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ワークライフ"アンバランス"な働き方

10年くらい前に読んで、濃厚に影響を受けた本があります。マイクロソフト日本法人元営業部長である田島弓子さんが書かれた『ワークライフ“アンバランス”の仕事力』です。

「ワークライフバランス」が言われ始めた時期だったので、かなり衝撃的なタイトルです。もちろん、ブラックな働き方を推奨しているわけではありません。「複数のことに無理に自分のリソースを分け合うよりも、いま一番やりたいこと、やるべきことにリソースを集中させる『一点突破』の働き方」について書かれています。

■企業内診断士のワークライフバランス

会社勤めをしながら診断士活動もしていると「いつ休んでいるんですか?」とよく聞かれます。確かに、平日の昼間は会社で働き、平日夜と土日は診断士として働いていれば、いつ休んでいるのだろう、家庭の時間や趣味の時間はどうしているのだろう、と疑問を持たれても不思議ではありません。(もっとも僕の場合、家庭の時間はほぼ関係ありませんが)

しかし、このような生活をしているのは僕らだけではありません。たとえば実業団に所属しているアスリートは、同じように昼間働いて、夜と土日で練習と試合をしています。昔と比べ、一部でプロ化が進んだとはいえ、多くのアスリートはそんな生活をしているはずです。他にも、さまざまな事情で同じような生活をしている人は多いと思います。僕の友人には、昼間は学校に通い、夜と土日は働いていた人を知っています。そうした人たちに比べたら、僕の大変さなどたかが知れています。

ただ僕らの場合、会社でやっていることと診断士としてやっていることが、大きく括れば同じ「ビジネス」カテゴリーに入ります。「四六時中、働いている」ように思う人が出てくるのも仕方がないか、と感じています。

■バランスってなに?

「それで生活のバランスは大丈夫なのですか?」
続いて聞かれるのはこの質問です。ここでいつも疑問に思うのは、「バランスってなに?」です。

それぞれに同じ時間を割り振れればバランスが取れたことになるのでしょうか。だとすると、会社で働いているだけでバランスはとれません。通勤時間と残業時間を考慮に入れれば、この時点で「同じ時間」を割り振るのは不可能だからです。

大切なのは、時間(数量)の一致ではなく、自分が心地良いか、自分にとって最適かどうか、です。自分の感情こそが「バランスが取れているかどうか」を決めるのだと思っています。

■「ワークライフバランス」ではなく「ワークインライフ」

僕はワークとライフは同格なものではなく、「ワークインライフ」だと考えています。ワークや趣味やその他諸々を足し合わせたものがライフである、と思っているのです、大雑把に言うと。

そして、ライフの中でワークがどのくらいの割合を占めるのが最適かは、時期によって変わります。冒頭ご紹介した『ワークライフ“アンバランス”の仕事力』の中に、「人生には、どっぷり仕事にはまる時期も必要」と書いてあります。僕も同じように考えています。20代後半、宮城の山奥で職場まで徒歩1分の寮に住んで仕事をしていた2年間、オンオフの切り替えなどなかったですが、今となっては貴重な経験だといえるからです。

もっとも歳を取りましたから(苦笑) あの頃と同じようなはまり方は無理です。体力が持たないし、根気も続かないでしょう。それでも、未経験の領域に足を踏み入れようとすれば、新しいスキルやノウハウを手に入れないといけません。それを入手するためには一時期、2~3ヶ月だと思いますが、どっぷりはまる時期はやはり必要なのです。

それに、若い頃と違って、テキトーに息抜きをする術は身につけています。昔ほど根を詰めなくても大丈夫です。それで、いまの生活が成り立っているわけですけど(笑)

■働き方改革≠労働時間の削減

働き方改革≒残業時間の削減、に矮小化され、できるだけ働かないほうがいいとの風潮には疑問を感じています。自分の時間をどういう配分で使っていくかは自己決定していいはずです。

もっとも、無能な経営者が自分の利益のために従業員にブラックな働き方を強要する事例は後を絶ちませんから、残業時間規制が入るのは仕方がないと思っています。ですから「もっと働きたい!」と思う人は、定時以降に会社とは別な仕事をすればいい。なんなら法人をつくってしまってもいいと思います。多少なりとも経営者マインドが身につくのなら、勤務先の企業にとってもプラスになると思うのです。

そのとき、中小企業診断士の資格は、けっこう有効は武器になる、と経験上考えています。企業内診断士の新しい働き方の一つとして、こうしたダブルワークのやり方もありなんではないでしょうか。

*10月26日に開催される、東京都中小企業診断士協会秋大会の中で行なわれる「企業内診断士フォーラム」、今年のテーマは『~パラレルワーク時代到来!~1.5時間でスッキリ!診断士における副業・複業のリアル』です。
今回の記事と関連がありそうなんで案内しておきます。興味がある方はぜひご参加を。


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