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100分 de ナショナリズム

2020年1月1日に放送された「100分de名著」の特別番組です。普段は25分番組×4週間で100分ですが、時々この「100分間1本勝負」の特番を組みます。

今回のテーマは「ナショナリズム」。いまの時代だからこそ取り上げるべきテーマだと思います。が、この言葉は、多義語で、受けると人によって意味が変わってきてしまいます。いまや、「愛国心」と同義で、「右」の人が好む言葉のように受け取られますが、歴史的にみるとそれはどうなのか、と思います。

取り上げられてのは以下の4冊です。

大澤真幸さんが取り上げていました。タイトルは知っていますが、中身は知りません。ただ、タイトルから薄々、想像はつきました。

島田雅彦さんが取り上げたのは、マキャベリの『君主論』。僕は当然読んでます。政治学をやるにはこれは基本だと思います。 ただし、内容を覚えているか、理解できているかと問われると「あれ?」ってなります(苦笑) 特に最近、ビジネス書系の人がトンデモ解釈で解説本を書いたりするので、なんとかいうか、再読しないといけないなと思っていたところです。

中島岳志さんは、橋川文三に『昭和維新試論』。この時代のことは僕自身が非常に興味を持っているので、この本もたしか、大学の時に読んだはずなんです。が、まったく覚えてない。もしかしたら図書館から借りてきて、挫折して読まずに返したのかもしれないです。

最後、漫画家のヤマザキマリさんは安部公房の『方舟さくら丸』。安倍公房は高校のころ数冊(『砂の女』etc)は読みましたが、『方舟さくら』は読んでないです。
ここで文学作品を持ってくるのは「さすが」と思いました。推薦理由を聞けば納得しますけど。

僕は、ナショナリズム肯定派です。グローバリズムが嫌いだから、というのもありますが、ナショナリズムを利用して「連帯」や「絆」が生まれる可能性があるのではないか、それをテコに、貧困や差別の問題に切り込めないか、と考えてきたのです。
これはあるエリアの中だけのことになるので、対外的な排除の衝動を呼び起こす危険があります。それを承知の上で、「同じ日本列島に暮らすものとして」連帯できないか、と思ってきました。
しかし現実的には、僕が理想とするような形でナショナリズムが駆動したことはないでしょう。外だけでなく内向きにも「排除と差別・分断」が横行する。生活保護受給者や障がい者、犯罪被害者を「自己責任」で片付けるバカはだいたい狂ったナショナリズムを信奉しています。

そのあたりをこれからどう考えていくのか。いろいろ示唆がありました。難しい問題ですけど、避けて通るわけにはいかない状況になっているので。

HNKオンデマンドで配信されると思うので、その際にはぜひ見てもらっていろいろ考えてもらえるといいかな、と思います。「Let's Think」 こそリベラルアーツのあり方なんで。

ちなみに、過去の100分deスペシャルの一押しはこちらです。


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