなりあります。日本はなまじかマーケットがまだ大きい(人口も1.2億人いますので。)、競合が少ない(起業家少ない)から、まずは日本で!となります。理解できます。でも、もし将来グローバル展開したくて、海外投資家の力を借りたいのであれば、タイミングを早めた方がいいです。

5. ユニークである事

似たビジネスや競合が自身の地域で多い企業に投資は難しいでしょう。潜在リターンの比較でしかなくなり、日本市場への理解が投資家自身に低かったら、同潜在リターンであれば自身の地域のベンチャーを選択します。従い、見た事ない!とか、新しい!と思わせたらワンチャンスありです。

6. 海外投資家のラウンドの作り方や期待値、上場への考え方、ある意味海外のスタンダードを勉強しておく

日本のやり方と海外のやり方は結構違います。ダブルスタンダードぐらいに考えた方がいいです。フェーズが後半になればなるほど、この違いをRetrospectiveに埋める・修正するのが難しくなります。だから、早めに知識を蓄え、知識ある人をパートナーにし、一緒に攻めるぐらいの事を考えた方がよいです。

7. 日本固有の市場があって、そこを独占できる可能性を持っている

賢い海外投資家であれば、これは食らいついてくる可能性が高いです。日本は独特な市場が存在するエリアがある。ここに食い込み、独占できる潜在力があれば、グローバルとか関係なく乗ってくる投資家がいるはずです。

私個人のMandateはアジア圏での投資です。従い日本でなくとも良いのです。正直言って、難しさを感じています。

でも!!!

やっぱり日本に盛り上がってもらいたい。

心底そう思っています。

中々、全ての個別相談には応じる事はできないと思います。それでも頑張ります。

海外VC/投資家からの資金調達に興味がある方はご連絡お待ちしています。

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